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ラテリアちゃんはチュートリアルちゅう?  作者: 篠原 篠
ドールマスター
80/119

05

 古都イニティウム。北のメインストリート。

 この通りは高価な装備品や、レアなアイテムを扱う、上級者向けの店が多く並んでいる。


 ワンランク強くなろうと、財布をパンパンにした上級者から、憧れの装備をただただ眺める初心者まで、北のメインストリートは多くのプレイヤーがショッピングを楽しんでいた。


 その中の一人。金髪のポニーテールをリボンで結び、黒と紫の可愛らしい魔導着を身につけたプレイヤーが険しい顔をして、ウィンドウ越しに置かれた高価な装備品を眺めていた。


「うー……、一、十、百、千……やっぱゼロが一個多い……」


 物欲しげにしている自分の顔がウィンドウに映っているのを無視して、ウィンドウにトントンと指を当てながら慎重にもう一度値段の桁を数え直す。


「……万、十万、百万、一千万、億……数え間違いじゃない」


 自分の持ち金と値札を比べて、がっくしと肩を下げてため息を吐く。


 彼女の目の前に置かれた装備は女の子プレイヤー用の魔法のステッキだ。

 武器名マジカルステラ

 値段は一億リム。


挿絵(By みてみん)


「ぐぬぬ……欲しい……これがあれば、これがあれば私だって……くぅ〜〜」


 彼女の所持金は7000万弱。全然足りない。


 彼女のプレイヤー名はノノア。

 クラス魔法少女。

 レベルは100。

 三桁のレベルを持つ上級プレイヤーだ。歳は十二。来年から中学生になる。


 目標は黎明の剣、その代表パーティである勇者パーティに入ること。

 その目標に一歩近づくためにどうしてもこの武器が欲しい。


 値切りたい。

 値切るか、借金してでも欲しい。

 それ程までにノノアの理想とした武器だった。


「値切る……のは無理よね」


 一億リムは上級者でもかなりの大金である。が、ノノアの見立て、このマジカルステラは一億なんて目じゃないほどの性能を持っている。ノノアなら更に五千万上乗せ……いや、時間を掛けて二億で売るだろう。


 相場に合わない格安。これ程までの武器を作製してるのだから、相場をわかってない初心者ってことは考えづらい。つまり、これを売っているプレイヤーは急ぎでお金が必要なのかもしれない。値切るのは難しい。


「となれば借金、だけど……」


 まだ小学生のノノアには借金という負の単語は重かった。


「借金やだなぁ」


 というのも、ついこの前借金の返金を終えたばかりの身だったりする。他の装備品を揃えるために、思い切って借金をしたのだけど、これが失敗だった。

 利子とか小学生のノノアにはまだちょっと難しかったのだ。返金するお金がちょっと増えるくらいと甘く考えていた結果、痛い目にあった。

 泣いた利子はお勉強代と前向きに考えるようにしたが、今も振り返ればちょっと悔しい。


「頑張って貯めるしかないか」


 残り3000万リム。頑張ってもすぐに集まる金額じゃない。


「あなた売れちゃダメだからね」


 返事のないマジカルステラにそう言いつけて、集会所に向けて踵を返す。お金を稼ぐにはクエストをこなすのが一番の近道だ。


 その道中はとても歩きにくかった。

 動線で立ち止まるプレイヤーが多くて渋滞しているのだ。

 よく見れば立ち止まっているプレイヤーの手にはリエゾン発行の号外を握っていた。


 それを見てノノアも納得する。


 今日のホワイトアイランドはお祭りだ。そう殆どのプレイヤーが思っているだろう。


 今朝のギルド戦では頂上決戦であり、大いに盛り上がった。しかも最強ギルドが入れ替わったとなれば、島中のプレイヤーはこの話題で持ちきりだ。


「まぁ、私は前からテトがいる黎明が最強って知っていたけどね」


 ノノアはふふんっと得意げに鼻を鳴らす。


 自分の応援しているギルドが話題なるのは気持ちいことだ。

 普段ならイライラする渋滞も、今日だけは気分が良かった。

 勇者パーティを讃える話し声に耳を傾ける。


「マジやばいってナナオ。マジぱねー」


「圧倒的だよねー。やっぱり上位ギルドって怖い」


「でも見てるぶんには面白いよな。俺ちょっとナナオ好きになったかも」


 …………あれ?


