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人類獣化計画  作者: 夜舞崎 結季
◆人類獣化
3/28

第3話 獣化する人々

翌日、次々と異変が起き始める・・・

 翌朝。

ピピピッ、ピピピッ……

 目覚し時計の音が佳一の部屋に鳴り響く。

「ん゛ん~」

 佳一は布団から手を伸ばし、目覚まし時計を止めた。布団から起き上がり、いつも通り1階のリビングのソファに座る。そして目の前のテーブルに置いてあるリモコンを手に取り、テレビを点ける。

「今日の占いカウントダウン」

 ちょうど占いが始まった。

「本日もっともいい運勢は……蠍座のあなた!」

「おっ、1位」

 佳一は眠たそうな顔をしながら少し笑顔になった。

「今日は新たな発見がある日。友達と話すと新情報GETかも」

「新たな発見か」

 佳一はそう言いながらテレビを見ていた。そして、占いが終わり7時になった。画面はスタジオの外になっていた。

「7時になりました。皆さん」

「「「おはようございます」」」

 前にいる男性アナウンサーが言った後、もう一人、前にいた女性アナウンサーと後ろにいるアナウンサー全員で挨拶をした。

 MCは前の二人。一人目は最初に喋ったアナウンサーで、番組開始から13年MCを勤めている川上 誠一アナウンサー。白髪がちらちら見え、歳はもう60を越えているだろう。そして隣にいるのは今年4月からMCになった米山 麻奈アナウンサー。入社7年目で女子アナ人気投票3年連続1位。その理由としては「かわいい」「笑顔になると一層かわいい」と、とにかくかわいいという意見などがあるからだ。

 後ろに行き、一番左にいるのは、川上アナウンサーと共に13年間、一緒にいる稲越いなこし 忠道アナウンサー。歳は50代半ば。右に行き、上田 愛美えみアナウンサー。入社5年目で二人は芸能コーナーを担当。坂城さかき 真維アナウンサー、入社4年目。お天気キャスターとして視聴者に天気を解かりやすく教えてくれる。喬木 遼平りょうへいアナウンサー、入社8年目。御代田みよた 楓アナウンサー、入社3年目。二人は主に視聴者の疑問を解決していく「調べ隊」として活動中。

 以上で平日の朝の番組を楽しく、解かりやすく放送している。


 俺はテレビを見ながら、朝ご飯を食べる。今日の朝食はご飯と味噌汁と目玉焼き。まぁいつも通りだ。

 7時30分になり、俺は500メートル先の駅へ向かう。駅に着くと同時に遮断機が降り始める。息が若干上がりながら電車が来るのを待つ。この町の電車は1時間に一本しか電車が来ない為、この7時電車と17時電車はいつも多くの学生達や乗客者が乗っている。電車が駅に着き、窓越しには相変わらず多くの学生が乗っていた。ドアが開き中に入ると、押し(くら)饅頭状態。このぎゅうぎゅうさは慣れてきたものの、相変わらず息苦しい……



キーンコーンカーンコーン

 チャイムが鳴り、急いで教室に入る。先生は既に教卓に立っていた。俺は窓側の列の後ろの自分席に急いで行く。

「起立、礼」

 日直が号令をかける。俺は席に座わり辺りを見る。するとやけに人が少ない。俺が見た中では約5分の1くらいがいない気がする。先生が欠席した人の理由を言うが、全員体調不良だった。



 3時限目、教科は社会。

「はい、じゃあ教科書開いて~」

 社会担当の立野先生が言う。皆が教科書開く中、俺は外をぼんやりと眺めていた。何も変わらない風景。遠くに見える山々を俺はずっと見ている。

「皆中く~ん」

 先生の声と同時に顔を先生に向ける。

「はいっ」

「教科書のここの部分を読んで下さい。」

「すいません。何ページですか?」

「144ページ」

 俺は席を立ち、先生が指した部分を読んでいる最中。

「せ、先生。保健室に行ってもいいですか?」

 苦しそうに手を挙げたのは俺の隣の隣に座っている学年一のエリート、髪にいつも赤いリボンを付けている来井(くるい) 絵梨香。腹痛だろうか。手をお腹にあてている。

「大丈夫?早くいってらっしゃい」

 先生が言うと彼女は席を立ち、教室を出て行った。

 大丈夫かなぁ?

