第9話 クイズ
青い宝石が入っている木箱を開けるには鍵が必要。佳一は鍵を探すため探していると文字が書かれた紙が…。
佳一はカエルが言っていた箪笥のある和室の部屋に入った。奥に7段の箪笥があり、佳一は下から細かく調べていった。上から2段目を開けた時、小道具がごちゃごちゃに入っている中、奥に古い木箱があった。
「これか?」
木箱を取り出し、開け口を探すが一向に見つからない。箱を持ち上げて色んな角度から見ると、下に小さい鍵穴があった。
「フフフ…よくここまで来たな小僧」
辺りを見回すと一台の小型浮遊カメラが佳一を映していた。
「答えを言えばその木箱の中に青い宝石が入っている。しかし鍵が無ければ開かない。見つけることができるかな?開かなければ友人は終いだ。せいぜい頑張って開けるんだな。グハハハ…」
カメラは部屋を出て行った。
「んだよ。元からあいつ知ってたのかよ。嵌められた~」
佳一はそう言いつつ、鍵を探した。
「う゛ぅ~」
佳一は物が散らばったまま、いつの間にか寝ていた。カエルの粘液が乾き、動く度に海苔のようにパリパリと剥がれる。佳一は目を覚ます。辺りはすっかり明るくなり、太陽が西の方角に傾いていた。眠たそうな顔で片目を開き、太陽を見た佳一は一気に起き上がった。
「やっべ!日が沈みそうじゃん!」
佳一は慌てて鍵を探した。しかしやはり見つからない。
「クソッ!ヒントとかねぇのかよ」
「ヒントォオ?」
佳一はさり気無く言った。するとその声に反応するかの様に宇宙人の声と共に小型浮遊カメラが登場。
「聞きたいか?鍵のある場所」
「教えて欲しいです」
「じゃあヒントを言ってやろう。しかし条件がある」
そう簡単にくれないってわけか。
「条件って何?」
「それは……おまえの左足を獣化させるだ」
宇宙人の答えに驚く佳一。
「左足を獣化!?」
「そうだ。まぁ時間切れになれば、おまえも亮大も即獣化だがな」
「おい、ちょっと待て!俺も(獣化)なるのか!?」
「あぁ、そうだが?それとも亮大だけなって唯一の人間として生きるか?」
佳一は不安になってきた。見事に宇宙人の思い通りになってるじゃないか。ここはまだヒントは貰わないでおこう。
「いや、やっぱまだいい。制限時間が1時間になったら教えて欲しい」
「いいだろう。せいぜい頑張ってくれたまえ」
カメラは再び去っていった。佳一はムカツキながら再び鍵を探した。
40分後。箪笥を前に動かしてみると一枚の紙が奥にあった。
「なんだ?なんか書いてある。鍵はここにある。ん、なんだこの漢字は?そしてEOって何だ?」
紙には『鍵はここにある。燈 EO』という文字が書いてあった。全く意味不明。きっとなんかトリックがある筈。
「まず『EO』って何だ?イーオー、オーイー、いお、おえ…追え!何か追うんだなこれ!で、追う物が恐らく『燈』。何て読むんだ?でも追うんだから何か動く物…」
佳一は解こうと紙を逆さにしたり反対から読んだりした結果、自分なりに分かった動く物を探した。
20分後。残り1時間となった。佳一は家中探したが、動く物は見つからない。
「クソッ、見つからねぇじゃねぇか」
佳一は段々焦り始めた。床はがらくたで溢れていた。
「残り1時間だ。さて、どうする?」
浮遊カメラが再び現れた。
「ひ、左足って言ったな?」
「そうだが?」
「……」
佳一は歯を食い縛った。きっとまだ試練はまだ沢山あるに違いない。ここで俺の左足が犠牲になったとすれば次は右足、体、両腕、そして顔…となると今使えば恐らくあと4回。一体この試練はあと何回あるんだ?
