第10話 セカンドミッション①~ダダラス~
最近睡眠不足です。
「はぁ、はぁ、はぁ」
急に汗が出始め、まるで夏場外に立ったような暑さが襲う。しかし佳一は夢の中…
ミシミシミシ
ボキボキボキ
暗くてよく分からないが、佳一の左足の方から骨の軋む音がする。
その音は一時間弱鳴り響いていた。
朝、佳一は目を覚ます。
寝ぼけていて、視界がぼやけているが時間が経つに連れ、佳一は自分のある体の部位の変化に気付く。
「ひ、左足がっ」
まだ目がおかしいのだろうか。佳一は目を擦る。視界がハッキリし、改めて左足を見る。やっぱりおかしい…左足が人間の足じゃない。俺の左足は青緑色に変色し、右足と比べ、指が長く伸び、爪も鋭く伸びていた。
「な、何だこれ!」
慌てて後ろに下がり、壁にぶつかる。
何の動物の足なのか分からず、佳一はただ戸惑うばかりだった。
「お、起きたか?」
宇宙人が入ってきた。
「おう、なってるじゃないか」
「い、いい一体こ、こここれは、な、ななな何のあ、ああ足なんだよ!」
動揺しながら佳一は言う。
「おまえが何の足になったか知りたいか?」
「そりゃ、知りたいさ」
「残念だがそれはまだ教えられない。もう少ししたら教えてあげよう。さぁ早く準備しろ」
「準備って…何の?」
「試練に決まってるだろ。早くしないと時間が無くなるぞ」
「ちょ、ちょっと待っ、うわっ」
宇宙人の言葉に慌てて立ち上がったが、片足が何かの動物になっている為尻餅を着いてしまった。やっぱり片足が何かの動物になってるとぎこちない。佳一は壁に手を当てながら立ち、宇宙人の後をついていった。
案内されたのは何も無い広い空間。
「続いて第2の試練だ。第2の試練は全部で3つ、全て狩りだ。まず一つ目はダダラスだ」
「ダダラス?」
「そう、ダダラスだ」
すると床から立体モニターでダダラスの正体が映し出された。見た目はカマキリに見える。
「ダダラスは体長約3m50cm。性格は大人しい方だ。こいつは背後で攻撃すりゃいい。倒したら前脚を持って来い。制限時間は今日の夕方までだ」
「夕方って…もう昼過ぎたよ!というか武器とか防具とかないの!?」
日はまだ南中か若干西に傾いている。そしてこれから戦うにあたって、武器や防具がない。私服姿でやれと言うのか?
「心配ない」
そう言うと、宇宙人は指をパチンと鳴らす。すると佳一周辺が瞬時に光り、あっという間に防具姿になった。床には剣が置いてあった。
「これならある程度受けても死なない。さぁ時間が無くなる前に行け」
「うわっ!」
宇宙人はそう言った後、佳一は消え、UFOの外、地上数mから落下した。
「いったぁ~」
尻餅も着き、暫く尻を押さえる。
数分後、気を取り直して佳一は剣を拾い、ダダラスを探しに行った。
数時間経過。佳一は草むらの中を歩いていた。
「クソッ、何処にいる?」
草むらをかき分けて進んでいると、大木の前に着いた。
「うわぁ~でっけぇ木」
見上げると風で枝が揺れている。
「ん?」
上の方で何かが動いてる。一体何だ?
ガシャガシャガシャ
そいつは突然ジャンプし、西の方へ跳んでいった。
佳一は西の方へ走っていった。にしてもこの左足は歩きづらい…
そんな事を思いながら西の方へ走って数分。木の頂上にそいつはいた。
「モニターで見たダダラスだ!」
4階建てのビルの高さくらいの木にそいつはいる。ダダラスは上で休んでいた。モニターで見たときよりも大きい。
「なんとかして気付かせないと…」
佳一はなんとかしてダダラスを気付かせようとちょうど投げやすそうな石ころを見つけ、少し下がり、ダダラスに向けて
「おらっ」
石を投げた。石は勢い良く上がり、ダダラスの右脚に当たった。
「シャアァァ」
気付いたダダラスは辺りを見回した。
「当たったみたいだな」
そう確信していると同時にダダラスが佳一の方を見た。
「シャアアア!!!」
ダダラスは佳一の方に急降下してきた。
「やっべ」
佳一は木の方に逃げた。
ドシャアァァン!