 ノノアの想定していた内容と違って、何故かナナオ騎士団の単語がよく耳に入った。


 なんでだろう。普通、勝った黎明の剣が凄い凄い言われてると思うけど。そもそも今朝のギルド戦の話題ではないように聞こえた。


「号外ー。リエゾン号外はいかがっすかー」


「はいっ! 貰う! 号外貰う!」


 たまたま近くから聞こえたリエゾン号外に、人に揉みくちゃにされる中、ノノアは手を上げて自分の場所を知らせる。

 NPCは慣れたように人ゴミを泳いで来て、ノノアに号外を渡した。

 それを見てみれば、ナナオ騎士団とサダルメリクの戦争記事が書かれていた。


「げ……」


 記事のほとんどは映像で、リポーターをしていたリエゾンメンバーがナナオ騎士団のメンバーにキルされるところだった。

 号外を手に入れたばっかりなのに、映像は真っ暗になってなにも映らなくなる。


 が、それはいい。

 黎明の剣にしか興味がないノノアにとって、この二つのギルドがどうなったていい。

 むしろ勝手に潰し合いをしてバカじゃないのと思うまである。

 ノノアが思うところは別なところにあった。


「なんかイヤな予感がする」


 ナナオ騎士団とサダルメリクの戦争記事を見て、ノノアはぶすっと呟いた。


 この騒動で誰が損をし、誰が得をするのか。


 損は言わずもがな、サダルメリクだろう。

 では、得をするのは?

 ナナオ騎士団?

 いや違う。

 総合的に見ればナナオ騎士団はそれ程得をしていない。


 サダルメリクのプレイヤーをキルし、運良くレアアイテムがドロップすれば、ライバルギルドの戦力を低下させ、奪ったアイテムを売っていい装備が買える。


 だが、それは運良くレアアイテムがドロップすればの話だ。サダルメリク程のギルドになればしっかりPK対策はしているだろう。装備品以外のインベントリにハズレアイテムを引き詰めれば、レアアイテムドロップの確率は悲しいほどに低い。


 逆にナナオ騎士団のメンバーがやられ、運悪く装備アイテムが奪われれば大損である。それでもサダルメリクは城をめちゃくちゃにされ、修復費を考えれば大損確定。ナナオ騎士団は損するか得するか、それともトントンかってところだろう。


