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第24話 空気の読めないお邪魔虫

「何でこんな事になったんだろうな」


俺は思わず独り言を呟いてしまう。チラッと後方を見ると杏奈と尾上さんが物陰からこちらを見ているのが確認できる。2人とも早く行け!みたいなジェスチャーを送ってくるのだがぶっちゃけ行きたくない。しかし行かないという選択肢など俺には与えられていないので意を決して中城先輩と姫川の方に歩いていく。


なんでこんな事になっているのかというと中城先輩と姫川が一緒にいる所を発見したあと尾上さんが2人の所に突撃すると言い出したのだが絶対にややこしくなるので杏奈と全力で止めたのだ。尾上さんは渋々ながら受け入れてくれたのだが


「じゃあ代わりに行ってきなさいよ」


などと言い出した。しかし杏奈はギャルスタイルなので姫川の前に姿を見せれないので俺が行くしかなかったというわけだ。俺は重い足取りで中城先輩と姫川に近づくのだが2人はまったく俺に気が付いていない。姫川は中城先輩に夢中といった感じである。俺はさらに近づいて2人が何をしているのか確認すると何やら小物を見ているようだ。


「これとかどうだ?」

「うーん、デザインは良いんだけど色がちょっと派手すぎる気がするんだよねぇ」

「そうか?似合うと思うけどな」

「誰に似合うんですか?」


俺が会話に参加した事で2人は凄い勢いで振り返ったあと目を見開いている。どうやらようやく気付いてもらえたようだ。


「おまえ何してんの?」

「いや、ちょっと用事があったんですけど、

中城先輩を見つけたんで声をかけたんですよ」

「だったら普通に声かけろよ!ビックリするじゃねぇか!」


中城先輩はそう言いながら辺りをキョロキョロと見回している。何してんのこの人?


「1人なのか?」


どうやら俺が誰かときているのか気になっているようだ。というか多分、尾上さんがいるかどうか気になってるんだろうな。


「もちろん1人ですよ」


俺はしれっと嘘をついた。ここで尾上さんと来ているなんて言ってしまえば絶対に面倒くさいことになるからな。


「なんだよ暇人かよ」

「まぁそんなもんです」

「それで何してたんてすか?」

「あぁこの子に父親の誕生日プレゼントを一緒に選んで欲しいって頼まれたんだよ」


なるほどそうやって中城先輩を誘ったのか。

俺はチラッと姫川の方を見たのだが姫川は一言も話さずにじっと俺の方を見ている。というかもはや睨んでさえいる。何が言いたいのか分かっているからそんなに睨まないで欲しい。そんな俺達を見て中城先輩は何やら納得した顔をしている。


「悪い!ちゃんと紹介してなかったな。前に話してた近所に住んでる子だよ」

「初めまして姫川と言います」


中城先輩に紹介された姫川は初めてを装って俺に頭を下げてくる。まぁそうなるのは分かっていたので別段驚きはない。俺も同じように挨拶を返す。


「バイトの後輩で黒澤と言います」

「何だよ同い年なんだから、そんな畏まらなくてもいいだろ」

「俺は人見知りなんですよ」

「相変わらずだなぁ」


何も知らない中城先輩だけが呆れたように言うのだが、ここで気安くしたら絶対ボロがでるからな。てかそんな事をしたら後で姫川に何を言われるか分かったもんじゃない。というか姫川から邪魔すんなと言うと視線をヒシヒシと感じている俺は早々にここから離れる事を決意したのだが空気を読めない中城先輩がとんでも無い事を言い出した。


「おまえも一緒に選んでくれよ。俺だけだどなかなか良いアイデア出なくて決まらないだよ」


まじかよ!この人は何を言い出してんだよ!

見ろよ!姫川もまじか?みたいな顔しておどろいてんじゃん!


「さすがに邪魔しちゃ悪いので俺はそろそろ行きますよ」

「何を遠慮してんだよ!別に邪魔じゃないよな?」

「そうだね。全然邪魔じゃないよ」


中城先輩に同意を求められた姫川は笑顔でそう言うのだが目は笑っていなかった。まじでどうすんだよこれ!俺はどうにかしてここから離れる為の言い訳を探そうとするが中城先輩は強引に俺をプレゼント選びに引き込んでくる。


「ちょっとこれの色違いないか聞いて来るから待っててくれ」


そう言って俺と姫川を残して店員に話しかけに行ってしまった。


「何でこんな事するの?邪魔したいの?」

「すまん。本当にそんなつもりは全然なかったんだよ」

「せっかく2人で買い物に来れたのに」


姫川はめっちゃ俺を睨んでくる。そりゃそうだよね。だって今の俺は完全に邪魔者だもんな。

てか俺だって尾上さんがいなけりゃ声なんて掛けなかったよ。俺はため息を我慢して姫川に提案する。


「さっさとプレゼント決めよぜ。多分それが1番早くに俺がここから離れられる」

「今すぐ離れて欲しいんだけど」

「ほんとごめんって!」

「まぁでも黒澤くんの言う通りかもね。サクッと決めちゃおうか」


こうして俺と姫川の意見は一致したのだった。そこからは本当にあっと言う間だった。姫川は悩む事なく中城先輩が選んだネクタイに決めたのだった。それを見ながら俺は心の底から姫川に謝罪した。ほんとに邪魔してごめんよ!



「いやぁプレゼント決まってよかったな」


無事にプレゼントが決まった中城先輩はご機嫌で姫川に話しかけている。それを見ながら俺は安堵した。ようやく俺もここを離れる事ができるからだ。


「じゃあ俺はそろそろ行きますね」

「無理に引き留めちゃったみたいでごめんね。あと一緒に選んでくれてありがとう」


俺の言葉を聞いた姫川は目が笑っていない笑顔で俺にお礼を言ってきた。ほんとごめんよ!俺は心の中で何度目になるか分からない謝罪する。


「何だよ?もうちょい一緒にいても良いだろ?」

「智くん!無理に引き留めるのは良くないよ」

「そ、そうか?じゃあまたバイトでな」


姫川の圧に負けたのか中城先輩はあっさり引き下がってくれた。ほんと俺のことを空気読めないとか言うけどあんたの方が読めてないじゃないか!まぁ何にせよようやく解放されたのだ。

俺はポケットからスマホを取り出してメッセージを確認する。実はプレゼント選びに付き合っている間、何度もスマホが震えていたのだ。贈り主はもちろん杏奈である。俺は取り敢えず色々送られてきたメッセージには返事をせずに


『今終わったよ』


とだけメッセージを送った。するとすぐに返事が返ってきた。


『お疲れ様。とりあえずここに集合ね』


メッセージとともにショッピングモールの近くにあるファミレスの場所と何かのキャラクターが走っているスタンプが送られてきた。どうやら急いで来いという事みたいだ。ようやく解放されたと思ったのだが俺はまだ本当の意味で解放されていなかったのだった。

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