 俺は心配したが、引き続き教科書の本文を読んだ。



 一方の来井はあまりにも腹痛で皆が授業を受けている新校舎の反対側の旧校舎4階のトイレにいた。旧校舎は昭和55年に完成した校舎。廊下を歩くとギシギシと音が鳴る。トイレは全て和式。洋式が当たり前になっている現代。旧校舎のトイレを利用する生徒は男子くらいで、女子は殆ど寄らない。

「うぅ。暑い」

 来井は腹を押さえながら便を出そうとした。しかし一向に出る気配が無く、サウナにいるかのような尋常な汗が滴る。

「あれ?おかしいな」

 来井は一旦立ち、手を洗い、鏡を見た。すると来井の顔に異変が起きていた。

「あれ?耳がこんな位置に」

 本来ある場所にある耳がなくなり、変わりに髪の毛から三角型に飛び出ていたのだ。更に体を触るとチクチクとする。来井は制服を脱いだ。すると茶色と白色の毛が所々肌色の皮膚から生えていた。

「な、何これ!一体どうなってるのよ!?」

 来井は毛を抜こうとするが、抜いても抜いても新たに毛が生え始める。その間に来井は変身していく。手の指が徐々に短くなり尖った爪が現れた。尻の上から尻尾が生え始め、横に振り始めた。体が少しずつ小さくなり、立ってもせいぜい60cm程までになった。顔にも毛が生え始め、鼻が黒く変色し始めた。口が次第に突き出し始めると同時に来井は皆が見たことがあるあの姿になった。

「ワンッ(これ…犬じゃない!?)」

「ワオン?(え?)」

 来井は言葉を喋ろうとしたが出で来たのはワンという鳴き声だった。来井は頭が若干長髪のゴールデン・レトリバーへと獣化してしまったのだ。

「ウォォン(ど、どうしよう…)」

 来井はトイレから出て、一刻も早く学校から出る為に階段を降りた。1階に降り、生徒玄関に向かって走る。

「あっ、校長先生」

 来井の前に校長先生が横から現れ、来井は急ブレーキをかけた。しかし滑る床な為、なかなか止まる事が出来ず、校長先生の足に当たった。

「おやおや、可愛いワンちゃんじゃないか。何処から来たのかな」

 校長先生は立ち座りし、来井を撫でた。

(とても気持ちいい…)

 来井はあまりの気持ちよさに尻尾を横にブンブンと振った。

「気持ちいいか。なら今日は特別におまえさんを私の部屋に連れていこう」

(えっ)

 校長先生は来井を抱きかかえ、校長室へ移動する。

「ワンワン!(こ、校長先生、離して下さい!)」

 しかし来井の声は校長先生に届くはずもなかった。

 校長先生は校長室に犬になった来井を連れ出す。来井にとって校長室は初めて、というより生徒は入室禁止となっている。校長室に入った途端、床は緑色の絨毯で周りを囲む壁はヒノキの板を用いており、香りが香ばしい。壁には歴代校長先生の写真が並んでいる。

「校長室ってこんな綺麗な部屋なんだ。私たちの教室とは大違い」

 来井は周りを見ながら言った。来井が言うのも当たり前かもしれない。この校舎が完成したのは今から30年程前。壁は脆い箇所が所々在り、雨が降れば天井から雨漏りが発生する。それに比べて校長室は30年経ったとは思えない程綺麗だった。

 校長先生は自分のデスクに座り、書類を眺めていた。

「今月中にこの金額。不景気もいいところだ」

 独り言を言いながら校長先生は言う。

「ワンちゃんに言っても分からないと思うが、おじちゃんは辛いよ。この学校の生徒が迷惑かける奴が多くてな。今月は馬鹿な生徒数名が問題ばっか起こしたせいで、これから謝罪兼慰謝料支払い。全く困ったものだ」