 しかし長い目で見て、グランド・フィスティバルの出場権を考えれば、得なのかもしれない。

 出場権は序列一位ギルド。

 グランド・フィスティバル予選一位ギルド。

 そして、島全プレイヤーによる推薦枠。


 ここでサダルメリクより強いことをアピールすることができれば、推薦枠の獲得に繋がるかもしれない。と言ってもナナオ騎士団なら予選で一位を獲得しそうだが。


 それを踏まえても、最も得をしているのは誰か。


 それはリエゾンだ。


 この号外だって、タダじゃない。しっかり2000リム取っている。安いが、塵も積もればなんとやらだ。


 で、ノノアが何故嫌な予感を感じているかというと。


『ちょうど良かったノノア。人手不足です。今すぐサダルメリク城近隣の森に来てください』



 ノノアの所属ギルドはリエゾン、その報道部メンバーだからである。



『来ると思った! イヤ! 絶っっっ対にイヤだから!』


『何を言ってるのですか。稼ぎ時ですよ。部員の皆、喜んでキルされてしまって人手不足なんです』


 まるで弾切れと言っているような言い草だ。部員をなんだと思っている。


『知ってた! そうなるの知ってたから! 私をそんな頭のネジが外れた金の亡者と一緒にしないでよね!』


『大丈夫です。レベル三桁のあなたなら上手くやれば死にません』


『上手くやらないと死ぬ現場になんて行きたくないって言ってるのよ! バカじゃないの!?』


『年上にバカと言うものではありません。しかし困りましたね……』


『困りましたねってねぇ……』


 リエゾン。その特殊なギルドは構成も特殊である。


 リエゾンは幾つかの部によって役割を分けられていて、情報部、サポート部、報道部の大きく分けて三つ。


 部の中にも細かく分けたもの、例えば報道部の中に放送部とかあるが、今は置いておく。


 各部を簡単に説明すると、情報部は名前の通り情報を集める部である。

 どんなクラスがあるか、どんなスキルがあるか、その条件はなにか。そんな情報を売買している。


 情報をまとめるだけとあって、プレイヤーのレベルはそれほど求められていない。基本的なゲーム知識を持っていれば務まるだろう。


 サポート部。この部はパーティが集まらなくて人が欲しいとか、どうしてもクリアできないクエストの用心棒とかやっている。もちろん有料だ。

 実際に外に出ることが多いだけに、部に入るにはそれなりに高いレベルを要求される。


 そして報道部。この部は頭のネジが外れた金の亡者が入る部である。スクープを取ればギルドからの羽ぶりはいい。

 例えば上位ギルドのいざこざ、まさに今起きている戦争は稼ぎ時だ。

 いい映像、いい写真、いい情報を入手すれば、それだけで多額のお金を手に入れることができる。

 が、リスクが高い。今回の件でいえば高確率でキルされるだろうし、変な記事を書いたり、秘密を知れば恨まれて粘着PKなんて事もある。それ故にあまり人気の無い部で、金に困っているプレイヤーが多い。


 そして、人手不足を補うためにできた頭のおかしい制度が死亡手当がある。

 スクープを抑える時にもし死んだ場合、リエゾンがら手当がでる。それが結構の多額で、さっき念話であったように、部員は喜んでキルされるのだ。お手軽にお金が手に入るから。


 ノノア自身、お金目当てでリエゾン報道部に入った。だけど、キルされてまでなんて、そこまで頭はぶっ飛んでいない。それに、


『私は休みを出してるの。今日一日用事があるって』


『別に休みを取っても取ってなくても参加は自由です。うちはブラックギルドではありませんから。だからお願いしているのではありませんか』


 嫌だと言っているのにしつこくお願いしてくるのはブラックなのではないだろうか。


『それに、あなたの用事って午前中のギルド戦でしょう。愛しの勇者様が勝ったのだから心置き無く稼げるではないですか』


『い、愛しのって! ただ強さに憧れているだけで……! からかうならもう切るから!』


『まぁいいです。そこまで断るなら仕方ありません。残念ですね。上手く戦闘を録画してくれば1000万リム程の報酬がでましたのに』


『え?』


 念話を切る間際。普段の報酬より数倍の金額を耳にして、念話を切ろうとしていた指が止まった。


『あ、間違えました。休みの届けを出しているのなら休日手当でその1.5倍。もしキルされてしまったら死亡手当で更に2倍……』


 1000万リム。1.5倍1500万リム。2倍で……。


『3000万リムくらいは稼げますのに』


 3000万リム。所持金7000リムと合わせれば1億リムを超える。マジカルステラが買える!


