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もふぽて  作者: しーにゃ
第二章
117/121

第17話 ねことこたつ

 フレイがサクヤに防寒用の服を着させ始めた今日この頃、ついにこの日がやってきた。思えばあれから半年以上も経っていたのだな。ひと月以上前からケイに繰り返し催促した努力がついに実を結んだのだ。


 そう、今、われの目の前にはこたつがやって来たのだ。



 われはどちらかと言うと寒いのが好きではない。もちろん苦手だとか弱点だとかいうわけではない。そんなものはこのわれにはないからな。


 だが、寒い日に入る温かいこたつ。これは最高にうまい食事や気持ちの良い昼寝に勝るとも劣らない贅沢だとわれは考える。そして贅沢は堪能してこそのものだいうのがわれの持論だ。


 というわけで今日われはここから離れないから、みな適当にがんばってくれ。


 われがこたつでぬくぬくしながらそう言うと、ヴィムは元気に外へと駆け出していった。だが他のものは何を考えているのかはわからんが半目でこちらを見てくる。


 うむん? なんだ、何か言いたいことでもあるのか? だが今はごろごろするのに忙しいからまた今度な。


 われが配下たちから顔を背けてそう態度で示してやると、背中に軽く衝撃が走った。


「きゅきゅっ! きゅいー!」


 どうしたアイク、そんなに慌てて。おぬし感情が高まると背の針が固くなるのだから気を付けるのだぞ。今もチクチクするから少し離れるのだ。


 われが背中でそう語るもアイクは一向に離れようとしない。むしろぐいぐいと体を押し付けてくる。ふむ、仕方ない。話だけでも聞いてやるか。


 われがしっぽでぽすぽすと返事を返すとアイクは落ち着いて説明を始めた。なんでも今日は新人たちとミリア、ルーア、そしてわれの七人で森に遊びに行く予定だったらしい。


 ふむ、そう言えばそんなことも言っていた気がするな。だがアイクよ、残念だがそれは延期だ。今日は外せない用事ができたのだ。おぬしもこの拠点の一員になったのなら、主の都合により予定が急に変わることには慣れておくと良いぞ。


 われは適当にそんな感じのことを言ってアイクの要求を平和裏にはねのけた。


 そんなアイクは渋々とこたつに入るが、中に入るとホッと顔を綻ばせた。うむうむ、そうだろう。おぬしもこたつの魔力に取り付かれるがよい。


 われがうにゃうにゃと頷いていると、ぬっとヘレンが上から目の前に降り立ち羽を広げた。


 ふむん? どうしたヘレン。家の中でバサバサするとフレイに怒られるぞ。


 親切心からわれがそう忠告すると、ヘレンは静かに、だが詰問するかのように問いかけてきた。


「ほーほぅ、ほっほー」


 ああ、その件か。それならケイをせっついて好きにやってくれ。


 それとわれをつんつんとつっつくのはやめろ。


 魔道具に関してはブラドを怒らせるようなものでなければ自由にしろ。われはその辺りは詳しくないから、おぬしらに任せる。だが実用化するものについてはちゃんと報告だけはしてくれ。気付いたらずぶ濡れになっていたとかは嫌なのでな。


 あとこたつの布団部分をめくるのはやめろ。冷気が流れ込んでくるではないか。


 うむ、それで要件は終了か。それではな。


 ヘレンは置き土産にわれに向かって風を起こすと、ケイのいる作業部屋まで飛んでいった。


 ふう、まったくあやつは小さな嫌がらせばかりするから困る。まあこの程度なら起こるほどではないがな。


 われが再びこたつの耽美な温もりを味わおうとすると、後ろから小さな声が聞こえてきた。われが顔だけちらりとそちらを向けると、ネルが期待の籠った眼差しでこちらを見ている。


「めぇ~?」


 ふむふむ、いや、今は魔法は大丈夫だ。こたつでは基本的に覚醒と睡眠の狭間を楽しみたい派なのでな。ああ、そんな顔をするでない。あくまでこたつを楽しむ時のわれは必要としないだけだ。こたつ以外では頼むし、われ以外におぬしの魔法を必要としているものもいるはずだ。


 そうそう、先日もフレイが感謝していたぞ。サクヤがぐずついているときにネルが眠らせると、寝起きはすっかり機嫌が良くなっているそうだ。これからもみなの役に立ってくれればわれも嬉しいからな。


 われがそう言葉をかけるとネルは嬉しそうな顔を浮かべると、鼻先をわれにこすり付けて何らかの魔法をかけてきた。


 ふむん? これは、何の魔法だ?


