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田中

俺はただ村の道を歩いていた。

 どうやらこの村は東西南北へと道が開けていて、そこから外に出れるらしい。そして、東西南北それ俺の道がそれぞれ東西南北のやまにつながっているらしい。

 今は村長の言葉通りにゆうしゃソードを取りに、取り合えず東の山へ向かっている。

「まちな!」

 そう俺は突然にして声をかけられた。

 そちらの方向を見るとダンディな顔をして、常にきめがお状態のおっさんがいた。

 ひげはこれまただんでぃあ感じに逆立っていて、髪の毛もワイルドにスキンヘッドだ。

 色黒で、が体が良くて、優しそうな眼をしているおっさんがそこにいた。

「なんだ?」

 俺はそう返答した。

「おまえ、ひがしのやまにいくのか?」

「そうだ」

「ならおれもついていく」

 なんだか知らないが、仲間になった。

「おれのなまえはたなかだ」

 よろしくおねがいします、たなかさん。

「それにしてもおまえ、なかなかやるな」

「なにがですか」

「ふっ、おれははじめおまえにじょげんをしてやるはずだった。だがしかし、おれのくちからでたのはそのことばだった。このいみがわかるか?」

「わからないですけど、いいからはやくいきましょう」

「ふっ、そうだな」

 このおっさんは、おれるのがはやかった。



 しかし、行くとなると、いろいろと準備が必要らしい。田中が言うには、東の山にはこの村のあたりのモンスターとは違う、少し強いモンスターが出て、しかもそれらは全体的に毒を使うモンスターが多いらしい。なので、毒消しをたくさん持っていく必要があるのだが、この村のあたりには貿易港がなく、しかも毒消しの材料となる薬草がほとんど手に入らないので、かなり毒消しが高いらしい。だから基本東の山に行く人は毒を無効化する装備を装備していくらしいのだが、それもなかなかに値段が高いので、今の俺の所持金では買えないそうだ。まぁ田中は持っているらしいので大丈夫らしいのだが……。

 自慢なんだか見下してんだかともかくわからない、まどろっこしい話だ。伝説の勇者、と言われた俺がこんな辺境の村の周りの、カスみたいなモンスターを倒して金を稼ぐのはあほらしい。そこで俺は考えた。田中はいろいろな装備を持っている。しかし、彼は伝説の勇者じゃない。だったら、俺が田中の装備をもらって、俺一人で行けばいいんじゃないか、と。

 しかし、その提案は田中の、「おれはひがしのやまにだけはえているでんせつのやくそうをてにいれて、むすめのびょうきをなおさなければならない。だから、おれはいかなきゃだめなんだ」ということで却下された。

 薬草は俺がとってくるから、といったものの、やたらと正義感あふれる熱血漢な田中は全くこちらの意に介さない。さすがにイライラした伝説の勇者こときしもとは、東の山へ至る道を、伝説の勇者に先行してドヤ顔で自分の知識をひけらかしている田中を、初期装備のひのきのぼうで、後頭部から殴ってみたところ、ウィンドウに、「クリティカル ヒット! せんし たなか に96のダメージ!」「せんし たなか はしぼうした!」と続けて二つの文章が出て、どこからともなく現れた棺桶が、戦士田中と入れ替わって、今度は俺の後ろについてくるようになった。それはそれでイライラしたが、恐る恐る棺桶の中に手を突っ込んでみると、田中の持っていた鋼の剣や、例の毒を防ぐ金の盾や、その他薬草などもろもろ、その村で最上級の装備が簡単に手に入った。なんと嬉しいことだろう。まぁ田中に悪いので、一応例の特別な薬草とやらは手に入れるように善処してみるつもりだが。

 そんなこんなで、最強の装備を身に着けたゆうしゃきしもとと、なぜか後ろをついてくる棺桶は、東の山に到着するのであった。

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