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ラテリアちゃんはチュートリアルちゅう?  作者: 篠原 篠
ディア・セイナ
72/119

19


 そこは戦場だった。


 密林を切り抜いたような平地に抜けたラテリアの眼に映ったのは、なにかとてつもないチカラによって抉られたと思われる黒ずんだ大地。そこに大きくHPが削れた勇者パーティが地に膝をついていた。


「なにがあった!」


 なにが起きてもおかしくない未開地で躊躇なくテトは仲間の元へ駆け寄る。


「テト! 上だ!」


 アイシャが叫ぶと同時にテトとラテリアは空を仰ぐ。


 そこにいたのは龍。いや、雄鶏か。


 様々な生き物が混じり合ったような奇妙なモンスターが羽ばたき、勇者パーティを見下ろしていた。


 白鶏王コカトリス。Lv.175。


 規格外な巨大な体を持つそのモンスターは、このダンジョンに住まうどのモンスターよりも大きかった。


「七大クエストのボスモンスターじゃねーか! なんでこんな奴を相手に……」


 テトの疑問はもっともだ。通常のモンスターさえも満足に倒せないこの未開地で、ボスモンスターなんて無謀。そんな事は勇者パーティ参謀を務めるアイシャだって分かりきったことのはず。


「奴の頭を見ろ」


  コカトリスの頭は雄鶏だった。体はドラゴン。尻尾は蛇で、尻尾にもまた蛇の頭がついている。


 アイシャの言う頭に注視すると、そこには蠢くものがあった。


 赤い鶏冠がこの島の王者の証の王冠であるかように円を描く、その中にも別のモンスターがいる。


「カエル……?」


「そうだ。その中に黄金の卵がある……!」


 蠢くのは複数体のカエル型モンスター。黒に毒々しい黄色い斑点の入ったボディをするそれらの隙間から、時折金色の光が漏れるのをラテリアも確認できた。


 コカトリスの頭の中上にある巨大な金の卵は一つ。


 まるでカエル達は卵を護るように、また、卵を温めているようにも見える。


 ラテリア達の目的のアイテムはそんな場所に存在していた。


「来るぞ!」


 そう叫んだのはガトウだった。


 どうやってあの卵を手に入れるか考える暇もなく、危機は迫る。


 ラテリアが見たのはコカトリスは巨大な翼を広げ、羽ばたく姿。たったそれだけで嵐が巻き起こった。


 突風が勇者パーティを襲う。皆中腰で踏ん張り、耐え凌ぐ中、ラテリアは堪らず近くの木にしがみつく。


 ダメージは無い。ただ、身動きを封じられる。

 地から足が離れれば吹き飛ばされる突風はラテリアのスキル、ゴッドウィングと似た技だ。


 その嵐の中、コカトリスの羽根が舞っていた。コカトリスの体から離れ、嵐と共に舞い踊る羽根は無差別に地面に突き刺さる。


「気をつけろ! コカトリスの羽根は猛毒だ!」


 羽根の突き刺さった場所は例外なく腐敗した。


 木に刺されば、爛れ、重力にさえも耐え切れないほどに脆くなり、崩れていく。それを見てラテリアは青ざめた。


 勇者パーティの立つ緑の無い黒い大地は抉られて作られたわけじゃない。コカトリスの羽根で密林が腐敗した姿だったのだ。


 広がる腐敗は勇者パーティにも侵食していく。突風で動けない中、羽根の直撃は無いものの、全員のHPゲージの色が濁る。

 

 Lv.4の毒。全員ものすごい勢いでHPが減少していく。


 イトナがLv.5の毒をリトルガンドから貰った時のことを思い出す。あの時、イトナのHP減少はとても緩やかだった。でも、目の前にいる勇者パーティの減り方はそれと比べ物にならないほど速い。イトナの毒耐性がとてつもなく高いことを思い知る。同時に毒の恐ろしさを思い知った。


