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第14話 ギャルと初めての気持ち

「いやぁ何というか大変だったね」


杏奈は苦笑いしながら反応に困っている。

あれからコインランドリーに着いた俺の顔は疲れ切っていて、杏奈が心配していたのでさっきの出来事を話したのだが、結果この反応だ。

そりゃそうなるよな。だってめっちゃ大変だったんだから!ほんと思い出しただけでゲンナリしてしまう。


「でもそんな千代姉って珍しいかも」

「あ〜それは俺も思った」


杏奈の言葉に俺は同意する。あそこまでキツく当たる尾上さんは見たことなかったもんな。


「2人は実は付き合ってるとかないよね?」

「それは無いと思う」


俺は杏奈の意見をすぐに否定した。すると杏奈は少し意外そうな顔をしている。


「大輝にしては珍しく言い切るじゃん!何か理由があるの?」

「付き合ってるなら中城先輩が隠すはず無いからな。というか隠せないと思う」


今ですら好意がダダ漏れなのだ。付き合っているのなら今以上に漏れ出してウザいことになるに決まっている。自分で自分の理由に納得していると


「そうかなぁ?付き合ってるからこそ隠してる可能性はない?」


杏奈は俺の理由に納得してないようで反論してくるのだが、俺はそれよりも人差し指を下唇に当てて少し上を見ながら考えている杏奈の姿に目を奪われていた。思わず叫びそうになったが何とか堪える。不思議そうな顔をしている杏奈に俺は何とか取り繕いながら答える。


「でも付き合ってるの隠す意味ってあるか?」

「千代姉ならやりそうじゃない?」

「確かにやりそうだな」


今度は思わず俺が苦笑いをしてしまう。尾上さんは自分の事をほんと話さないもんな。意味がある無いとか関係なくやりそうだ。


「でも良かった」

「何が良かったんだ?」


急に話の方向性が変わったので俺は首を傾げてしまう。そんな俺を見た杏奈は笑顔で


「大輝が付き合ってるのを隠さない人だって分かったから!」


嬉しそにそんな事を言うのだ。そして俺はまたしてもその笑顔に目を奪われてしまった。

何でか分からないが今日はやたらと杏奈に目を奪われてしまう。ちょっとした仕草や表情にドキッとしてしまうのだ。

そんな俺に気付いた杏奈はニヤニヤしている。


「あれ〜?ドキッとしちゃった?」

「し、してない!してないから」


見事言い当てられた俺はしどろもどろになりながら否定するが全然出来ていない。何か今日の俺おかしくないか?このままじゃいけない!

そう思った俺は話題を変える事にした。


「桃子から預かってる物があるんだよ」

「桃子ちゃんから?」


そう言って首を傾げる杏奈を見てまたもや俺は

ヤラれてしまう。どうやらコインランドリーに2人でいるのが久しぶり過ぎて必要以上に杏奈を意識してしまっているようだ。


「お世話になったお礼がしたいんだってさ」

「え〜!めっちゃ嬉しいだけど!」


喜んでいる杏奈を見てまたもやヤラれそうになるが何とか踏みとどまる。


「それで杏奈の他にも久慈川と姫川の分も預かってるからどこかで会えないかなと思ってさ」

「それなら明後日3人でお茶する予定だから大輝も来る?」


明後日ならバイトもちょうど休みなので都合も良いんだけど気になる事もある。


「いきなり俺が行っても大丈夫なのか?」

「大丈夫でしょ!一応2人にも聞いておくけど多分断られないと思うよ」


杏奈がアッサリと言うので本当にそうなんだろうな。それにしても女子3人の中に混ざるのはかなりハードルが高い気もするするが。


「桃子ちゃんもう帰っちゃったんだよね?」

「だな。今日母さんが迎えに来て一緒に帰ったんだよ」

「せっかくなら見送りしたかったなぁ」

「桃子も会えないの寂しがってたよ」


この数日で本当によく懐いていたからな。杏奈だけではなく久慈川と姫川にもである。最初はどうなるかと思ったけどな。


「大輝のお母さんは元気だった?」

「そうだな。元気過ぎてウザいくらいだった」

「そんな事言ったらかわいそうじゃん!」


そんな事あるんだよな。それにもし母さんに杏奈を会わせたらどんな事になるやら。絶対に面倒くさい事になるに決まっている!

多分かなり渋い顔をしていたんだろうな。杏奈はそんな俺を見てめっちゃ笑っていた。


「それじゃ明後日は空けておくから、2人から返事があったら教えてくれ」

「おっけー!桃子ちゃんからのお礼めっちゃ楽しみ!」


それだけ喜んで貰えると桃子も本望だろうよ。

しかし嬉しそうにしている杏奈を見ていると何故か少しだけ面白くないと思ってしまった。

何だろうこの気持ちは?何でこんな事を思ってしまったんだろうか。


「どうしたの?何か難しい顔してるけど」


そんな事を考えていると杏奈が心配そうに俺を覗き込んでいた。


「いや、ちょっと考え事をしてただけだから。大丈夫、何でもないよ」

「そう?何かあったらいつでも話聞くから遠慮なく言ってね」


杏奈はそう言ってくれるのだが、流石に今のを言う気にはなれない。というか言えない!

嬉しそうにしている杏奈を見て面白くないとか自分でも意味が分からないのだから。

杏奈にはいつも楽しそうにしていて欲しいと思っていたはずなんだけどな。そう思った俺は考えていた事を実行する事にした。


「話は変わるんだけど」

「何なに?」

「俺も杏奈にお礼がしたいんだよ」


俺の言葉を聞いた杏奈はキョトンとした顔をしている。いきなりお礼と言われても困るだろうけどここまで来たら行くしかない!


「それで今度一緒にどこか行かないか?」


恥ずかしさで目を逸らしそうになるが何とか耐えていると杏奈が口を開いた。


「それはデートのお誘いって事でいいんだよね?」

「はい。デートに誘っています」


杏奈に何かお礼をしようと考えたときに水族館に行った時の事を思い出したのだ。また一緒に出かけようと約束をした事を。

しかしお礼と称してデートに誘うとかヘタレと思われていないだろうか?今さらながら心配になってきた。


「めっちゃ!嬉しいんだけど!」


しかしそんな心配などよそに杏奈は嬉しそうに目を輝かせている。


「大輝から誘って貰えるとかほんと嬉しい!」

「そうか。なら良かった」

「え〜!どこ行く?」

「杏奈の行きたい所でいいよ」

「ダメ!一緒に考えようよ!そっちのが絶対楽しいし!」


そう言ってどこに行こうかアレコレ考えている杏奈を見て勇気を出して良かった思う。

そして嬉しいそうな杏奈を見ているとさっきまでのモヤモヤが綺麗さっぱりなくなっていたのだが俺はその事に気付かないのだった。

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