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Real End  作者: 下澤華月
1/1

主人公補正かかるんじゃないのコレ

爽やかな朝。

さえずる小鳥。

そして…


「お兄ちゃん!もう朝だよ!起きて!!」


今日も今日とて愛らしい妹の声。

こんなにも出来た妹が他にいるのだろうか。

俺の自慢の妹、その名は━━


━━ピピピッ、ピピピッ


「…んあ?」


俺、起床。

天候、雨。

妹なし。

聞こえてくるのは窓を打ち付ける雨の音と母親の俺を起こす怒声。

……さっきの夢に帰りてえ。

なんだよこの現実。理不尽すぎんだろ。

妹もいなければ姉もいない。

ギャルゲーやラノベのようなキャラなど周りにいるはずもなくつまらん一日が今日も始まる。





「おう、おはよう明輝(あき)

「おぅ、はよう我が友修也」

「いい加減その挨拶やめろよ…」


この呆れた顔を隠そうともしないメガネの親友は多河修也(たがわしゅうや)

ついでに俺は遠藤明輝。

ワックスなんて付けたことないし、オシャレなにそれ?そんなの買うならオタグッズ買うだろ。というような思考だ。

あ、修也は俺と違ってイケメンメガネだから。ワックスで髪も整えてるし。


「俺ら同じ道を歩んできたのにどうしてこんなに差ができちまったんだろうな…」

「は?別に俺らなんも変わってないだろ」

「……っち!」

「舌打ちかよ!?」


ついでにここ教室。

俺の席で駄弁るのが日課となっている。

席の位置は窓際の一番後ろだというのにどうして何も起きないんだ。そろそろ起きてもよくね?

そんなことを頭の片隅で考えながら話しているとあっという間にチャイムが鳴った。

修也が自分の席に戻るのを見送ってるときクラスメイトの会話が耳に入ってきた。


「おい、聞いたか。今日転校生が来るらしいぞ」

「マジか!先生なんも言ってなかったじゃん」

「それが急に決まったみたいでさ」


な、なんですとおおおおおお!!

ついに俺の時代くる!?きちゃう!?

自然とにやけそうになる顔を必死に抑えつつ担任が入ってくるのを待つ。

ほどなくして担任が入ってきた。


「遅れてごめんね〜!突然ですが実は今日転校生が来ます!」


一気にざわつくクラスメイト。

やはり知っている人はごく一部だけだったようだ。


「それじゃさっそく入ってきてもらうね〜。どぞ〜!!」


そんな掛け声とともにやって来たのは金髪ストレート。青い目。一文字にきつく結ばれた唇。

完全に日本人とはかけ離れた容姿をしていた。

俺の運命の子きたああああああ!!

そんな俺の気持ちをよそに担任は話を進めていく。


「彼女はイギリスと日本のハーフで親御さんの転勤でやってきました〜。みんな?仲良くしてあげてね?じゃ、自己紹介よろしく〜」

「はい。古宮千雅(こみやちか)です。よろしくお願いします」

「じゃ、古宮さんは窓際の一番後ろのさらに後ろに座ってもらいま〜す。遠藤くんはラッキーだねぇ」

「はい!本当に!!」


はっ!しまった!心の声が漏れてしまった!古宮さんメッチャ退いてるよ!

古宮さんがこっちに向かってくる。

もちろん指定された席に座るためなのだが。

古宮さんが座るのを確認すると担任は話を続けた。


「他に連絡事項もないし〜、かいさ〜ん」


そう言って朝のHRが終わった。


「こ、古宮さんよろしくね」


後ろを向き挨拶をすると古宮さんはゴミを見るような目をこちらに向けただ一言告げた。


「こっち見ないでください」


そう言うと我が親友修也の元に駆けていった。

……ん?






おい?

おいおいおい?

これは一体……


「千雅!お前どうしてここにいるんだ!」

「修也に会いに来たの〜」


なんだこの久しぶりに再開した幼馴染のような会話は…。

ポジション的に俺だよね?

なにがどうなってんだ。

そんな俺の気持ちなどつゆ知らず二人の会話はどんどん進んでいく。


「おじさんは何て言ってんだ」

「修也くんがいるなら安心だね、とか言って送り出してくれたよ?」

「おじさん……」


そんな二人の間に割り込む奴が一人━━


「なぁ」


二人は驚きの顔を見せる。

割り込んだのはもちろん俺だ。


「お前ら一体━━」


━━キーンコーンカーンコーン


俺が聞こうとしたタイミングでチャイムが言葉を遮る。

こういうのは三次元でいらねぇんだよ!どこのラノベだよ!


「…やっぱ後で聞くわ。ごめんな」


しかし、俺が待っていられるわけもなく席に戻り古宮さんが座ったのを確認すると早速二人のことを探ることにした。


「んで、二人はどういう関係なの?なんでそんなに親しげなの…」


平静を装いつつ一番気になってる点を直球で聞く。

そして彼女は言った。


「私と修也はただの婚約者よ」



……はい?

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