 早く解毒薬を使わないと。


 コカトリスの突風が止む頃には全員のHPが半分を切っていた。


 セイナから貰った解毒薬を取り出す。早くこれを配らないと皆んな死んでしまう。


「皆さん! これを!」


「バカ! 人の心配する前に自分のHP確認しやがれ!」

 

「え」


 解毒薬を両手に持って走るラテリアは怒鳴りつけるロルフの声に自分のHPを確認する。


「っ!?」


 絶句した。


 ラテリアのHPは真っ赤。残り一割を切る、絶命寸前を知らせる瀕死の赤。


 腐敗した大地の外にいたラテリアも毒の状態になっていたのだ。


「雑魚が出しゃばるな! それ飲んで下がってろ!」


 ラテリアは慌てて手にしていた解毒薬を口にして毒を解除する。見れば、勇者パーティもそれぞれ解毒薬を取り出して解除していた。


『ロルフの言う通りだ。悪いがラテリア。君は一旦下がっていて欲しい』


 アイシャのパーティ念話が頭に響く。


『わ、わかりました……』


 端的に言えば戦力外通告だった。普通に考えれば当たり前のこと。Lv.78のラテリアがLv.175とやり合えるわけ無いのだから。


『簡単に黎明のパーティ念話ルールを話しておく。基本的に無駄な念話はするな。必要な報告と指示だけを念話でやり取りする。戦闘中はそれに対しての返事もいらない、そして今は戦闘中だ』