 われが首を傾げて体調を確認しているとネルが説明してきた。今かけたのは開発中の魔法で、眠らせる手前の状態異常にさせる魔法の一種らしい。疲れさせるとかもできるらしいが、先程かけたのは高いリラックス効果を与えるかもしれない感じの魔法だそうだ。


 よくわかってない魔法をかけてくるのは困るが、問題はなさそうなので不問とするか。われがしっぽを振って感謝すると、ネルはサクヤとフレイのいる部屋に向かった。また助力できないか聞きに行ったのだろう。


 さて、こうなると次はエイネかな。われがそう身構えると、予想に反してエイネは口を開かなかった。ただ黙ってわれの隣でこたつに入ってくるだけだった。


 うむ、これなら問題ないだろう。われがそう思いくつろごうとすると、それを見ていたミリアがエイネに注意を始めた。


「エイネ。そこはミリアのせきだから、エイネはあっちにうつって」


 そう言うミリアはこたつの違う一辺を指差していた。ううむ、別にわれの隣はミリアの席と決まっているわけではないのだが。それとわれたちのサイズなら逆隣りでも十分ミリアも入れるだろうに。


 おそらくミリアもそんなことはわかっているのだろう。無茶を言ってる自覚のある顔をしている。それに対してエイネは無視を続ける。考慮に値する提言だと思わなかったようだ。


 それを見たミリアは強硬手段に出た。エイネの体を掴んでこたつから引きずり出そうとしている。エイネは必死にこたつ布団にしがみついてそれに逆らう。


 うむ、このままだとこたつ布団がずれ落ちてこたつを楽しめなくなるな。


 われは楽し気に二人の争いを眺めていたルーアに目線をやってから、そのまま窓に視線を移した。ルーアはその意図に気付くとおとなしく窓に向かって鍵を開ける。


 そのままルーアが窓を開くと冷たい風が入ってくるが、大事の前の小事と割り切りわれは一度こたつから這い出る。


 われがとあるものを手にこたつまで戻ってくるとルーアが窓を開けた。そこにわれはしっぽの中のものを外に向かって放り投げる。それを喧嘩しながら見ていたミリアとエイネが凄まじいスピードで追いかけていった。


 そのまま数時間戻ってこなくてもよいからなー。


 われが窓に向かってそう呟くと、ルーアは窓を閉めてわれの隣に来てこたつに入った。うむ、われもそうしよう。


 われが放り投げたのはわれお手製の猫バッジだ。配下たちの間ではこれを集めるといいことがあると噂されているが、特にそんなご利益はない。これはこういう時のために適当に作成しただけだ。


 なぜか喧嘩している最中でもわれがこれを持ち出すと喧嘩を止めて手に入れようとするので、喧嘩の仲裁や興味を移そうとする時にこうして放り投げている。その効果は素晴らしく、達成率十割を維持している。


 さて、ようやく平和な時間が訪れたな。それではぬくぬくするか。


 こうしてわれの今年初こたつはのんびりと過ごすことができたのだった。



 今われは天上の楽園にも引けを取らない素敵空間でリラックスしている。理由は言わずもがなだが、こたつの中でごろごろしているからだ。


 うむ。外は寒いしこんな日はこたつの中で居眠りするのが一番だな。ふぅ、うにゃうにゃ。


 われがそうして至高のひと時を楽しんでいると、すぐ横から騒がしい声が聞こえてきた。


「タ~マ~。そろそろおそとにでよ~よ~」


「ずっとこたつにいたら、猫さまから豚さんになっちゃうよ~」


 われのすぐそばに腰を下ろし、怠惰を許さぬ正論を突き付けてくるのはミリアとミナの二人だ。だがその程度ではわれの意思はくじけぬ。われを動かしたければ外の気温を五度は上げてから来い。


 われが目を閉じ耳をぱたんと畳んで頑なにこたつから出ようとしない様子にやっと諦めがついたのか、二人が立ち上がるのを感じた。よし、これで今日もこたつでゆったりとできにゃわわん!