「そういえば今月そんな事があった気がする」

 校長先生が言う通り、最近下級生が問題ばっかり起こしている為、校長先生は毎回謝罪をしている。指導をしているが言う事を聞かず、困っているのだ。

「退学させてやりたいよ。あいつ等に学校(ここ)は合ってない。そうだろワンちゃん」

 校長先生は来井の頭を撫でながら言う。

「こんな事ならいっその事、人間を辞めてみたいよ。君みたいに自由に暮らしてみたいよ」

 言った直後、校長先生に異変が起き始めた。腕の所々から青藍色の羽が生え始めた。

「な、なんだこれは!?」

 羽はあっという間に広がり、スーツから大きく鮮やかな飾り羽が現れ、校長室一杯に広がった羽には綺麗な丸い模様が所々姿を見せた。服を脱ぐと、皮膚が青く変色し始めていた。全体的に体が縮み、両足が細く茶色に変化し、足の指が3本へとなった。その姿は変身途中だが誰が見てもあの姿になると分かる。

「校長先生が…孔雀になっちゃう」

 来井が言う通り、校長先生は孔雀へと変身している。

「だ、誰か…た、助け…」

 校長先生は助けを求めようとするが呂律が回らなくなった。口が前に尖り、白色と黒色が嘴から耳のあった場所まで2色、線として現れ出した。

「イヤーン、イヤーン」

 校長先生は孔雀へと獣化してしまった。



キーンコーンカーンコーン

 一方佳一達は4時限目が終わり、昼休みの時間に入った。

「飯でも食うか」

 俺は亮大とクラス数名の男子と一緒に飯を食べようとした。

ピーンポーンパーンポーン

 校内放送が流れた。どうせ誰かの呼び出しだろう。 

 佳一は耳を傾けながら飯を食べていた。

「全校生徒に連絡します。本日はこれにて授業を終了とします……」

「「「!!!」」」

 クラス内の男女皆、驚いた。放送はまだ続いていた。

「そして、明日から登校許可が出るまで休校とします。直ちに下校するように」

ピーンポーンパーンポーン

 放送が終了してもクラス内のざわめきは止まらなかった。俺もあまりの突然に驚いていた。

「おい、どういうことだ?」

「わかんねぇ、けど明日から休みだからいいじゃん」

「なぁ、これから暇だし、カラオケ行かね?」

「賛成!佳一も行こうぜ」

 亮大が言う。

「あ、あぁ…」

 俺は軽く答える。そして俄かに疑問が浮かぶ。

「どうして急に休校なんだろう」

 俺は頭にそう思い浮かべた。

「よしっ、早速行こうぜ!」

 そんな考える時間もなく、俺・亮大含む4人でカラオケに行く事にした。



 学校から自転車で約15分の場所にあるカラオケで盛り上がっている俺ら4人。部屋はおよそ6帖。テーブルとL字型ソファがある。席はドア側に俺と亮大。奥に男子二人が座っている。