 情報のやり取りは必要最低限。それが最上位ギルドのルール。

 今までラテリアが入っていた雑談ばかりする野良のパーティとは大きく違う。


『反撃を開始する! 戦闘準備!』


 アイシャの号令で剣を、ナイフを、箒を、弓を、拳を構え直す勇者パーティ。


 そして一段と顔が引き締まった。


『今回は攻略が目的じゃない。アイテムの入手! コカトリスに勝とうと思うな! アーニャは風の補助魔法を詠唱! 前衛はコカトリスを引きつけろ! 私は援護する!』


 アイシャの指示に勇者パーティは返事をせずに行動に移った。


「風の精霊よ。戦友を包む大気の加護を与えたまえ。 《エア・レジスト》!」


 高速の詠唱でアーニャが補助魔法を終える。


『アーニャ、狙いは卵だ。カエル共々ゴナゴナにしていい。入手したいのは卵の一欠片。思いっきりやれ!』


 アーニャがアイシャの指示に頷くと、箒に飛び乗り、移動しながら攻撃の詠唱を開始し始めた。


「火の精霊よーー」


 その間、前衛は猛進していた。


 恐れを知らない戦士の様に、Lv.175のモンスター目がけて駆けていく。


「飛ばれちゃーやりずれぇ。一旦叩き下ろすぞ。俺が上からデカイのを撃つ。その間ガトウとロルフにタゲ頼んでいいか?」


「御意」


「おうよ!」


 横三列に並んでいた前衛はテトの指示に、両端を駆けていたガトウとロルフがスピードを上げる。


「羽根には触れるな。硬いと思うが龍の部分を叩くぞ。オレが飛んできた羽根を捌く。ロルフは何も考えずに拳を入れろ」


「ハンッ!」


 一番簡単な役目を渡されて不満気に鼻を鳴らすロルフ。


 未だ上空に佇むコカトリス目がけて二人は思いっきり飛びかかった。


 ロルフは硬い拳を光らせ、ガトウはそれに並行して跳躍する。


 スキルの発光に気づき、コカトリスの大きな眼がギロリと二人を捉えると、再び大きく翼を広げた。


 さっきと同じパターン。でも、今は状況が大きく違う。


 吹き荒れる突風が二人を襲う。が、アーニャの空気抵抗の魔法のおかげで、跳躍した二人の体は風に煽られることはない。真っ直ぐコカトリスの体への接近が許された。


 飛び交う毒の羽根はガトウが見事に捌く。その中、ロルフが攻撃範囲内に入る。


「まず一発だ!!」


 大きなイカヅチのエフェクトを吹かせて、ロルフ渾身の一撃が龍の鱗に突き立てた。


 その攻撃に対してコカトリスは悲鳴も、咆哮も上げなかった。HPの減りは目では確認できないほどの些細なダメージ。


「くそっ!」


 コカトリスの変化のないHPゲージを見て大きく舌打ちを打つロルフ。でも、コカトリスの気を引くには十分な攻撃だった。


 コカトリスは体を捩らせ、ロルフに巨大な顔をぐんっと迫らせる。


 完全にターゲットを取ったロルフに予想を越える速さで接近したコカトリス。


 ロルフは一瞬焦った顔を見せると、ニヤリと笑って見せた。


 ロルフの視線はコカトリスよりも更に先。太陽に被るようにして剣を振りかぶるのは勇者の姿。


 そして勇者の剣は巨大だった。


 スキルにより巨大化した剣から発せられる金の光がコカトリスを強く照らす。


「どッッせーーーーーいッッ!」


 叫び声にも近い気合の咆哮と共に、剣が振り下ろされた。


 巨大な剣はコカトリスの首元を捉え、そのまま地面まで叩き落とす。


「畳み掛けろアイシャ!」


 ガトウがそう叫ぶのとほぼ同時に、アイシャは弓ではなく、魔法の詠唱を開始した。


「森に宿りし新たな生命よ。今芽生え、敵を縛れ! 《ミスルトバインド》!」


 息吹くようにして魔法が大地に広がる。


 腐敗した土地に緑が芽生え、様々な植物が成長していく。急速に再生していく大地の中で、コカトリスが落とされた場所だけが異常だった。


 芽吹いた植物の蔓が、根が、コカトリスに巻きつき、捕縛しながら尋常じゃない速度で成長していく。


 魔法により誕生した植物が、完全にコカトリスの動きを封じていた。


 そこに、紅蓮のマジックサークルが展開される。


「猛々しい、炎よーー」


 身動きが取れないコカトリスを見たアーニャは詠唱テンポを変える。


 前半は超高速詠唱だったのが、中盤から速度を明らかに下げていた。ゆっくりと、タイミングを待つように。そして今、再び詠唱が高速化される。


「世界を紅く染める炎の奇跡我の声に応え飛来せよ炎そして嵐を巻き起こせーーーー 《ファイアーストーム》!」


 その瞬間、世界は紅に染まった。


 アーニャが詠み上げると同時、噴火の様に噴き出した炎の渦が轟音と共にコカトリスを包み込む。


 完璧な連携だった。


 これが現ホワイトアイランド最強ギルドにして最強のパーティ。勇者パーティの連携技。


 灼熱の渦が巻く中、思わず美しいその連撃にラテリアは惚けていた。


 凄い。凄すぎる。


 ラテリアの知っている戦いとはまるで別世界。これが最上位プレイヤーの戦い方。


