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六話



『前の試験監督者は私ではなかったので、聞きますが貴方のその卓越した感覚は一体何ですか?何らかのスキルや能力が?』


「えっと、感覚についてのスキルとか能力とかはないです、特別といっても悪神とやらに付けられた呪いぐらいで、後はダンジョンでの経験が生きたなとおもうぐらいですけど・・・?」


『はい?・・・神様由来ですか・・・それは・・・ええまぁ、うん。具体的な効果等は?』


「偶に物が壊れたりレベルが上がらなかったりします。こう、物が壊れる時とか体から黒い線みたいなのが伸びたりして、そっから砕け散ったりしますね・・・解呪とか試してみようとしたんですけど、【神呪】の類はそれこそ専門の神様じゃないとダメとかで・・・そんなん一般人には如何にも出来ませんし・・・」


『レベルアップが出来ない時点で冒険者の道は普通諦めると思いますけど、まぁいいです。ともかく!【シーフ】レベル10の試験突破、おめでとうございます。これでシーフの技能に【モンスター感知】が神様への祝福によって追加されます』


「あ!あの一応聞きますけど今回の試験って単純にモンスターの気配を感じ取るシーフの【モンスター感知】の下地となる技術を確認する試験だったんですよね?」


『ええ、そうですね・・・普通はここで詰まる人って結構多いんですよ?特にウィザード系の人はシーフの適正の分かれ道となってる一つの壁ですね」


「へぇ・・・」


『呪いではないとするならば、貴方のその感覚は冒険者になるにあたって大きな武器になるでしょう、これからのご活躍をお祈り申し上げます』


「・・・はい、ありがとうございました」



そう言い終わると、扉を開ける。


すると元の廊下に戻り、一息つけると同時に職業技能ジョブスキルを発動する。


発動し、人がこちらに向かってくるのを感じ取り、正しいかを確認する。


・・・ちょうど職員さんが書類を運んでいる所だった。



「ちゃんと、覚えられてるな。やっぱり技能レベルはちゃんと上がるんだな、俺」



これはレベルアップが出来ないと分かった後、技能レベルの試験を受けてからは欠かさずやっている事だ。


・・・神様の呪いや周りに悪影響を与えたりする奴等を蔑称として【危険能力者デッドアウター】と呼ばれたりする事がある。


まだ周りに被害を与えていないだけで凶悪な能力を持っていたりする人や本人の意志とは関係なく周りに被害がいく人、また役に立たない能力や自分だけが被害を負う様な奴等は【デメリット】と呼ばれる事が多い。


この【デッドアウター】と【デメリット】の人との違いは一つだけ、自分の意志で周りに悪影響を与えたかどうかだけだ。


俺はまだ【デメリット】の範疇だが、呪いを何かにぶつけるなんてのはやってはならない事だ、実家が神社だったから尚更だ。


だからまだ俺が【デメリット】でも頑張れる希望がこのジョブレベルを上げる事なんだ、そのせいかついつい確認の為と言い訳して頑張った証を試験後すぐに試してしまう。


にしても、今回の試験。


――思い返すは苦い記憶。


前の経験が生きてよかった。


昔にインビジブルモンスターで痛い目にあって以降、俺の危機察知能力は特に研ぎ澄まされる様になった。


()()()()()()()()様になったのだ。


――正しくは自分以上の神秘で、尚且つダンジョン内限定だが。


俺のレベルは1のまま。


他のダンジョン内にいるモンスターは空間に満ちている神秘よりも特に多い神秘を持つ。


動いている塊の神秘を追っているだけで、気配なんていうのは全然追えてなかったのだが、まぁいいだろう。


正直ジョブスキルのモンスター感知――ジョブスキルは殆どが才能の後押し――が使えるようになっただけでも嬉しいものだ。


危険は少ない方がいい。


これで万が一が減るなと思うと思わず口元が緩んでくる。



「おし、今日は贅沢にピザでも食べよっかな」



試験合格祝いだ――そう呟き俺はサポセンを後にした。



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