「なぁ、一つ聞いていいか?」
「ヒントが欲しくなったか?」
「いや、違う。この試練はあと何回あるんだ?」
「聞きたいか?」
宇宙人の笑い声が若干カメラから聞こえる。
「ならおまえの左足の膝を獣化させたら教えてあげよう」
「チッ、質問もかよ」
佳一は舌打ちをする。
「さぁ早くしないと制限時間が刻々と迫ってくるぞぉ?なんなら今回だけ質問とヒント合わせて左足でいいぞ?」
本当はしたくない。しかし時間がない。佳一は悔しがりながら顔を上げた。
「…わ、分かった」
佳一は承諾した。
「よろしい。獣化は終わってからだ。まずヒントを差し上げよう。今おまえは『EO』を『追え』と捉えているがそれでは一生答えは出ぬ。逆からではない。読み方は『EO』の順だ。『EO』を別の読み方且つ、上下だ。そして漢字はこの場では意味はないだろう。ま、強いて言えばその漢字は鍵が置いてある場所だ。残り40分、頑張ってくれたまえ」
宇宙人はそう言うと、カメラはまた去っていった。
「う、嘘だろ。今までの時間、無駄だったのかよ!」
佳一は愕然と両手両膝を着いた。
「EOはEOのまま?意味分かんねぇよ」
床に落ちたくしゃくしゃの紙を拾い、再び見る。
「イーオー…えお…Eを3と見て30。サーティ…あぁ違う違う!上下はどうだ?EOのそれぞれ1個下は『FP』、えおの下は『おか』。違うな。1個上は…DN、違う。えおの1個上は…うえ、『上』か!」
佳一はキッチンから椅子を持ち出し、蛍光灯の上を見てみると、そこには小さい鍵が置いてあった。
「これだ!」
鍵を取り、がらくたの中に埋まっている木箱を取り、鍵穴に挿しこむ。
カチャ
「開いたぁ~」
木箱を開けると、青く光るキラキラの宝石が姿を現した。
「よっしゃあぁぁぁぁぁ!!!」
佳一は両手を挙げて喜んだ。
「おめでとう。試練成功だ」
宇宙人の声が聞こえると、周りの風景が突如闇と化したかと思えば、UFOの中に変わっていた。
「残り11分。では早速、青い宝石を頂こう」
ロボットが奥から現れ、佳一が持ってる木箱を強引と奪っていった。
「確かに青い宝石は頂いた。ではおまえの質問に答えよう……試練は全部で10個だ」
「10個!?」
佳一は驚いた。
「そう、10個だ。取りあえず1個はクリアだ。今日はゆっくり体を休めるがいい。おまえ専用の部屋を用意した。そこで風呂に入るなり、ゆっくり休んでおけ」
宇宙人が言い終わると同時に奥の部屋のドアが開いた。佳一は部屋に入ると、10帖程の布団が敷いてある1ルームで、奥の部屋には風呂とトイレがあった。
「布団だけか。テレビとか携帯充電器は…流石にねぇか。ま、風呂に入って体洗うか」
風呂の扉を開けると、浴槽のみだった。
「シャワーないのかよ。ま、お湯だけいれておくか」
蛇口を捻るとお湯が勢い良く出てきた。
数分後。ある程度貯まり、佳一は服を脱ぎ、浴槽に入る。
「気持ちいい~」
肩まで浸かり、瞼を閉じる。あまりの気持ちよさに疲れが一気に取れるような気がする。瞼を開け、ふと壁を見る。
「ん?このボタンは何だ?」
壁には黄色のボタンがあった。一体何のボタンだろう…佳一は抵抗しながらも黄色のボタンを押した。
「ピッ、wash start!」
声が聞こえたかと思ったら、蛇口の上の壁から勢い良くお湯が流れてきた。
「うわっ、何だ、何だこれは!?」
佳一は取りあえずコルクを耳穴に詰め込んだ。お湯はあっという間に天井に到達し、2帖程の浴室がお湯で一杯になった。
ブクブクブク…
肺の中の酸素をなるべく減らさないよう、両手で手を押さえる。天井ではファンが回転し始め、洗濯機の様にぐるぐると回り始めた。
「や、やばい。酸素が酸素が…」
体が水流によって動かされる度に息を吐いてしまい、段々息苦しくなってきた。
ブハッ
息を吐いてしまい、大きい泡が出てしまい、自然と息を吸い込むかのように水を吸い込むかと思ったら、水は吸い込まず、何故か普通に呼吸が出来た。
「あれ?息出来るじゃん」
佳一は水の中で息が出来るという不可思議な状態の中、体は綺麗に洗われた。水が浴室から無くなると、再びファンが回転し、今度は温風で体を乾かし始めた。乾きった状態で浴室から出ると、脱いだ衣服が何故か綺麗に畳まれていた。
「誰がやってくれたんだろう。なんか有り難いなぁ」
佳一はそう思いながら、服を着た。布団に入ると、体が疲れているのか、佳一は数分後寝てしまった。
そして数時間後、佳一の左足に変化が起こり始めたのだ。
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