 これがイトナがいる世界なんだ。


 ーー私もいつかこんな風に……。


 未開地のボスモンスターを初見で倒してしまうなんて凄すぎる。きっと、かつてのパレンテもこのようだったのだろう。

 この時、そんな風に勝利を確信していたのはこの場でラテリアだけだった。


 そして、


 灼熱の渦が消え去る時、ラテリアは絶望の光景を見る。


「嘘……」


 渦の中に残ったのはHPゲージが僅かにしか減少していないこの島の王者の姿だった。


 王者は、コカトリスは怒っていた。


 怒りの目がアーニャを睨みつけている。


 変化はそれだけ。


 勇者パーティの連携攻撃で、変化をもたらせたのはコカトリスに強い敵意を持たせた。ただそれだけだった。


「マジか……」


「うそーん!?」


 ラテリアはそんなコカトリスの姿に目を白黒させるが、勇者パーティの驚きはそこじゃない。


 元々Lv.175のボスモンスターになんて敵うと思っていなかった勇者パーティの視線の先は、コカトリスのHPゲージではなく、頭の上。問題は目的の方。


「HPが全く削れていない……あのカエル、完全魔法無効の能力でも持ってるのか……!」


 全員の驚愕が重なる中、コカトリスの体がゆらりと動く。その動きに反応出来たのは勇者パーティの中でも数少なかった。


「ぜ、前衛退避! 下がれ!」


 アイシャが叫ぶと同時に、地が揺らいだ。


 コカトリスが思いっきり地を踏みつけたのだ。


 クエイク。巨大モンスターが稀に起こす地揺れは、地に足をつけるプレイヤーの行動を少しばかり縛り付ける。


 ここが浮遊島のせいか揺れは想像以上のものだった。大地震が起こり、地に足をつけているプレイヤーは問答無用で行動不能の状態異常がかかる。


 反応が出来たのはテトとガトウ。寸前で地から足を離して、大きく跳躍をしていた。


 コカトリスはアーニャから怒りの目を外すと、足元にいるプレイヤーに目を向ける。


 まずはお前からだと言ってるかのように、揺れる大地から逃げそびれ、行動不能になったロルフを睨みつけた。


「くそが……!」


「ギエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」


 初めて上げた甲高い咆哮を前にロルフの体がビリビリと硬直する。


 そして、コカトリスの頬が膨張した。


 口の中に何かを溜め込む仕草。


 それは攻撃の前触れを意味している。


 行動不能のロルフはその攻撃を避ける術はない。


 そして溜め切ったものが慈悲なく放出された。それは灰色の靄。毒ガスにも見える得体の知れないブレスがロルフを包み込む。


「ロルフ!」


 灰色の靄で視界が悪くなる。それが晴れると、そこに残っていたのはーー。


「石化か!」


 石化したロルフの姿。HPは減ってないが戦闘不能と言っていい最悪の異常状態。


 勇者パーティの一人がここで脱落した。


「魔法がダメなら物理だ。ガトウ、カエルを1匹だけ外せるか」


「やってみます」


 ロルフがやられたその時、コカトリスのクエイクから逃れた二人は上空にいた。

 コカトリスはロルフを攻撃するために前かがみになっている。卵を狙うなら位置的にも絶好のシチュエーション。


 ガトウは素早くコカトリス頭上へ接近する。


 小さな一本ナイフを光らせ、カエルを卵から剥ぐように一閃した。


 まるでゼリーにナイフを入れているかのようにスムーズに刃が入る。アーニャの魔法には全くダメージが無かったのに、呆気なくも脆く、一体のカエルはHPを失い消滅した。


 カエル一つ分黄金の卵の一部が晒されたその瞬間、卵を護るカエル達の眼が全て、ギョロリとガトウに向けられた。大切な宝物が盗まれる危機が迫っていると察したように。


「……ターゲットが俺なら好都合だ」


 見れば、カエル達のレベルは160から170。当たり前だが、この未開地の島で雑魚であろうモンスターでさえも、勇者パーティは苦戦を強いられる。


 カエル達は一斉に口を開けると、真っ赤な舌を槍のように突き出した。


 恐ろしく鋭い舌がガトウに襲いかかる。


 ガトウの超反応で二つの舌はナイフで切り落す。が、多数の攻撃に処理が追いつかない。


 捌き損ねた舌がガトウの肩を抉る。肩を貫かれて、ぼとりとガトウの左腕が体から離れ、落ちていく。


「ッぐ……」


 ゲームだから痛くは無い。でも、仮想の体だとしても、偽りの体だとしても、体の一部を失う事にベテランプレイヤーのガトウでも慣れてはいなかった。


 無くなった腕に気を取られ、ガトウの思考は一瞬空白になる。その隙に次々と舌がガトウの体に穴を開けた。


「ガトウ!」


 一方的に攻撃を受けたガトウ。それからは重力に身を任せてカエルの攻撃範囲から逃れる。無数に穴を開けられた体には少しの力も宿っていない。ただ力なく地に落ち、ガトウが小さくバウンドした。