「「そ~れ~!」」


 われを強引に引きずり出して前足をミリアが、後ろ足をミナが掴み、ルーアが開けた窓に向かってわれは放り投げられた。


 もちろんこの程度ではわれにダメージはないし、着地を失敗したりはしないが、やはり外は寒い。われは着地と同時に家の中に戻ろうと体を動かす。


 だがそれを阻むものたちがいた。


 われの眼前には炎の壁、氷の壁、土の壁、風の壁と、いくつもの壁が生み出され、われの行く手を阻んでくる。それならばと一番安全そうな土の壁を登り突破しようとするも、その更に上からいくつもの影が落ちてきてわれの動きを邪魔してくる。


 気付いたらわれの周りは動物たちによって完全に包囲されていた。


『おぬしら、最近はおとなしくなったと思ったが、やはり性根はそう簡単に変わらんか』


 われがにゃむにゃむと問いかけると、黒兎が代表して答える。


『ああん? お前さんが慣れない配下との新生活にあたふたしてたから気ぃ遣ってやってただけだろうが。そろそろ俺たちともまた遊ぼうぜ』


 きゅいきゅいと語る黒兎。ふむ、なるほどな。見守るのは飽きたから直接やりあおうと、そう言うことだな。


 だが、われを見くびるなよ。


『ふん。おぬしらがどうしようと勝手だが、われのこたつライフへの執着を舐めるなよ。おぬしらを全員倒してでもわれはこたつの中へ戻る!』


 われが力強く宣言すると、黒兎のやつはニヤリと笑う。


『さて、果たしてそれがお前にできるかな。それに今回こっちには心強い味方もいるしな』


 何? われが眉をひそめると家の方から近づいてくるものに気付いた。


『な、おぬしら!?』


 われの前に立ち塞がったのは、われの配下たち、それとミナだった。ミリアを先頭に、ヴィムやルーアだけでなく、新人四人もその横に並んでいる。


 衝撃の事態にわれが驚いていると、ミリアが申し訳なさそうに口を開く。


「ごめんね、タマ。でも、こんかいはミリア、タマのてきになる」


 ぐ、一番の配下であるミリアがそうしたならば、他のものもあちらに付くのは必然か。われは一縷の望みにかけてビーバーのエイネに目を向ける。だがエイネはそっと目を伏せこちらを見ないようにして答えた。


『ごめんなさい、タマ様。さすがに今回の件はタマ様をかばいきれないわ。おとなしくあたしたちと外で遊びましょう』


 ぐぬぬ。エイネの言葉に他の配下たちも頷いている。ということは、今回われの味方はなし、か。


 面白い。ならば尽く打ち倒すだけだ。覚悟しろ!


 われは怯むことなく攻撃を始めるのだった。



 われは手始めに一番近くにいた白蛇に跳びかかる。身体強化によって強化された肉体が、白蛇のすべすべとした鱗を押さえつけようとしたところで、横から不意の衝撃をくらった。


 攻撃を放ったのは風魔法を操る動物だったようだ。われは空気の塊をぶつけられた衝撃に耐えつつ姿勢を整える。だがその隙に小鳥やハリネズミのアイクのような小さな体をもつものたちがわらわらと押し寄せてくる。


 攻撃に備えるわれだったが、やつらの狙いは攻撃ではなかったようだ。小鳥たちはただただわれに乗っかろうとしてきた。


 うぬ、これ、降りんか! 爪でしがみつくな、ちくちくして痛いだろうが! おい、アイク、おぬし配下ならこやつらを振り落とすのに協力しろ!


 われがにゃあと叫んでさりげなく小鳥や小動物たちの集団に混じっていたアイクに命令を出すも、アイクは「きゅい!」と叫んで力強く命令を拒否してきた。


 ぐぬぬぬぬ、どうやら本当に配下たちも敵に回ってしまったようだな。


 われは体をブルブルと震わせて小鳥たちを引き剥がそうとするが、がっちりしがみついたやつらは離れない。


 ならばと体を倒して地面の上をゴロゴロ転がろうとするが、白蛇たちがわれの手足を縛って動けないように固定してくる。く、多勢に無勢ではやはり分が悪いか。ならここは一度雷を纏って引き剥がす!


