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人類獣化計画  作者: 夜舞崎 結季
◆試練
13/28

第13話 セカンドミッション③~キユ~

第2試練最後はなんと恐竜!?佳一は果たして倒せるのか?では、どうぞご覧ください。

「も、戻ってる!」

 起きた直後、佳一は元に戻った両手両足を見て喜ぶ。

「絶対嘘かと思ったけどまさか本当にしてくれるなんて…」

 喜びの半分驚きを見せる。



 改めて完全な人間になった佳一はいつもの広場で今日の内容を聞く。

「よし、それでは第2の試練(セカンドミッション)、最後だ」

 宇宙人は俺に向かって言う。今回で第2の試練(セカンドミッション)最後なんだ。なんか強い敵とか来そう…

 そんなことを思いながら俺は宇宙人の話に耳を傾ける。

「今回は……キユだ」

「キユ?」

 キユって一体何だろう?

「ようは恐竜だ」

「きょ、恐竜!?」

 俺は突然の発言に驚く。そしてモニターでその正体が現れる。鎧みたいなので覆われているように見える。

「そう、恐竜だ。心配するな、小さ目のやつだ」

「小さ目って言われても…」

 戸惑いを見せる佳一。

「今回も同じく日が沈むまでだ。それじゃあ」

「ちょ…」

パッ

「イテッ!」

 宇宙人が言った直後、俺は相変わらず乱暴に外へと追い出された。

「にしても今回は恐竜って…マジかよ」

 萎えながら俺はキユという名の恐竜を探す。




 数時間後。俺は実のなる被子植物が生えている地帯を歩いていた。

「確か恐竜ってこういうところにいるって前授業で習ったような…」

 あやふやな記憶を頼りにしながら、辺りを見ながら歩く。

ガサガサガサ

 所々から葉や枝の音が聞こえる。見ると小動物があちこちに見える。

「でも恐竜っていってもデカイっつうイメージしかないから嫌だなぁ」

 宇宙人は小さ目って言ってたけど果たしてどのくらいのでかさなんだろう…

 そんなことを思っていると、

ドスッ、ドスッ

 微かに何かが歩いてる足音が聞こえる。

「これって…もしかして」

 佳一は足音のする方向へ走る。

ドスッ、ドスッ、ドスッ

 段々音が大きくなり、足音がする度、地面が揺れる。

 そして大木の裏から覗くと、遂にキユの姿が現れた。

「なっ!?これがキユ?」

 俺の身長の10倍以上あるかのような体長。そしてモニターでみたのと同じ鎧みたいので覆われた皮膚。コイツは手強そうだ。

 そんな事を思いながらキユの様子を見る。キユは何かに気付いたのかさっきかからキョロキョロと警戒している。

 警戒してるなぁ…

 佳一は大木の後ろで微動だにせず、相手の警戒心がなくなるまでひたすら待った。

 20分位経過した頃、やっとキユは警戒心をなくしたのか、再び枝葉を食べ始めた。

「にしてもどう攻撃すればいいんだろう?見た感じ全身鎧みたいなもので覆われてるんだよなぁ…」

 ここでちょっと勉強しておきましょう。佳一が見ているのは「アンキロサウルス」という恐竜で、体長約7メートル~11メートルで植物を食べる。さっきから言っているように鎧の体で有名で、皮膚が変化した骨の板で頭と背中が守られている。尾の先がこん棒のようになっていて、これを武器に身を守ったと考えられている。

 大体解ってもらえただろうか。ようは鎧の体で覆われている恐竜なのだ。こういう事を理解したうえでこれから佳一とアンキロサウルスの闘いを読んでもらいたい。

 さて、話を戻そう。アンキロサウルス(キユ)は現在食事中。これはやるチャンスだ!