 ノノアの目は$マークに変わっていた。


『サダルメリク城近隣の森ね。すぐ向かうわ!』


 もう金の亡者でいい。あのマジカルステラが手に入るのなら何回死んでもいい。もちろんゲーム内の話だけど。


『リベラのテレポステーションは使わないようにして下さい。ギルドホールに私の近くの座標を記憶させた《記憶の魔石》があります。それを使うように』


『了解よ!』


『……………………………………ちょろいですね』


 念話の最後、なにか聞こえたような気がしたけど、ノノアは気にせずギルドホールに向かった。




÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷




 サダルメリク城近隣の森。その中で一番高い木の上にリエゾン報道部の部長、五十鈴がいた。


 木の先端を折って足場を作り、そこに爪先立ちしている。流石クラスがくノ一なだけあって、バランス力は抜群だ。


 転移先が事前に木の上とは聞いていたが、はたから見れば目立つ。ノノアは転移して早々ステッキを握り、不慣れな飛翔スキルで森の茂みまで高度を落とした。


「来たわよ。ずいぶん目立つところにいるけど、大丈夫なの?」


「問題ありません。案外下より上の方が安全なものです。下からは見えませんし、気づかれても逃げやすいので」


 五十鈴が言うのならそうなのだろう。

 報道部長。それは肩書きだけでない。レベルもノノアより高いし、隠密行動のスペシャリストだ。実力は昔見せてもらった。


「それでは早速仕事……と言いたいのですが、その前に残念なお知らせがいくつかあります」


 五十鈴は顔色一つ変えずにそう言った。


「残念なお知らせ? まさかここまで来させておいて報酬が下がったとか言わないわよね?」


「違います。さっきまで金の亡者じゃないって言っていたのに、頭の中はお金だけですね」


「ちがっ! だって残念なお知らせって!」


「少しボリュームを下げてください。見つかったら面倒です」


 五十鈴がそう言ったすぐ後に、下からガサガサと草をかき分けるような音を耳にして、ノノアは慌てて口元を両手で抑える。

 でも、よく目を凝らして見れば、いたのは雑魚モンスターだった。


 心臓に悪い。もしここでナナオ騎士団のメンバーに見つかって、キルでもされれば報酬が貰えない。無駄死にだ。


 ホッと胸を撫で下ろして、五十鈴に向き直る。


「それで、残念なお知らせは?」


「戦力が二人しかいません。私とあなた」


 その知らせはノノアも予期していた。そもそも報道部のメンバーが尽きたから連絡して来たに違いない。

 それを先に言えと目で訴えるが、五十鈴は涼しい顔でノノアの顔に気づかないふりをしていた。


「情報部にも声をかけたのですが、残念ながら断られてしまいました。情報部の部長も今忙しいようで、使えそうな部員にも声をかけたのですがね」


 そうでしょうね。忙しくなくても来ないと思いますよ五十鈴さん。と心の中だけで嫌味を言っておく。

 誰だってわざわざ死にに行きたくはない。


「サポート部は? 強いプレイヤーが必要なら一番強いのが揃ってるんじゃないの?」


 と言っても、ノノアは報道部以外の部員のことはよく知らない。でもノノアほどのレベルを持ったプレイヤーは限られるだろう。いても部長を含めて二人くらいだろうか。

 Lv.100以上の三桁レベルは立派な上級者プレイヤー。上級者ならリエゾンなんかよりギルド戦が活発なギルドに入る。リエゾンに留まっているのは変人か、ノノアのように目的があるプレイヤーくらいだ。

 リエゾンは成長過程の踏み台で、強くなれば皆離れて行く。


「サポート部……カグラですか。あれはダメです。使えません」


「なんでダメなの?」


 サポート部部長だけあってギルド内ではそれなりに有名人でノノアでも知っている。

 ただ、会ったことはなく噂でしか聞いたことがないが、なんでも、五十鈴より強いらしい。知っている情報はそれくらいだ。でも、強いならそれに越したことはないと思うが。


「〝基本的に〟リエゾン報道部は常に中立でいなければいけません。特にグランド・フィスティバルを控えてる今は特にそうです。我々の影響で推薦枠が決まりかねませんから」


「それがなにか問題があるの?」


「カグラはすぐに手が出ます。特に強いプレイヤーを見つけたらすぐ決闘なんてザラです。最悪、彼女がこの戦争に乱入して、リエゾンも戦争に参戦なんて事になれば目も当てられません」