 そう思ったわれが雷魔法を発動しようとすると、不意に生み出した雷が思わぬ方向に誘導されるような感覚を感じた。そちらに目を向けると、得意げな顔をしたアリクイが雷を腕に纏わせている。


 お、おぬし、今雷魔法を使ったな! これまで散々われの要請を無視してきたくせに、遠慮せず見せつけてきたな! くそう、間違いなく確認したからな! 今度魔法を見せてくれるまで嫌というほどまとわりついてやるから、覚えておれよ!


 われはそう思いつつも自分より高位の雷魔法使用者がいるのでは雷魔法は控えた方が良いと判断し、力尽くでわれにしがみついてくる動物たちを乗せたまま走り出した。だが目の前にいるはずの黒兎との距離が縮まらない。


 おかしいと思い下を見てみると、なんと地面が後ろに向かって流れていた。これでは走っても走っても前には進めない。


 すぐさま状況を理解し横に跳んだわれだったが、それを読んでいたのかガシッと空中で掴まれた。どうやらミミズクのヘレンが狙っていたらしい。しかも最近のわれへの積極的ないたずらでわれを捕まえるのに慣れたせいか、異様にジャストフィットな感触で掴んでくる。


 そのまま空へと運ばれたわれは、ある程度の高度まで来るとぽいと放り投げられた。うむむ、主たるわれへのその態度、覚えておくからな。


 われは恨み言を言いつつ背中に貼りつく動物たちと一緒に地面に向かって落ちていく。どうせ誰かが助けてくれると、残念ながらこういう状況に慣れてしまったわれは冷静に考えていると、飛んできたミリアが笑顔でわれの前足を掴んできた。そのままぐるぐると自分中心に回り出すミリア。


「うにゃ、にゃ、にゃぎゃ~!」


 ぐるぐると回る速度を上げるミリアによってわれの体は地面と水平になっていた。たしか遠心力とかケイが言ってたな。


 そう現実逃避していたわれの耳に聞きたくないセリフが入ってきた。


「あはははは! タマ、がんばってね!」


 そう言うミリアが不意に掴んでいた手を放す。われの体はそのままぽーんと投げ飛ばされた。それでも動じないわれの心の強さは昔からこうだったと思いたいが、おそらくここの動物たちのせいで身に付いたものだろうな。


 勢いよく飛んでいくわれの背中に貼りついていた動物たちが、小鳥たちと手を組み背中からエスケープしていくのを感じると、眼下から土の壁が迫ってくるのを感じた。われが落ちて近づいているのか、魔法によって土がせり上がってきているのかはわからないが、なんとなく着地しないとまずそうなのでがんばってみる。


 しゅたんと本能に従い勢いを殺しつつ華麗に着地して辺りを見回すと、いつの間にか入ってきた上の穴は塞がれていた。だが決して暗くはない。


 ということですぐ側にいた光源役のルーアに状況説明してもらう。どうやらこれは迷路らしい。


 ふむと頷いたわれはこたつに戻るためにさっさか進み始めた。所々道が分かれており普通なら迷う所かもしれんが、われは迷わず一つの方向に向かって足を動かす。


 どうせ誰かがこちらの状況を監視して、それを基に迷路の構造を変化させるのだろう。それくらいのことは平然とやってのけるからな、動物たちは。


 なのでわれは余計な頭は使わず拠点の家のあるであろう方向に向かってひたすら進む。そしてこれ以上進めないという所で魔力を全開にして壁をぶち壊そうと突進する。


「ぶにゃっ!?」


 ふむ、痛い。どうやら壁は予想より厚かったらしいな。われはしょんぼりしつつふらふらと歩いておとなしく出口を探すことにした。



 やっとの思いで出口を見つけたわれが外に出ようとした瞬間、急に足元が蠢いた。そして魔法によって滑り台と化した床がわれをどこかへ運んでいく。


 強烈な光と共にわれが感じたのは水の中へ落ちる感触だった。どうやら冷水ではなく温水のようだが、毛が水を吸って重くなるこの感覚はやはり苦手だ。


 どうやら落とされたのは拠点の噴水だったようなので、縁に向かってぱちゃぱちゃと泳いでいく。なぜか近くにいたエイネに頼んで乾かしてもらうと、われは一目散に家へと駆け始めた。


