今回の結果と心境変化
初出場の結果、短いです。
全ての競技が終わり、部内での反省会も終わり、他の部員は全員帰ったのに、僕と彼は競技場に残っていた。
「終わりましたね。」
「ああ、終わったな。」
閑散とした競技場の周りをクールダウンがてら散歩している。ちらほら他の選手も見る。
「完敗でしたね!」
「誰がどう言おうと完敗だったな。」
彼は10位、僕は8位で入賞ギリギリだった。
「お、先輩が入賞で満足していないとは!意外です!」
「レースそのものには大満足だけどな。」
レース後二時間程でタイムと順位が張り出される。それを見たときは何とも思わなかったが、三位までが表彰式に呼ばれ、賞状を受け取っているのを見たとき、人生で初めて悔しいと思った。今まで思っていた悔しさとは、比べ物にならない程の悔しさだった。
「それが闘争心ってやつです!ようやく先輩にも付いてきたようですね!」
だから、彼には感謝している。
「お前が前にいてくれたから、負けたくないって思えた。ありがとう。」
「先輩のためじゃありませんよ!自分のためです!自分は先行逃げ切り型なんです!」
「まんまと捕まっておいて、よく言うわ!」
「先輩だってもっと早くペースアップしてれば、記録も伸びたんじゃないですか?!」
「そこまで頭が回らなかったんだよ!自分のペースでもなかったし!」
下らない言い合いが楽しい。部活中に楽しいと感じたのは、いつぶりだろう。
「お互い、課題が見えたな。」
「そうですね。」
沈黙が訪れる。そろそろ彼は帰り支度を始めなければならない。
「それでは先輩お疲れ様でした。」
「お疲れ様だ。次は秋の新人戦だな。」
「次も県大会からですか?」
「当然だろ?楽しみか?」
「当然ですね!」
僕も楽しみだ。次こそ上の大会にいってやる。明日からの練習も、秋の本番も負けない。闘争心と殺意を持って、全力で楽しんでみせる。