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第4話 清楚美人と妹と〇〇

「杏奈ちゃ〜ん早く早く!」

「ふふっ、そんなに走ると危ないですよ」


楽しそうに走り出した桃子を杏奈が追いかけていくの姿を見て俺はため息をつきながらも声をかける。


「あんまりウロウロして迷子になるなよ」

「分かってるよ!お兄ちゃんはうるさいなぁ」

「大輝くんは心配なんですよ。だから迷子にならない様に私と手を繋ぎましょうか」

「つなぐ!!」


そう言って2人は手を繋いで楽しそうに笑い合っている。なんだか微笑ましいなんて思っていると


「お兄ちゃんはこっち」


桃子がそう言って空いている手を俺に差し出してきた。手をつなげと言うことらしい。


「杏奈と繋いでるんだからいいだろ?」

「え〜いいじゃん!ケチ!」


何だよケチって!高校生にもなって妹と手を繋いでショッピングモールを歩くとかどんな拷問だよ!しかしそんな俺に対して


「いいじゃないですか。せっかくなので大輝くんも一緒に繋ぎませんか?」


杏奈までも手を繋げとか催促してくる。楽しそうにしている杏奈の誘いを断る事も出来ずに俺は渋々ながら差し出している桃子の手を握る。


「最初から素直になればいいのに!」

「そうですね。でもちゃんとお願いを聞いてくれるのは大輝くんの良いところですよ」


桃子の言い方にイラッとしたが杏奈に褒められてしまっては何も言うことが出来ない。


「いい水着があるといいですね」

「うん!可愛いやつがいいなぁ」


2人が話している通り俺達はショッピングモールに桃子の水着を買いにきたのだ。

久慈川が桃子も海に連れて行くと言い出した件はあっさりと了承された。それは良いのだが水着なんて持って来ていない桃子に俺が


『レンタルでも良いいんじゃね?』


そう言ったとたんに女性陣から批難を浴びまくったのである。絶対に可愛い水着を買ってあげなさいと全員に言われてしまった。あまりの勢いに俺は素直に頷くしかなっかたのだが、桃子と一緒に行くのが俺たけでは不安だと言うことで杏奈が付いてきてくれることになったのだ。


「今日は一緒に来てくれてありがとうな」

「大輝くんに任せておくのは不安しかないですからね」

「ほんと面目ない」

「ふふっ、冗談ですよ。桃子ちゃんと仲良くなるいい機会ですからね」

「私も杏奈ちゃんともっと仲良くなりたい!」


杏奈が顔覗き込むと桃子は満面の笑みを浮かべながら元気よく返事をしながら繋いでいる手をブンブンと振っている。そんな桃子を見ながら俺は若干不安になった。だっていつもより明らかにテンションが高いからだ。頼むからやらかさないでくれよ!俺は心から願うのだった。



「これとかどうかな?」

「よく似合ってますよ」

「じゃあこっちは?」

「それも似合ってますが、さっきの方が桃子ちゃんらしくないですか?」


水着売り場に着いた杏奈と桃子はさっそくあれこれ選んでいる。いくら妹とはいえやっぱり女性向けの売り場は居た堪れなくなってくる。

まぁ前に杏奈と尾上さんと来た時よりは遥かにましだけどな。


「お兄ちゃんはどっちが良いと思う?」


そんな事を考えていると桃子が2着の水着を手に持って俺に見せてくる。


「どっちでもいいんじゃないか?てか杏奈に選んで貰えば良いだろ?」

「私はお兄ちゃんに聞いてるんだよ!!」


俺は適当に流そうとしたのだが桃子は頬をパンパンに膨らませて一目でわかるくらいに不機嫌になっている。え〜そんな不機嫌になる?

困惑している俺を見て杏奈が呆れている。


「大輝くん!桃子ちゃんは大輝くんに選んで欲しいんですからちゃんと選んであげて下さい」


桃子の両肩に手を乗せながら杏奈は俺に真剣な眼差しを向けてくるじゃないか。そんな目で見られると適当に流そうとした俺が悪い気がしてくる。


「悪かったよ。ちゃんと選ぶから」

「最初っからそう言えばいいのに!ほんとお兄ちゃんは面倒くさいんだから!」


謝った俺に対してこの言い草である。イラッとしたがまた不機嫌になられても面倒くさいので俺の方が大人なのだと自分に言い聞かせて俺は文句を言うことを我慢した。こうして俺は杏奈に続いて桃子の水着も選ばされたのである。


「ちょっとトイレ行ってくる」


水着を買ってもらった桃子はトイレに行くのですらスキップしそうな勢いでご機嫌だ。


「お疲れ様でした」

「ほんと疲れたよ。杏奈も疲れただろ?」

「そんな事ないですよ。なんだか妹ができたみたいで楽しいです」


杏奈はそう言って楽しそうに笑っている。どうやらお世辞とかでは無く本心でそう思ってくれているようだ。


「まぁ桃子もだいぶ杏奈に懐いてるしな」

「だったら嬉しいですね」

「そう言って貰えるとありがたいよ」


何だかんだと言っても妹なのだ。邪険に扱われるよりは良くしてもらえる方が良いに決まっている。それが杏奈であれば尚更だ。そんな事を考えていると杏奈がとても優しげな眼差しを俺に向けてくる。


「やっぱり大輝くんは妹思いですね。いいお兄ちゃんだと思いますよ」

「そんな事はないよ」


俺は照れ臭くなってソッポを向いてしまう。

そんな俺を見て杏奈は楽しそうに笑いながら


「そういう事にしておきます。大輝くんはシスコンではないですもんね」


そんな事を言ってくる。そういや前に杏奈にシスコン疑惑を持たれたことがあったな。


「ほんとにシスコンじゃないからな!」

「分かってますよ」


ほんとに分かってんのだろうか?基本的に杏奈の事は信用しているが急にスイッチが入ったりするからな。まぁ今は楽しそうにしているからたぶん大丈夫だろう。


「ただいま〜!」


そんな事を考えていると桃子が戻って来た。


「どうする?水着も買ったしもう帰るか?」

「え〜!もうちょっとお店見たい!」


俺の提案に桃子はもう少しここに居たいと言い出した。正直俺は帰りたくて仕方がなかったのだが言い出す事が出来なかった。


「じゃあもう少しお店を見て周りましょうか」

「やったー!杏奈ちゃんありがとう!」


杏奈が桃子の提案を受け入れたからだ。それを聞いた桃子も嬉しそうにしているので帰りたいと余計に言い出せなくなったのだ。まぁ杏奈が良いんなら仕方がないか。


「はい!」


提案を受け入れてもらった桃子は手を俺達に差し出して来る。それを見た俺と杏奈は顔を見合せて思わず笑ってしまう。どうやらウチの妹様はまた手を繋ぐ事をご所望なようだ。俺と杏奈が手を握ると桃子はご機嫌になる。そんな俺達を見ていた老夫婦がすれ違いざまに


「可愛いお子さんですね」


何て言いながら笑いかけてきたのだ。

一瞬何を言われたのか俺は理解できなかった。


「私たち家族に見えるみたいですよ」


しかし顔を赤くした杏奈にそう言われた瞬間に俺の顔は一気に熱くなった。家族に見えるってことは俺と杏奈は()()見えるってことだよな。


俺は思わず杏奈の方を見たのだが杏奈も顔を真っ赤にしていた。それを見て俺はまた顔を赤くするのだった。


そんな俺達を見ながら桃子がニヤニヤしている事に俺も杏奈も気付くことが出来なかったのである。

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