「じゃあ次は佳!レッツチョイスだ!!」

 一人の男子が言うと、器械を渡された。

 俺はタッチ式の器械を使い、曲検索をした。

「それじゃあ…これだ!」

 予約ボタンをタッチし、画面に曲名が出た。

「「「おぉ!」」」

 俺以外の三人が急に立ちだし、一緒に歌い始めた。

♪♪♪♪♪

 俺はストレス発散のように思いっきり声を出して歌った。

 歌い終わり、ソファに腰をかける。するとテーブルに置いてある携帯のランプが光った。

「メールかな?」

 俺は携帯を開く。メールではなく、母親からの電話だった。

「ちょっと電話来たから、部屋出るわ」

「おぅ」

 隣に座っている亮大に言い、俺は部屋を出て、電話に出た。

「もしもし?」

「佳?今すぐ帰ってきて!」

 焦った声で母親は言う。

「な、なにかあったの!?」

「優佳が……優佳が………」

「優佳がどうした?」

「今は説明できない。とにかく早く帰ってきて!」

「わ、わかった」

 俺は電話を切り、再び部屋に入った。

「電話誰だったの?」

 亮大が話してきた。

「母親から。ちょっと帰宅命令きたから帰るわ」

 俺は財布からカラオケ代を置き、急いで部屋を出た。

「お、おい!」

 亮大は佳一に言うが、そのまま佳一は出て行った。



 俺は自宅に着き、急いで玄関を開け、リビングの戸を開けた。

「ど、どうし……」

 俺は唖然とした。

「お、おまえ何だそれは?」

「見れば分かるじゃない!」

 優佳は怒った声で、そして泣きながら言った。そこには妹の優佳がいた。しかし少し変だった。俺の視線の先には優佳の腹の辺りがピンク色で若干膨らみ、二本の突起物の姿があった。そう、まるであの草食動物を思い出すかのような…

ガシャ

「あら…おかえりなさい」

 母さんが隣部屋から入ってきた。

「か、母さん。こ、これどうなってんだよ!」

「分からないわよ。お母さんだって吃驚したわよ!」

「……」

 俺は黙ってしまった。

 優佳は両手を顔にあて、下に向いたまま泣いていた。沈黙の時間が過ぎていく。

「お母さん……お兄ちゃん」

 優佳は涙を拭いて、二人に言った。そして更に優佳は喋り続けた。

「あたし…どうすればいいの?」

「とにかく安静にしてなさい。お母さんが知り合いのいる病院に電話して見るから」

「嫌だよ、こんな姿見られるの」

「じゃああなたこのままでいいの!?」

「嫌だけど…」

「じゃあ病院に行くの。大丈夫、お母さんや佳一がいるから」

「そ、そうだ優佳。心配すんな」

「うん」

 優佳は頷いた。

「ちょっと優佳。気まずいかもしれんが、この突起物は本物なのか?」

 佳一は優佳に問う。

「うん。学校のトイレで試したら出た」

 そう言うと、優佳は二本の突起物の内、一つを掴み、人差し指から小指の順に握ると

ピュッ

 と僅かだが白い液体が出た。

「…………」

 俺は何も喋ることができなかった。

「にしてもよく帰ってこれたわね?」

 母さんは優佳に言う。

「お昼頃に放送があって、帰宅しなさいって流れたから……」

「俺も昼に放送で言われたぜ?」

「じゃあやっぱり何かあったんだわ」

「テレビ!テレビ点けよう!」

 俺はテーブルに置いてあったリモコンを取り、電源ボタンを押す。ちょうどニュースが流れていた。

「現在、世界各地で人が動物化するという症状が出ています」

 男性アナウンサーが喋る。そして映像は東京新宿に変わり、現地の女性アナウンサーが喋る。

「はい、こちらは新宿です。今のところ何も変化ないように思われます。しかし世界各地では多くの人が謎の病気にかかっています」

 映像はアフリカに変わった。映像を見るとモザイクで顔を隠された感染者たちが映っていた。頭以外は明らか犬や鳥・象・馬など色々な動物になろうとしている人々がいた。

「やっぱり優佳だけじゃないんだわ」

 母さんは腕組みをし、右手を顔に当てながら言った。

「このまま私もなっちゃうのかな?」

 優佳は心配そうに言う。

「マイナス思考になるな。今はなるべくプラスに考えておけ」

 佳一は優佳に言う。



 その夜、父親と姉が帰ってきた。優佳が病気にかかったことを告げ、優佳を傷つけないよう注意しろと二人に言った。家族皆で晩御飯。今日晩御飯はしゃぶしゃぶ。家族皆が食べる中、優佳も肉を湯に浸し、タレに浸けて食べた。

