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もふぽて  作者: しーにゃ
第一章
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第十話 はじめてのおふろ

最後はちょっとだけケイ視点です。

 ふにゃん、今日は陽射しがぽかぽかして絶好の昼寝日和だな。よし、今日はとことん昼寝を味わうとするか。

 われがそう決意してから少しばかり時間が経ったとき、われの警戒網に反応があった。

 むっ、この気配、時間、視覚的情報、その他もろもろから推測するに。…まずい!


 われは直感に従い神速で駆け出した。

 しかし相手はわれをも上回る速度でわれの首元をひっつかんで軽々と持ち上げてきた。


『ふはははは、タマよ。逃げようったってそうはいかないぞ。

 (俺の)楽しい楽しい丸洗いタイムだ』


 そういってケイはわれをひっつかんだままずかずかと進んでいった。

 うん? 今日は家の中で洗われるのか?


『今日は俺と一緒に風呂場で洗うからなー。石鹸もどきも作ってみたから試してみたいし。

 それに水じゃなくてお湯ならタマも気に入るかもしれないぞ』


 なにやらわからないが上機嫌だ。まあしょうがあるまい。

 丸洗いタイムのケイには何を言っても変わらないのだ。せいぜい無駄なエネルギーを使わないようにおとなしくしておくか。


 ふむ、ここが風呂場とやらか。でかい桶にお湯が張ってあるようだな。わざわざこんなものを用意せずとも川なり泉なり行って水浴びすればよいのに。本当に人間のやることはわからん。

 うん? 桶の中でなくこっちで洗うのか?

 わかっている、無駄な抵抗はせんよ。


「ぶみゃん! …みゃあ?」


 上からざぶんとお湯をかけられた。だが、これはどういうことだろう。水をかけられるのと似ているようでどこか違う。ほほう、ずぶ濡れになるのはいただけないが、お湯を浴びるのはそこまで不快ではないな。


 そして次はごしごしと洗われるわけか。ほれ、好きにせい。

 ところでお主の手であわあわしているのはなんだ?

 それで洗うのか? 危険なものではないだろうな?


 うむ、ただ水で洗われるより気持ちいいではないか。悪くないぞ。それと嗅いだことのない匂いだな。どれ、ひとつ味見でも。


「みにゃん!!」


 ぺっぺっ。なんだこれは。食べられたものではないな。

 なるほど、体を洗うためだけの道具だものな、食べようとしたわれが間違っていたのだろう。われでも失敗はするからな。だが同じ失敗はしないぞ。


 ふう、ようやく洗い終わったか。おっと。これはいつものわれサイズの桶にお湯を汲んだのか。これに入れと? よかろう。乾かされるまではお主の言うことに従おう。

 う~む。体がぽかぽかしてきた。こうお湯の中でぷかぷかしてるのも、なかなか、未知の快感だな。どれ、もう少しこの揺蕩うような気分を味わうと、す、る、か…。


『うお!? タマがのぼせた!

 まずいまずい、早く冷まさないと!

 ってか体の半分も浸かってないのに3分でのぼせるとは思わなかったよ…』


 はっ! どうやら寝てしまっていたようだな。なにやらケイが注意してきているようだ。なるほど、風呂は気持ちいいが長湯はダメっと。うむ。われは同じ失敗はせん。覚えたぞ。


 それにしても毛並みがいつもよりも更にさらさらつやつやしているな。これがあのあわあわの効果か。うむ。われ180点。

 おう、ケイよやっと注意が終わったか。われにそなたの言葉はわからんのだから、こう、もっとわかりやすく身振り手振りだけで手短にしてくれるとありがたいんだが。


 そしてなんだその手に持っている物体は。木の棒にトゲトゲがついているな。拷問器具か?

 おい、やめろ、その首根っこを掴むのはやめろ。われの身動きがとれないだろうが。くっ、またしてもケイの魔の手にやられてしまうのか。

 だがわれは負けん、負けんぞ。そなたがどのような手段を用いようともわれは決して屈しない!


 ぶらっしぶらっし、しゅっしゅっ。さらさら。もふもふ、もふもふ。


 ぐぬぬ、あれは、反則だ。

 まさかもふもふよりも気持ちよいとは。しかもその後にもふもふを畳みかけて来るとは。ケイは策士の才能まであるというのか。

 だが、覚えたぞ。『ぶらっしんぐ』というのだな。

 ケイよ、それは長くとも二日に一度はすることを命ずる。口答えは許さんからな!


 ではわれは夕食まで暇つぶしをしてくる。準備は頼んだぞ。



 できたか。うむ、いただきます。

 ほほう、これはいつもの食材ではないな。初めて食べるが、これはこの森で採った魚だな。こちらには森の果実か。

 家を作ってからというもの、度々採集に出かけているのは知っていたが、今日のあわあわやこれらの新しい料理がその成果というわけか。

 やるではないか、ほめてつかわすぞ。


 だがケイよ、その、新しいものが大丈夫かどうかいちいちわれの顔色をうかがうのはやめてくれないだろうか。すこし照れるぞ。

 それとたまにえって顔してすぐに取り繕うのはやめてくれないか。ひどく心配になる。まさかわれを実験台にしているわけではあるまいな。

 …まさかな。あっはっは。うん、どれもうまいじゃないか。


 ふう、今日もお腹いっぱい食べれてわれ、しあわせ。

 では明日に備えて寝るとしようか。今日はどちらの寝床にするかな。



*****


 あれ? 結構好みの分かれる極端な味も混ぜてたんだけど、タマのやつ全部うまそうに食べてるな。

 ブラドに出す前の実験だったのに、これじゃあ意味がなかったか。

 でも手を抜いた時だけはちらりと黙ってこちらを見てくるから手が抜きづらいんだよなー。

 よし、まあタマは一応魔物だしな。明日からも色々食べさせてみよう。


決してケイはタマに嫌がらせがしたいわけではありません(笑)


実際お風呂好きなねこっているんでしょうか。

いたとしたら、ねこの種類、年齢、体長、国、平均気温、毛の長さとかの要素ごとに分けて統計的にデータとってみたら風呂好き遺伝子だとか、風呂好きになる要因が見つかるかも。なんて(笑)


お読みいただきありがとうございました。

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