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【完結】聖女の双子の姉に転生しましたが攻略対象の様子がおかしい~妹のために動いたら、私が落とされました~  作者: 木風


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第四十五話 リリアの秘密

沈黙が落ちた。

五秒ほど、私は瞬きすら忘れて動けなかった。

心臓だけが、どく、と一度大きく鳴る。


「……えっ」

「前世の記憶がある。別の世界で生きていた、別の自分の記憶が。そこではこの世界は——ゲームだった」

「……っ」

「『聖女の涙、君に捧ぐ』。知ってる?」


胸の奥が跳ねた。

言葉の形は知っているのに、現実の口から出ると重い。


「……知ってる」

「やっぱり」


セリアが小さく笑った。


「マリアンナも、同じゲームを知ってるんだね」

「知ってるどころか……」

「どころか?」

「……廃人と言われるほど、やり込んでいた」


セリアが目を丸くした。

そして——くすっと笑った。


「それはすごい」

「笑わないで……!」

「ごめん。でも……うれしかった。マリアンナも同じ世界を知ってたんだって」


セリアが私をじっと見た。

笑いが消えて、真剣さだけが残る。


「マリアンナは、私が——セリアが——ヒロインだって知ってたんだね」

「……うん」

「そして、ヒロインには悲しいルートが多いってことも」

「……知ってた」

「だから、ずっと私を守ろうとして——クロード殿下ルートへ誘導しようとしてたの?」


ゆっくり頷く。


「セリアのことが——ゲームの時から、ずっと大好きだったから。悲しいエンディングを迎えてほしくなくて」

「マリアンナ……」

「でもね、正直に言うと——最初から転生先がセリアの双子の姉だってわかった時、嬉しかった。セリアと一緒にいられるって思って」

「嬉しかったの?」

「すごく。最推しの双子の姉妹に生まれたんだって」


セリアがまた、くすっと笑った。

その笑い方が昔と変わらなくて、胸が少しだけ温かくなる。


「さい、おし?」

「……好きなキャラのことをそう呼んでいた。前世の言葉で」

「ふうん。私が、マリアンナの最推し」

「そう」

「それは……なんか、照れるね」


セリアが頬に手を当てた。

照れた顔が、可愛い。……可愛いって言っていいのか、よくわからない状況なのに、いつもと同じ感想が出てくるのが少し面白い。


「私もね、マリアンナが言う『最推し』みたいな存在がいるよ」

「……この世界の人?」

「ゲームの続編に出てくるキャラクターでね」

「続編……?」

「『聖女の涙、君に捧ぐ 続——魔王の夜明け』。知ってる?」


そのタイトルには、確かに聞き覚えがある。


「……発表はされてたけど、私が前世で亡くなった時点では、まだ発売前だった」

「そっか。私は発売した後の転生だったから、プレイしてたよ」

「ひょっとして続編の誰か?」

「タイトルの通り、攻略対象として魔王が出てくるの。名前はルシファー」

「魔王が攻略対象……!?」

「そう。本編では名前も顔も出てこなくて、謎の存在として匂わせで語られるだけなんだけど、続編でヒロイン——本編のセリアの娘が——彼と出会って、物語が展開する」

「娘……!?本編でクロードルートを攻略したセリアが娘を生んで、次世代ヒロインになるの?」

「うん。でも、私が最推しなのは魔王のルシファー」


セリアが、うっとりとした顔をした。


「ルシファーは……ほんとうに、最高なの。見た目は怖くて不遜で、でも実は誰よりも孤独で。ヒロインだけに少しずつ心を開いていって——ラスト前のシーン、私、泣き崩れたよ。画面の前で」


セリアの目が、うっとりと光っている。

暗い部屋なのに、その熱量だけがやけに眩しい。


「声も、さいっこーだったなぁ」

「……セリアも廃人だったの?」

「そこまでじゃないけど、ルシファーのルートは五回くらいやった」

「五回……まあうん、うん、わかる」


気づいたら私たちは、最推しキャラが最高だった話を興奮気味に語り合っていた。

笑って、身振りまで大きくなって、途中で息が切れて。

ふと我に返って、お互いの顔を見合わせる。


「……私たち、同じゲームを知ってる転生者同士だったんだね」

「そうだね……」

「でも、マリアンナは転生直後から知ってた?この世界がゲームだって」

「うん。赤ちゃんの頃から気づいてた」

「私も。最初に目が覚めた時から、ここがゲームの世界だって確信してた」

「じゃあ、ずっと知ってたのに——黙ってたんだね。お互いに」


セリアが少し困ったような、でも笑っているような顔をした。


「私がゲームのことを話したら、マリアンナが変に気を遣うかもしれないって思って」

「気を遣う?」

「だって——私、自分がヒロインだって知ってるし、悲しいルートがあることも知ってる。でも、マリアンナに『可哀そうなセリア』として見られたくなかった」

ブックマーク、★★★★★、リアクション

よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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