表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】聖女の双子の姉に転生しましたが攻略対象の様子がおかしい~妹のために動いたら、私が落とされました~  作者: 木風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/60

第四十七話 百年だって待てる

翌日の夜——お互い授業中は何度もこっくりこっくりしたが——セリアがもう少し詳しく話してくれた。

魔王ルシファーについて。


「続編の世界では、ルシファーはこの国の北方にある古い魔族の土地の王なんだけど、本編の時系列では封印されてる。で、続編の時代——本編から二十年後に封印が解けて、ヒロインと出会う」

「二十年後……つまり、今から二十年くらい後の話?」

「そう。だからルシファーは今の時代にはまだ封印されてる。どれだけ探しても、今はいない」

「いない……」

「うん。でも、封印が解けるイベントの条件はわかってる。続編のオープニングで語られてたから。その条件が整った時に——解放される」

「それはいつ?」

「続編のヒロインが十六歳になる時。つまり、本編のセリアが王妃になってから十六年後くらい」


セリアがにこっとした。

軽い笑顔なのに、言っていることは重い。未来の設計図だ。


「マリアンナがクロード殿下と結婚して、子供が生まれて——十六年待てば、ルシファーに会える」

「……ちょっと待って、セリア?今さらっと『十六年待てば』って言ったけど」

「うん」

「セリアには好きな人がいるって言ってたけど、それはルシファーでしょ?でも会えるのは十六年後で——」

「待つよ」


セリアがあっさり言った。

迷いがない。笑いもない。ただ、当たり前みたいに。


「十六年?」

「十六年くらい余裕。ルシファーのためなら百年だって待てる」

「……それは本気?」

「本気。この世界に転生したって気が付いたときに、絶対にルシファーと結ばれるって決めたの」


セリアの目に、真剣な光があった。

冗談じゃない。夢でもない。これは彼女の『選択』だ。


「でも、十六年の間、セリアはどうするつもりなの?誰かと結婚するわけじゃないなら——」

「王家の聖女として、国に尽くすよ。王妃になったマリアンナを補佐して、聖女としての役割を果たして——その間に、ルシファーが目覚めた時のための準備もしておく」

「準備?」

「続編では、封印が解けた時に魔族と王国の関係が一気に緊張するの。ヒロインが間に立つんだけど、下地がなければもっと大変だった。だから、その下地を今から少しずつ作っておこうと思って」


言い終えたセリアは、少しだけ肩をすくめた。

やってみせる、と言わんばかりに。


「……セリア」

「なに?」

「それって——すごく大変じゃない?無理やり続編のヒロインになるんだよね?」

「マリアンナが私のために十七年間頑張ってきたんだよ?私が十六年くらい頑張れないわけがない」

「……でも」

「それに」


セリアが笑った。


「私は本当に待てると思ってる。ルシファーはそれだけかける価値があるの。そう思えるくらい、大好きな人なの」


その確信に満ちた顔を見て、私は何も言えなかった。

方向性が違うだけで、情熱の質は同じだ。……いや、セリアの方が強いかもしれない。


(廃人……セリアも立派な廃人だった……)


「でも、ルシファーが実際に会った時、セリアの期待通りの人かどうかはわからないよ?ゲームと現実は違うし——」

「もちろんわかってる。でも、わからなくても会いたい。それだけだよ」


セリアの声は穏やかで、揺るぎなかった。

でも……確かに、前世の私はセリア一点突破で、クロードになんてミリも惹かれてなかった。


「……わかった。私も協力する」

「ありがとう!」

「まあ、まず学年末を乗り越えないといけないけど……」

「殿下に会いに行くんでしょ?」

「……うん」

「絶対うまくいくよ」

「根拠は?」

「感じ」

「感じって、廃人プレイヤーの勘ってこと?」

「そう。廃人の勘は当たる」

「……そうだといいけど」


セリアが立ち上がって、ぐっと伸びをした。


「ねえマリアンナ、一つ聞いていい?」

「なに?」

「前世の私——ゲームのセリアは、マリアンナの最推しだったんだよね」

「うん」

「今の、私のことは?」


私は少し考えた。

答えは、もう決まっているのに、言葉だけが追いつかない。


「最推し、でもあるし——かけがえのない妹だよ。それ以上の言葉がない」


セリアが、ふわっと笑った。


「それが聞きたかった。ありがとう、マリアンナ」

「……どういたしまして」

「さあ、明日からちゃんと寝ようね。二日連続徹夜はさすがに十代の体でもキツイ」

「そうだね……」

「おやすみ、マリアンナ」

「おやすみ、セリア」


電灯が消えて、部屋が暗くなる。

暗くなったのに、不思議と胸は軽かった。


静かに天井を見る。


(セリアも転生者だった。セリアは自分の未来を自分で決めていた)

(そして私の幸せも、ずっと願っていた……ありがとう、セリア)


心の中で言った言葉は、声にはならなかった。

でも、きっと伝わっている。

双子だから。

ブックマーク、★★★★★、リアクション

よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