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もふぽて  作者: しーにゃ
第一章
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第一話 たどり着いたのは森

初投稿です。

ゆるい物語なので肩と頭の力を抜いて読んでください。

もし合わなければブラウザバックをお願いします。

文章前半はねこ視点、後半は男主人公?視点です。

よろしくお願いいたします。

 われは孤高の獣である。しなやかな体、艶やかな毛並み、鋭い爪、強力な牙を持つ獣の中の獣。

 ちと体格は小さめだが、誇り高き獣の血を忘れず常に全力で生き抜くわれは、旅をしている。

 図体だけ立派で愚かで向上心のない愚かな一族に見切りをつけ、われにふさわしい新天地を目指し縄張りを飛び出したのは、もう何か月も前のことだ。

 決して体が小さいままだったため群れからハブられていたわけではない。ついでに迷子でもないぞ。ないったらないのだ。


 旅を始めてからというものの、既存の生物を不必要に刺激しないように身を潜めつつ、われはいくつもの土地を渡り歩いてきた。そして今日、ようやくたどり着いたこの森はどうやら優良物件のようだ。

 大きな木々が根ざし、多様でたくさんの動物たちを抱く豊かな森。小さなものから大きなものまで、感心するほど平和な自然が広がっている。野蛮な輩の気配はほとんどない。

 ここなら不必要な争いを好まないわれが住まうにふさわしいだろう。決して自分より強そうで荒っぽいやつが少ないことが決め手なのではない。わざわざ相手をするのが大変なだけだ。


 なにか体がピリピリするのを不思議に思いながらも、何日もかけて気配を殺しながら森を歩き回ってみたが、この森はかなり広いようでまるで回り切れない。だがまあ、最強で最高なわれならもうこれ以上警戒する必要はないだろう。この大きな森を回りつくすのはいくらわれでもちと大変だからな。決して疲れたわけでも飽きたわけでもないぞ。


 よし、なんかいい感じに開けてて日当たりの良さそうなあそこを拠点にしよう。なに、この森は不必要な殺生をしない存在に対しては寛容なようだからな。わざわざわれに喧嘩を売る輩はそういないだろう。

 そうと決めたら早速マーキングしておこう。ふふふ、これで今日からわれの新たな縄張りだ。ふふふ、ふははは、ふはははははは!


 ふう…。ちとテンションを上げ過ぎたな。近くの川で水でも飲んでこよう。ついでにちょっと狩りでもしてこのたぎる血を落ち着けることにしよう。


 結局戻るのが夜になってしまったな。くそ、あの緑色のぴょんぴょんと跳ねるやつめ、虫けらの分際でわれから何時間も逃げるとは生意気なやつだ。まあわれの手にかかれば最終的には文字通り腹の中に収まってしまうわけだがな。ところで『文字』とはなんなのだろう。母殿がにょろにょろした模様を描いて説明していた気がするけど、よく覚えていない。

 ちと疲れたしもう拠点で休むことにしよう。ふふふ、自分だけの拠点というのはいいものだな。

 帰る場所がある。自分の居場所がある。誰にも侵されない聖域があるというのは、本当に素晴らしいことだ。


 だというのに、なぜ、その、われの拠点に、人間がいるのだ。



*****



 俺の名前はケイ。半年位前に召喚された勇者の内の一人だ。

 大学の講義が終わってぶらぶらと街を歩いていたら急に叫び声が聞こえて、立ち止まってすぐ横を見るとなんか四人組の高校生が叫んでて、地面がピカッと光ったと思ったら異世界の城にいた。


 こういう展開は大学生の嗜みとして読んだラノベで何度か見たことがあるが、自分で経験するとは思わなかった。しかも定番の一つの巻き込まれたパターンだ。


 この世界は魔王の脅威にさらされており、それに対抗するために国々が力を合わせ、何年も研究を重ねた秘術を魔法師とやらが決死の覚悟で行い、呼びかけたのが俺以外の四人の勇者たちらしい。

 男二人、女二人の彼らは孤児院出身であり、呼びかけられた時に異世界に来ても元の世界から彼らの痕跡は消え何の問題もないことを説明され、快諾して気合を入れるために叫んだらすぐ隣を歩いてた俺が立ち止まってしまい、召喚陣の中にいたせいで巻き込まれたそうだ。もちろん元の世界に帰る方法はない。


 うん、いろいろテンプレだな。

 とりあえず暗殺されるとか監禁されるとかはなかったが、タダ飯食らいは許さないのか強制的に戦闘訓練をさせられた。

 その結果わかったのは、俺は勇者としての力は宿していないということだ。


 空間属性という珍しい属性は持つものの、一般人より多少高い程度の魔力しか持たないため、使えるのは簡単な魔法と倉庫サイズのアイテムボックス的な空間魔法だけだった。

 魔力量は成人するまでに決定するらしく、すでに二十歳の俺は魔法能力にこれ以上の期待はされず、ひたすら剣を振らされた。


 勇者としての力がないとわかったせいか、城での俺に対する扱いは日に日に悪くなっていった。挨拶は無視されるわ世話は一切されなくなるわ、地味に辛かった。

 それでもご飯は食べられたし、本当に数人だけど手を貸してくれる人もいたおかげでなんとかやっていけていたのだが、召喚されてから三か月後、新たに俺に下されたのは勇者たちと共に荷物持ちとして魔王討伐に行けという命令だった。


 どうやら空間魔法を使える人物は本当に少ないらしく、どの国も手放すのが惜しいためいなくなっても構わない俺に目を付けたようだ。

 どうせ抵抗できないと考えた俺は、逃げ出すことを密かな目標にして旅に同行することにした。

 そして三か月ほど召使いのような扱いに我慢しつつ、魔族領に接する国に到着した俺は本日無事に勇者たちから逃げ出すことに成功した。


 逃亡先は、竜王の森だ。


 竜王の森とは、人間領と魔族領の境目の一つとなっている広大な森である。

 この森には竜王と呼ばれるとても強力なドラゴンが住んでおり、そのドラゴンは生きるために必要な採集や狩りには関与しないが、過度の伐採や不必要な争いを感知すればどんな種族だろうと排除のためにブレスをぶっ放す、非常に平和主義な暴君なのだそうだ。


 近くの国が魔族領偵察のために100人程の軍隊を送り込んだ結果、一日も経たずにブレスで壊滅したというのは森に接する国の間では有名な話らしい。


 この話を旅中の密かな情報収集で知った俺は、この森なら追手を気にすることなく、ほとぼりが冷めるまで隠れ潜むことができるかもしれないと考えた。

 そして現在に至る。

 追手の気配は感じない。もしかしたらいるかもしれないが、もともと感知なんてできないので気にしない。襲われたらその時はその時だ。


 逃亡生活は一週間にも及んだ。

 一週間前に勇者パーティから抜け出して、ほとんど休まずに走り通した。

 食料や水は魔法で何とかなっていたが、そろそろ体力が限界だ。


 さすがにもう大丈夫だろうと安心してきたところで不自然に広がった空間を見つけた。

 ああ、ドラゴンのブレスでもくらった場所かな、とか、家とか畑つくるならスペースがあった方がいいかな、と働かない頭でとりとめもなく考え、寝て起きてから改めて考えよう、と結論を出した直後、俺は前のめりに倒れこみそのまま眠りに落ちた。

もし一度でもニヤッとしていただけたら幸いです。

お読みいただきありがとうございました。

よければ続きもお願いします。


ちなみに作者はねこを飼ったことはありませんorz

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