表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

既読がつかない夜

作者: 空詩
掲載日:2026/01/14

午後十一時。私はスマホを握りしめていた。

「明日、会えますか」


送信してから三時間は経っている。だが既読がつかない。占い師なのに胸がざわつく。


メールの相手は二ヶ月前から通ってくれている常連さんだ。出会った当初は「仕事運を見て欲しい」と言っていたのに、最近は「先生とお話したくて」と来店する。


彼とは先週初めて食事に行った。

占い館で会う彼と、外で会う彼は少し違って見えた。少し照れていて、いつもより饒舌だった。


「また会いたいです」彼は帰り際にそう言った。

だから私はメッセージを送った。既読はまだつかない。


私はタロットカードを取り出した。

「自分のことは占わない」そのルールを破るのは今回で二回目のだ。


カードを引く手が震える。

出たカードは「月」「隠者」「吊るされた男」だった。

どれも、待つことを告げるカードだった。

「そんな…」私は凄く悲しくなった。

やっぱりまだ既読にならない。


嫌な想像だけが、膨らんでいく。


午前一時。こんな気持ちで寝れる理由はない。紅茶を淹れた。紅茶を一口飲んで、ふと窓を見る。夜空に丸い月が浮かんでいた。

そういえば、彼は、写真が趣味だと言っていた。


その時スマホにメッセージが届いた。

「今夜、満月だったから撮影しに行ってた。連絡遅れてしまい申し訳ない。僕も明日会いたいです」

メッセージと共に撮影した写真も添付されている。とても美しい。私はタロットカードをもう一度見返した。

「月」は満月。「隠者」は一人の時間。「吊るされた男」は、視点を変えること。カードに答えは出ていたのだ。ただ、私が気づかなかっただけ。


「明日、楽しみにしています」私は返信した。


不安な夜を超えるのは、占いよりも、しんじるこころかもしれない。

満月は私の味方をしてくれた。


読んでいただきありがとうございます。

他にも短編を投稿しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