土煙が立ち、数秒間辺りが見えなくなった。土煙が収まると目の前にはダダラスがいた。
「シャアァァ!」
ダダラスは鎌の前脚を空高く掲げていた。
「危なっ」
避けた直後に、ダダラスは前脚を降ろした。横を見れば脚が地面に刺さっていた。
「こりゃ当たったら死ぬぞ」
そう思いながら佳一は立ち上がり、剣を構える。
「シャアアア!」
ダダラスは一鳴きした後、佳一に突進してきた。佳一は当たる寸前で転がり、宇宙人が言っていた「背後で攻撃」を頭で思いながら、ダダラスの背後に着き、剣を構え、
「おりゃあぁぁぁ!!」
左脚に当たるよう振った。剣はダダラスの脚に当たり、血が飛び散る。
「シャアアアア」
さっきよりも高い声で鳴きながら、佳一と距離を置いた。暫くこちらを警戒し、ダダラスは前脚を上げた。
「次は何だ?」
そう思いながら見ていると、前脚から棘が佳一に向け、飛んできた。
「ヤバッ!」
辺りは防ぐ物が無く、佳一はその場にしゃがんだ。
棘は佳一の上の僅か数ミリ頭上を通り、棘は奥の木に刺さるかと思ったら、棘は木を貫通し、木は倒木した。
「当たらなくて良かったぁ」
佳一は冷や汗をかいた。再び立ち上がり、佳一は剣を構えた。
ダダラスは再び突進して来た。佳一は避け、再び左脚を狙って斬った。
ドスン
左脚を斬った直後、ダダラスは扱けた。
「チャンス!」
佳一はもがいているダダラスを斬りまくった。血が顔や防具に付く。
ダダラスは起き上がり、佳一の方を向き、前脚を振った。
カンッ
前脚の攻撃を剣で弾いた。そして今度は胸の部分を刺した。
ブシュウゥゥゥ
「シャアアァァァ」
ダダラスの胸から血が大量に出る。そして動きが急に鈍くなった。
「チャンス!」
佳一はまず後ろ脚から斬った。両足斬り終えると、ダダラスは倒れた。
「これで終わりだあああ!!!」
佳一はダダラスの横に移動し、剣を縦に振った。
「シャアァァ……」
ダダラスは鳴きながら二つに斬れた。
「た、倒した」
血を腕で拭い、早速前脚を斬った。
「う、重っ」
重い前脚を地面に擦りながら佳一は戻った。
「やっと見えた」
迷いながらもなんとか夕方までに帰ることが出来た。外で宇宙人が待っていた。
「よく時間通りに…ご苦労さん。で、脚は?」
「これだ…よっ!」
佳一は宇宙人の前に担いでいた前脚を置いた。
「ん~、まぁまぁだ」
佳一が必死で持ってきた脚を宇宙人は片手で持ち上げた。
「今日はこれで終いだ。明日も狩りだ。充分回復しておけ。血だらけだし」
宇宙人は階段を上がり、中に入った。その後に佳一も階段を上がった。
「ふぅ~」
風呂から上がり、血で汚れた防具は清浄機で綺麗に落ちた。
「明日は何するんだか」
布団に入り、佳一は電気を消した。
その頃、とある部屋では…
「よしよし、順調に進んでいる」
宇宙人は部屋の中にある様々なカプセルを見ていた。カプセルの中の液体に人間が眠っていた。勿論亮大も。
「このままいけば丁度佳一が材料を集めれる頃には…」
宇宙人は笑みを浮かべながら見ていた。
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