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人類獣化計画  作者: 夜舞崎 結季
◆試練
12/28

第12話 セカンドミッション②~アムル~ 後編

果たして佳一はアムルを倒せるのか?後編です。

 宇宙人により、自分の顔と両足がトカゲでイグアナの仲間であるバラコアアノールになってしまった佳一は翌日、再挑戦と言う事でアムルを倒しにあの湿地帯に行く。

 鏡がないこの惑星(ホシ)では自分の顔がどうなっているのか分からない。でも簡単に言えば俺は獣人であると言う事は間違いない筈。




 湿地帯に到着し、昨日アムルが入った洞窟に入って、崖の端からアムルがいるか覗く。

「暗すぎて見えねぇー」

 洞窟内でもくっきり見える眼鏡でさえ底が見えない。相当深い証拠だ。

「駄目か」

 起き上がろうと手に力を入れる。

ガラッ

「うわっ!」

 両手で起き上がろうとしたら、地面が欠けて両手部分の地面が下へと落ちた。

「あっぶねぇ」

 佳一は後ろに下がり、再び起き上がろうとする。

「ん?」

 何かが足に当たってる。何度も何度も足で確認する。なんだこの軟らかさは…この軟らかさは岩じゃない。だとするとこれは…

 この場所だと考えると若干想像がつく。佳一はゆっくりと後ろを向く。

シャアアア

「や…やっぱり?」

 後ろを向くとアムルが攻撃する構えをしていた。

「ヤッベッ」

シャアアアア!!!