 勇者パーティ、二人目の脱落。


 それでもまだ繋がっている。二人を犠牲にしても、まだ勇者は勝ちを見ていた。


 ガトウが身を挺して作った金色の光に向かって勇者は飛び込む。


「うおおおおおおおおおおおおおお!!」


 《一刀断魂》。テトの選択したスキルは隙は大きくとも、爆発的な火力が出る剣技。


 金色の輝きの一閃。


 ペンタグラムの中でも物理攻撃最強プレイヤーの一撃が大気を切り裂き、黄金の卵へ驀進する。


「ギェッッ?」


 大事な卵への攻撃に気づくコカトリスだが、もう遅い。


 剣が金色の卵に衝突する。

 勇者、渾身の一撃が叩きつけられた。


 そして、ゴナゴナに砕け散った。






 ーーーー勇者の剣が。


 スキルの輝きを纏ったまま、勇者の剣が散った。


「嘘ッ……だろ!?」


 卵には傷一つ無い。耐久値を表すHPバーにも変化が見られない。


 勇者の攻撃を完全無効化。


「卵は……完全物理無効!?」


 テトを含め、まだ立っている後衛二人の驚愕が重なった。


 犠牲を出して繋いだバトンに終止符が打たれる。これで決着をつけるとと決めていたテトはこの後のことを考えていなかった。


 スキル後の硬直に加えて、今は空中。ただ、重力という世界のルールに従って落下することしか許されない。


 そして、卵に危害を加えたプレイヤーをコカトリスは許さない。


 足を軸に大きく回転し、繰り出された尻尾の鞭が容赦なくテトを吹き飛ばした。


 尋常じゃない威力。全速力のトラックが子供を跳ね飛ばすとかの比ではない。豪速で吹き飛ばされたテトはもはや目で追えない速度だった。


 気づけばラテリアの隣に立っていた木がギギギと悲鳴を上げて倒れようとしている。


 テトが飛ばされたその勢いで、木を一本へし折ったのだ。その先にグッタリとしたテトの体から大木に埋まっていた。


 テトのHPバーには色が無かった。緑も黄色も危険を知らせる赤も無く、灰色しか見えない。


「テトさん……!」


 三人目の脱落は勇者。ペンタグラムの一人で、個人戦最強と言われている前衛クラスが、一撃で力尽きた。


 ラテリアは震えた。圧倒的な力の差に震えるしか無かった。


「ギエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」


 コカトリスは尚も暴れ回る。まだ残る勇者パーティ二人に目を向け、再び頬を膨らませる。


 石化のブレス。


「森よ、大地よ。壁となり我を護れ! 《プラントウォール》」


 アイシャは瞬時に防壁魔法を唱え、植物の壁を作る。動かないボロボロのガトウも植物で覆われた。


 アーニャは箒に跨りブレス範囲外へ逃れることを試みる。


 その直後、灰色の気体が噴射された。大地も、風に流されていた葉も、固体物は石と化していく。


 凶悪な状態異常攻撃が風よって晴れれば、あたり一面が石となっていた。


 勝てない。ラテリアはその光景を見てそう悟った。


 石化した獣人。


 体に穴を開けられ倒れたゴブリン。


 木に埋まり、ピクリともしない勇者。


 ブレスに擦り、半身が石化した小人が箒と共に墜落するのが見える。


 褐色の肌を持つ参謀のエルフは、石となって崩れた魔法の植物の隙間からその光景を見て、口を閉ざしたまま動かない。













 勇者パーティは、敗北した。


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