 そろそろあやつらも満足しただろう。迷路の中では予想以上にたくさんの動物たちが待ち伏せしていたしな。


 そんなわれの進路に白っぽい姿が目に入ってくる。ふむ、ヤギのネルのようだな。


『タマ様、自分に乗ってください!』


 めぇ~とそう叫ぶネル。われはそれに従う、と見せかけて、直前で直角に向きを変えネルを無視する。どうせ罠に決まっているからな。


 その証拠にあちこちから舌打ちが聞こえてくる。いや、さすがにわれもこの状況下で無条件に配下を信じることなどしないぞ。悲し気な表情を浮かべるネルには申し訳ないがな。


 だが、こたつに入るまでわれは周りは全て敵とすることを決めたのだ。どうしても止めたいならこたつを持ってこい。


 その後短い距離ながらも数多の動物たちの攻撃を凌ぎ、なんとか家にたどり着いたわれ。怒られないようこんな時でも忘れず体を拭いて土を落としてから家に入る。


 ふう、なぜか最後は攻撃がおとなしかったが、さすがに家の中まで罠は仕掛けてないだろう。これでゆっくりとこたつで昼寝できるな。


 安心したわれはとことことこたつに向かい、その身を中に滑り込ませる。


 ふぅ~、極楽、ごくら、く?


 われは不自然さに気付き、がばっと頭をこたつの中に突っ込む。普通ならすぐにのぼせてしまうのでこんなことはしないが、今は非常事態だ。


『ば、ばかな…』


 こたつの中には熱源たる亀っぽい甲羅が存在せず、ただの机と布団の合体したものになり果てていた。


 あまりのショックのせいか、われは意識が急に遠のくのを感じ、そのまま眠りにつくのだった。



*****



「なるほどな~。俺がこたつの熱源を交換している間にそんなことをしてたのか。騒がしいとは思ってたけど、予想以上だったな」


 夕食の時間、ミリアに今日の出来事について話を聞いていたらなんだか面白そうな、でもどこか悲しそうな話が聞けた。


 どうやらタマがこたつを離れようとしないから無理やり外に引っ張り出したらしい。


「タマがかわいそ~だったけど、でも、ずっとごろごろしてるの、だめだと思ったから…」


 少ししゅんとなってそう告げるミリア。ああ、そんな表情もかわいいな。


「大丈夫だ、ミリア。タマはそれくらいで誰かを嫌いになるような小さいやつじゃないさ。精々一日不機嫌になるくらいだろ。それにミリアの言うことも正しいから、あんまり心配するな」


 ミリアの頭を撫でてそう言ってやると、少しは元気を取り戻したみたいだ。やっぱりサクヤより素直というか、扱いやすいというかなんというか。どうやったらサクヤはもっと懐いてくれるのだろうか。


 俺が明後日の方向に思考を向けていると、フレイが話しかけてきた。


「それにしても、タマちゃん今年は随分こたつにご執心なのね。やっぱりヴィムちゃんが寒さに耐える修行を始めたからかしら」


 そうだな。最近ヴィムは外でも火魔法で暖まることをしないようにしている。もちろんミリアやサクヤのためなら喜んで使っているが。どうにもタマはそれが気に入らなかったようだな。


「よし、それじゃあ俺もタマが外に出てくれるよう何か対策を考えるか」


「ほんと!?」


 俺の言葉にミリアが目を輝かせて訊ねてくる。うん、これは失敗するわけにはいかないな。


 ということで当のタマが昼間からネルの魔法で寝ている間に、タマをこたつから追い出す作戦が練られていくのであった。


昨日はのんびりしてたら眠くなったので寝てました。そして今日もなんだか今一つ筆が乗りませんでした。いや、出来についてはどう思ってくださるかはわかりませんが。

次もおそらく火曜と水曜あたりが忙しくなりそうなので書けないかもしれません。その時はご了承ください。

もふもふを存分にもふもふするためにはやはり人間視点が必要かと思う今日この頃ですが、まあ適当に試していきますので、よろしくお願いします。


お読みいただきありがとうございました。

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