 佳一はアンキロサウルスが食事に夢中になっているうちにゆっくりと一歩踏み出した。

 しかし…

「あっ」

 アンキロサウルスが気付いたのか、俺と目があった。

「どんだけ敏感な奴だよ…」

 それと同時にアンキロサウルスは食事を止め、一鳴きした後、こちらに走ってきた。

「こっちに突進しただけじゃ、無理だぜ」

 何度もこういうのは解っている。佳一は突進を避け、背後についた俺は剣で足を斬る。

カンッ

「なっ!?」

 剣は斬る事なく、簡単に跳ね返されてしまった。

 やっぱり鎧みたいな体だからなかなか斬れない。こりゃ時間が掛かりそうだ。

 佳一はその後も隙を狙って、色んな箇所を斬ってみるが何処も簡単に跳ね返されてしまった。

 そしてアンキロサウルスは休む事無く佳一に攻撃を仕掛ける。

「これじゃあ攻撃が出来ない!」

 避けながら考えていると…

ガンッ

「グハッ!」

 アンキロサウルスの尻尾が上から(あた)り、俺は地面に叩き付けられた。同時に数滴口から血が排出された。

 サングラスに記載されている体力ゲージが3分の1減った。けどそれ以上効いたような感じがする。

 しかし、そんな事を思っている暇も無く、アンキロサウルスはまた、尻尾で叩き付けようとした。

「ヤバッ」

 一回転してなんとか攻撃を避け、俺は直ぐ立ち上がり、もう一回足を攻撃してみる。しかし、

カンッ

「クソッ!」

 やっぱり跳ね返されてしまった。

「これじゃあ(きり)がない。こっちが死ぬだけだ」

 佳一は一旦引き下がる事にした。後からアンキロサウルスが追ってくるが、何とか逃げ切る事が出来、岩陰の下で座り込む。

「ハァハァハァ、なんなんだよアイツ。全然効かねぇじゃねぇか」

 どうしようもない状態に佳一は焦る。

「もう太陽が真上に。あと4、5時間ってとこか」

 数十分休み、体力が少し回復した佳一は、再びアンキロサウルスの元へ戻る。



「いた。相変わらず枝葉を食ってるな」

 木の後ろからアンキロサウルスを見る。どうやら再び食事中のようだ。

「体は鎧で無理だし…唯一顔だけ覆われてない。顔は危険だけど、賭けでやってみるか!」

 佳一は一気に駆け出し、アンキロサウルスの顔面を斬ろうと走る。

「オオオオリィヤァァアアア!!!」

 佳一は剣を縦に構え、アンキロサウルスの顔を斬りに刺しかかる。

「オリヤァァアアア!!!」

 走りながら剣を縦に振り落とし、アンキロサウルスの背後を通り過ぎる。すると、剣は顔面を斬ったのか、アンキロサウルスは轟音のように鳴いた後、斬った所からポタポタと血が流れる。

「やっぱ顔か」

 アンキロサウルスは次第に暴走しだし、体をあちこちに揺らしながら周辺の木々を薙ぎ倒していく。そして佳一を見た瞬間、闘牛のように突進してきた。

 佳一は避けるが、すぐアンキロサウルスは方向を転換する。

「ヤバイ、間に合わない…」

 アンキロサウルスはすぐ突進しだし、佳一に向かって鎧で覆われた尻尾を振ってくる。

ドンッ

バキッ、バキッ、バキッ

ドォォン

「カッ!」

 尻尾は見事に佳一に的中し、佳一は何本もの木を倒し、数百メートル先の大木に背中を強打して止まった。

 ゲージは一気に減り、危険を示す赤色に変わった。

 防護服で守られている佳一の体だったが、骨が折れたのか動くことが出来なくなり、更に呼吸もまともに出来なくなった。

「や…やば…い…」

 血を吐きながら喋るのがやっとの佳一の目の先にはアンキロサウルスがこっちに突進してくる。

 動け!動け俺の体!

 何度も自分の体に言うが、体は大木に中ってからビクともしない。

 アンキロサウルスが段々近づいてくる。佳一は次第に恐怖に満ち溢れる。

 ヤバイ…助けて…誰か助けて!

 瞳孔を全開にし、心の中で必死で訴える。

 そんな事を言っていると、急に時が止まったのかアンキロサウルスや風で揺れる木々も止まる。そしてアイツの声が聞こえてきた。

「ゲームオーバーするか?すればおまえを今からUFOへ瞬間移動させ、体力を回復させてやる。しかし友人は即獣化だ」

 アイツとはそう、宇宙人。

「ゲ…ゲームオーバーは…勘弁してくれ」

 佳一は意識が飛びそうだったが、必死で答える。

「じゃあおまえはこのまま死ぬがいい。さようなら」

 と言ったと同時に時間(とき)は動きだし、アンキロサウルスは再び動き出す。距離として200メートル程。

「ゲームオーバーになったら亮大が…」

 今も眠り続けている亮大。親友を…親友を獣化なんかさせたくない!けど…体が…

 一向に体を動かそうとするが、微動だに動かない。

「畜生!動けよ!動いてくれよ!!!」

 距離が100メートル程になり、アンキロサウルスが大きく見えてきた。

「このまま俺は死ぬのか。それとも親友を見捨てるのか…」

 究極の選択に迷う佳一。しかしもう考えている時間などない。アンキロサウルスは目の前まで迫ってきた。

「クソ…ゲ…ゲームオーバーにしてくれ」

 そう言った直後、再び時間は止まった。アンキロサウルスは数十メートル前まで来ていた。

「ゲームオーバーでいいんだな?」

 宇宙人の声が聞こえる。

「あぁ…ゲームオーバーに…してくれ」

「それじゃあ試練(ミッション)失敗だ」

 俺はUFOへと瞬間移動させられた。

「畜生…」

 佳一はボロボロになった自分の体を見て呟いた。

この後、親友亮大の運命は…

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