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聖女の双子の姉に転生しましたが攻略対象の様子がおかしい~妹のために動いたら、私が落とされました~  作者: 木風


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第二十七話 学院は広い。死角も多い

王立学院の敷地は、想像していたよりもずっと広かった。


本館、魔術棟、礼拝堂、演習場、図書館、そして各学年の寄宿舎。

それらが整然と並ぶさまは、まるで小さな街のようだ。

石畳の道を一本曲がるだけで景色が変わるし、鐘の音の響き方まで場所によって違う。

ゲームでは行けるところが限られていたから、ここまで広いとは思わなかった。

というか、思いたくなかった。広いと、死角も増える。


私とセリアは双子なので同じ寮の同室に配置された。

これは事前にお父様が手配してくれたものだが、ありがたいことこの上ない。

セリアのそばにいられるのは、守護者として最良の配置。

……そして姉としても、正直ほっとする。夜に一人にしなくて済む。


入学から最初の一週間は、主に各科目のオリエンテーションと寮生活の説明が続いた。

規則、時間割、礼拝の作法、食堂の席順。覚えることだらけで、普通ならそれだけで手一杯。

でも私は、その合間にもゲームの知識をフル活用して、危険の芽を探し続けた。息をするみたいに。


まず確認したのは、『影の教団』の学院内工作員。

ゲームの設定では、『影の教団』は学院の中にもスパイを潜入させていた。

その一人が、一年生担当の補佐教師——フォスター助教。


実際に顔を見た瞬間、背中がひやりとした。

「やっぱりこの人か」と、確信してしまったから。

ゲームのスチルで見た、少し陰のある中年男性。

書類仕事ができる『真面目な助教』として信頼されているが、内心は教団の指示に従って動いている。


(直接どうこうは、まだできない。でも——)


目を光らせておく必要がある。

フォスター助教が動くのは、セリアが孤立した隙をついてくる場面だ。

なら、その『孤立した隙』を作らせない。

当面の対策は、それで十分。派手に動くとこちらが目立つ。目立ったら、狙われる。


次に、学院内での人間関係の地図を把握した。

クロードは三年生として在籍しており、一年生の私たちとは授業が被らない。

ただし礼拝の時間や食堂など、共有スペースでは顔を合わせる機会がある。

『偶然』に見える出会いを作れる場所——そこは、覚えておく。


ランベルトは同じ一年生だった。

騎士科に所属しているが、一般教養の授業は共通。

エリオットも同じ一年生で、魔術科所属。

アレクシスは三月後に転入予定。嵐は予定どおり、後から来る。


そして、その『日常』の中で——もう、動き始めていた。


「ねえ、マリアンナ。なんか、ランベルトさんって感じのいい人だね」


机を並べた授業の合間に、セリアが小声で言った。

セリアの視線の先で、ランベルトが同席の生徒たちと談笑している。

笑うと目が少し細くなる。声が大きすぎない。

誰にでも同じ距離で接する。……うん、分かる。分かるんだけど。


(ああ、もうフラグが立ち始めてる……!!)


ゲームでのランベルトは、最初にセリアと仲良くなる攻略対象だ。

親しみやすく、正義感が強く、セリアに対して最初から自然に接してくれる。

セリアにとってはとっつきやすい存在で、だからこそ好感度が上がりやすい。


でも——ランベルトルートのエンディングは、バッドエンドだ。


セリアを守るために身を盾にして致命傷を負い、息を引き取る。

プレイヤーが号泣必至のルートとして有名だった。

守ってくれる人ほど先にいなくなる、その残酷さを私は知っている。


(そのルートにだけは、させない。フラグをバッキバキに折らないと!)


「友達になれるかなぁ」

「なれると思う。でもセリア、一人の人とばかり仲良くするより、色んな人と広く交流した方がいいよ」

「どうして?」

「学院の友達は一生の財産になるから」


嘘ではない。

ただ、セリアが特定の攻略対象と『二人の世界』に入り込まないための布石でもあった。

クロードルート以外に深入りしてほしくない。……言えないけど。


「マリアンナ、今日も計画してる顔してる」

「してない」

「してるってば」


セリアがくすくす笑う。


(あまりにも同じ時間を過ごしたせいか、ばれることが増えた……)


それはともかく。

学院生活の第一章は、こうして穏やかに幕を開けた。

穏やかに見えるだけで、私の中ではもう、いくつも歯車が回り始めている。

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よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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