ドカーーーン

 佳一は転がる。その一秒後にアムルは地面に向かって頭を突っ込んだ。

バキバキバキバキ…

 揺れながら地面から何かが裂ける音がする。

「な、何だ!?」

 佳一は動揺する。

バキッ

「うわあああああ!」

 アムルが地面に向かって攻撃したため、地割れが発生し、佳一とアムルは崖の下へと落ちていく。





「イテテテテ…」

 目を開けると俺は横になっていた。防具で多少ダメージは軽減されたもののゲージを見ると5分の1くらい減っていた。上を見上げても光が見えない。

 眼鏡で辺りを確認すると奥に道が続いていた。

「あっ、そう言えばアムルがいない」

 一緒に落ちた筈のアムルが見回してもいなかった。

「あっちに行ったのか?」

 取りあえず佳一は奥へと進んだ。

「にしてもこれは何処に繋がるんだ?」

 暫く歩いているが一向に出口が見えない。早く出ないとおよその時間が分からない。

 早歩きで歩いていると。

シャアアアア

 僅かながら鳴き声が聞こえる。

 足音をなるべく小さくしながら歩いていく。鳴き声が徐々に大きくなっていく。進んでいくと奥に空間がある。

「な、なんだこれは!?」

 佳一は驚いた。広い空間の下にはアムルがぎっしりと隙間なく埋まっていた。推定百匹はいるだろう。動いてないのはきっと寝ているのだろう。

「何だこの数は…」

 佳一はあまりの数にビビる。すると、

「聞こえるか」

 宇宙人の声が聞こえた。

「おまえは凄いのを見つけた。そいつはアムルの巣だ。そいつを全匹殺せ」

 宇宙人は急に試練(ミッション)を出す。

「なっ…そんなの無理に決まってるだろ!こんな数倒せるわけないだろ」

 佳一は当然のように反論する。一人でこの数は幾らなんでもおかしい。

「なら、一つ賭けをしないか?」

 宇宙人は何か閃いた。

「もしこいつらを全匹やっつけたら、おまえを人間の状態に完全に戻してやろう」

「元に…戻る?」

「そうだ。私は約束裏切らない。ただし出来なかったらおまえは完全獣化。そして君の友達もTHE() END(エンド)だ。どうだやってみるか?」

「く……」

 佳一は両腕を組みながら片腕を上げ指を少し下を向いた顔にあてて考える。うまくいけばいいが、駄目だったらそれこそゲームオーバーだ。

「どうする?早くしないとあいつらが起きるぞ」

「えっ?」

 佳一は顔を上げると、アムル達が徐々に動き始める。

「分かった。ただしこっちにも条件がある」

「いいだろう。何だ?」

「自然に回復するようにしてくれないか?」

「なぁんだそんな事か。いいだろう」

「じゃあ成立だ」

 俺はそう言うと、数メートルの崖から飛び降りる。

「おりやぁぁぁあああ!!!」

ブシューーーー

シャァァァアアア

 飛び降りながら剣で一刺しするとアムルから大量に血が飛び散る。そしてそれに気付いた百匹程のアムルは起き上がった。

「起き上がってきたか。かかって来おおおおおおい!」

 一斉にアムルが佳一を襲い掛かる。佳一は避けながら次々と刺していく。すると不思議な事に一撃でかなりのダメージになったのか、倒れていく。

 佳一はひたすら斬っていった。毒のある尻尾にあたりながらも動けるうちに次々と斬っていく。




「ハァ、ハァ、ハァ…」

 あれから何時間経っただろうか。佳一は全匹を倒した。防具はボロボロとなり、剣も斬り面がギザギザに欠けていた。

「どうだ!ハァ、ハァ、ハァ、宇宙人!全匹、ハァ、ハァ、倒したぞ」

「お疲れ様。確かに全匹倒した。しかしまだ一匹いるんじゃないのか?」

「え?」

 息が荒い中、奥を見る。するともう一匹いた。しかも他のより結構デカイ。更によく見ると傷跡が見える。

「まさか…昨日の」

 俺は早く倒したいという事しかなく、走ってアムルへと向かった。

「昨日はよくも!」

 俺は無我夢中で斬る体勢に入った。

「あっ」

 俺は急に止まる。よく見るとアムルの近くに子供だろうか、小さいアムルが二匹いた。

「どうした?」

 宇宙人の声が聞こえる。

「こいつ…子供がいる」

「だからどうした?さっさと殺せよ」

「……」

 佳一は剣を降ろす。子供がお母さんを守ろうと必死で抵抗する。

「おいどうした?さっさと()れよ!」

 宇宙人は声量を上げる。

「なぁ…宇宙人」

「何だ」

 俺はある覚悟した。

「こいつらだけは…見逃してくれないか」

「おまえ、何を言い出すかと思ったら」

 宇宙人は笑い出す。

「こいつには子供がいるんだ」

「だから何だって言うんだ?」

「頼む、見逃してくれないか?」

 俺は目を瞑って頭を下げる。

「……駄目だ」

 宇宙人の答えに俺は目を開ける。

「早く()れ」

 俺はその答えに顔を上げる。見ると子供は未だに必死でお母さんを守ろうとしている。

「駄目だ…俺には出来ねぇ」

「ならゲームオーバーでいいのか?」

「それは…」

「じゃあどうするんだ!目の前にいるアムルを殺すか、おまえらが獣化して人類が一生人類でなくなるのがいいか。さぁどうする!?」

 宇宙人のとてつもない怒鳴り声に佳一は考える。畜生、一体どうすれば…

「殺しなさい」

 突如女の声が聞こえた。

「早く…殺しなさい。私たちはもう生きる道など無い」

 誰だ。この周辺に女なんて…まさか。

 俺はアムルを見る。するとお母さんアムルがこっちを見ている。

「通じるのか?」

「あぁ」

 やっぱりそうだ。喋っていたのはアムルだった。

「私たち以外で通じる奴がいるとは」

 アムルは驚く。正直俺も何で通じるのか分からない。

「まぁいい。おまえには時間が無いんだろ?だったら早く殺せ」

「そんな事言わないで!お母さん死なないで!」

「そうだよ。お母さん死んじゃイヤ!」

 子供たちの声が聞こえる。これじゃあ余計()りくい。

「五月蝿い!私たちは所詮こういう運命なの!」

 あの…そんな事言われると余計やりづらいんですけど……

「さぁ、早く殺しなさい」

「いいん…ですね?」

「はい」

「じゃあ目を瞑ってくれませんか?」

「分かりました」

 アムルはゆっくり目を瞑る。

「お母さん!」

 子供のアムルが泣き叫ぶ。

「どうしたさっきから誰と話している!」

 宇宙人の声が聞こえた中、俺は剣を縦に振った。

「ごめん」

カチーーーン

「殺したか?」

「あぁ…殺した」

「そうか。じゃあミッションクリアだ」

 宇宙人の声が聞こえた後、俺の周りから光が発生し始めた。

「元気でな」

 俺は小声でお母さんアムルに言った。

「何故私たちを斬らなかった?」

「俺の性格上、出来ねぇんだよ。俺が言うのをなんなんだが、命を無駄にしちゃいけない。仲間を殺して申し訳ないが頑張って生きてください」

「そうか、ありがとう」

「それじゃあ」

 そう。佳一はアムルを斬らずにわざと地面を斬ったのだ。そして佳一はその場から光と共に消えた。

「いつか恩を…」

 お母さんアムルはそう心に誓った。




 場面はいつも通りUFOの中。宇宙人が目の前にいる。

「ミッションクリアだ。それじゃあ約束だ。元に戻してやる。こっちに来い」

 佳一は宇宙人の後をついていき、中に入った。

「その台に寝ろ」

 俺は台の上に乗り、仰向けになる。

「このゴーグルをつけて目を瞑れ」

 俺はゴーグルを装着し、目を瞑る。

「それじゃあいくぞ」

 宇宙人の声と共にレーザー装置が動く音がする。

 これで…元に戻れる。

 俺は心の中で喜びながら思った。

「よし、終わりだ」

 あっという間に終わり、俺は目を開き、ゴーグルを外す。

「起きた頃には戻ってる」

 これで何とかまだ完全なる人間になれる。明日から頑張ろう。

 俺はそう思いながら部屋を出る。

意見やポイント等よろしくお願いします。

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