「ふーん」


 五十鈴の言うサポート部部長はノノアが噂で聞いていた人物像とだいぶ違っていた。厳しくも物静かで、小さい女の子が好きと聞いていたが、実際はかなり荒っぽい人のようだ。


「そして、残念なお知らせがもう一つあります」


「今度はなによ」


 ここまで来たら、お金以外なら幾ら残念なお知らせが重なっても気にならない。どうせ途中でキルされるし、ノノアとしてはむしろキルされた方が報酬が上がって好都合だ。


「戦いは城の中で行われているので、城内に浸入して撮影しなくてはなりません」


「は? なんでよ。さっき号外を見たけど遠くから撮っていたじゃない」


「あれでは中でなにが起こっているかわかりません。求めているのは上級者プレイヤーのぶつかり合いです。ヴァルキュリアとナナオ騎士団の戦闘を数分程度撮影出来なければ報酬は渡せません」


「はぁ!? なんで私の時は浸入して撮影しないと報酬なしなのよ! 不公平! 不公平よ!」


 城内に浸入なんて冗談じゃない。そんなの浸入する前にキルされるか、浸入しても数秒でキルされるに決まっている。


「なにを言っているのですか。報酬1000万リムですよ。それ相応の難易度なのは当たり前です。遠くから撮影なんてLv.1でもできます」


「っぐ……それはそうかもだけど……」


 呆気なく論破された。

 議論する余地もなく、ノノアは言い返すことができない。大金を稼ぐのにそんな美味しい話があるわけないのだ。


 納得せざるを得ないけど、やっぱりいくらなんでも無茶だ。城内で、しかも戦闘シーンを撮影なんて戦闘してる真横に突っ立ていろと言っているようなものだ。数分も生きていられるわけがない。


「そう心配しなくても大丈夫です。あなたは飛べるのですから、適当な裏の窓から侵入すれば最初から見つかることはありません」


「でも、人を持って飛べないわよ? 五十鈴はどうするの?」


「私は浸入しませんので問題ありません」


「え? 五十鈴が護衛してくれるんじゃないの!?」


「私は別の任務がありますので」


 さっき戦力二人って言っていたのに話が違う。これじゃ一人。ソロである。


「裏から入れば、サダルメリクの背中を取ったようなもの。ナナオはともかく、サダルメリクが故意にプレイヤーをキルすることは考えにくいです。

 それに、紛れ込んでしまえばサダルメリクのメンバーと間違えてくれるかもしれません。上手く立ち回って撮影して下さい。それでは私はもう行きます。ご武運を」


「あ、ちょっと!」


 言うだけ言った五十鈴はノノアの文句を聞く前に木から飛び降り、茂みの中に姿を消してしまった。


「……最悪」


 せっかく今日は黎明が序列一位になって気分のいい一日になりそうだったのに。


 もうこうなったら割り切るしかない。それにチャンスでもある。

 なにせこれをこなせば3000万リム。マジカルステラが買える。目標に一歩近づける。


 ノノアの目標は黎明の剣に加入し、勇者パーティに選抜されること。そうなれば相手にするのはナナオ騎士団やサダルメリクだ。ちょっと順番が入れ替わっただけ。


「や、やってやろうじゃないの……」


 努力なしに目標の達成はない。ノノアはここまで努力してきた。努力は裏切らない。


 今までフィーニスアイランドに費やしてきた時間を思い返して自分を焚きつける。相手だって同じ子供。そんなに怖がる必要はない。


「やるからには凄いの撮って、報酬ふんだくってやるんだから!」


 ちょっとだけ震える足を叩いて、ノノアはサダルメリク城に向かった。


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