 そして飲み込んだ数分後

「うっ」

 食べた肉が逆流してきたため、優佳の口は膨らんだ。

「大丈夫か?」

 隣に座っている俺は言った。

「大丈夫」

 優佳は何事も無かったのように逆流してきた肉を再び噛んで飲み込んだ。

 優佳はある草食生物が食事中に必ず起きる反芻が起きていたのだ。優佳はその後反芻を繰り返しながら食べていた。



 そして優佳の体に異変が急激に起き始めたのは深夜だった。



 俺は勉強のため、自分の部屋で勉強をしていた。時間は既に深夜2時を過ぎていた。

「ふわぁ~、もうこんな時間か」

 俺は欠伸をしながら言う。

「トイレでも行くか」

 部屋を出て、廊下を歩く。すると優佳が寝ている部屋から荒い息が聞こえた。

「ハァハァハァ」

 俺は暗闇の優佳が寝ている部屋の電気を点けた。

 するとまるでを高熱を出しているかのように汗まみれになっている優佳の姿があった。

「おい、大丈夫か?」

 佳一は優佳に声を掛ける。しかし返答はなかった。

 俺は無意識に優佳の全身を見回した。すると腹の辺りがやけに膨らんでいる。

「まさか」

 俺は布団を捲る。すると予想的中。帰ってきた時はピンクの突起物しかなかった腹が、今では牛のように大きくパンパンに膨らんでいた。所々に血管が浮き出て、更に突起物も二本から六本へと増えていた。

「牛と化してる……」

 俺は思わずその動物の名前を声に出してしまった。

「お……お兄ちゃん」

 優佳は話し掛けてきた。

「お兄ちゃん。あたし…アァッ!」

ビリッビリッ

 優佳の声と共にパジャマが破け始めた。どうやら優佳の変身が本格的に始まったようだ。

「…………」

 俺は完全に言葉を無くしてしまった。

バキバキバキッ

「アアアアア!!!」

 骨の軋む音と共に優佳は悲鳴をあげる。

「ヤだ…牛になんかなりたくない。なりたくないよぉ!」

 優佳は泣きながら叫ぶ。

「どうした!」

 その声に親父が反応し、部屋に入ってきた。

「おい、優佳!」

 親父は優佳の顔を触った。

「お父…さん」

 優佳は布団から手を出した。

「なんだこれは……」

 父親は驚いた。それは人間の手ではなく黒く変色した蹄だった。

「どうしたの?」

 眠たそうな声で母親が部屋にきた。

「ゆ、優佳!」

 母親は優佳を見た直後、両手で口を押さえた。その間にも、優佳の変身は始まっていた。肌色の皮膚から白と黒の毛が生え始め、お尻から尻尾が出始めた。肥大する度にベットがギシギシと鳴る。顔の一部と首から下の殆どは完全に牧場で見る大きく肥大したホルスタイン牛となってしまった。

                挿絵(By みてみん)

「優佳、優佳!」

 親父は泣き叫んだ。

「お…お…お……」

 優佳は低音で「お」という言葉しか発しなくなった。そして遂に、顔も変化を始めた。ボキボキという音と共に、骨格が変わっていき、顔が縦長になった。そして頭から角が生え始め、鼻筋が突き出し、口が長く伸びていき、舌が口から出て、そして耳が垂れ始めた。

 髪の毛は急激に抜け始め、顔の所々から獣毛が生え始めた。

「も、もぅ」

 優佳から牛の鳴き声が聞こえてきた。

「優佳……」

 親父はほぼ牛と化してしまった優佳の顔に自分の顔をつけ、涙を流した。俺はただ見るだけしか出来なかった。

「ンモオォォォォォォォ」

 血走ったような目を天井に向け、野太い声で鳴いた。そして優佳は完全にホルスタイン牛となってしまった。

感想等よろしくお願いします。

挿絵はEDMOL様に描いて頂きました。EDMOL様ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 獣化の表現がとても精巧に書かれており、まるで登場人物の隣にいるようで手に取るようにわかりやすかったです。 登場人物の性格がそれぞれ混合することなく、性格にそった言動で書かれているのですごい…
2021/05/17 22:42 退会済み
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