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第22話 ギャルと選ぶご褒美

「あんたどうせ暇でしょ!今からちょっと来なさい!」


今日はバイトも無いのでゆっくり過ごそうかと思っていたのだが突如、尾上さんから呼び出しをくらったので俺は近くのショッピングモールに足を運んでいた。暑い中を外になど出たくなかったので俺は渋ったのだが


「私に貸しがあるの忘れてない?」


という尾上さんの言葉に素直に従うしか選択が許されなかったのである。これは完全に中城先輩のせいなのだ。昨日は頼りになったのにたった1日でその評価が下がってしまうとか本当に残念な人である。そうやって心の中で中城先輩へ文句を言っていると目的のショッピングモールに到着したので俺は辺りを見回して尾上さんを探していると後ろから声をかけられた。


「何キョロキョロしてんのよ」

「いや尾上さんを探してたんですけど」

「そう?ならもっと早く見つけなさいよ」


理不尽過ぎない?わざわざ呼び出しておいてこの仕打ちである。文句の1つくらい言っても許されると思うんだよな。しかし言えるはずもないので俺は飲み込んで別の話題を切り出した。


「それで突然呼び出してどうしたんです?」

「荷物持ちでもしてもらおうかと思ったのよ」

「荷物持ちですか?」

「そっ!家でダラダラしてるよりよっぽど有意義でしょ?」


呼び出した目的がまさかの荷物持ちだったとは思いもしなかった。わざわざ暑い中ここまで来たのにさらに肉体労働を強いられるとかどんな拷問だよ。


「なに?文句あんの?」

「いや文句はないですけど」

「だったら黙って言うこと聞いてなさい!それにちゃんとご褒美も用意してあるから」


そう言って尾上さんはニヤニヤしている。正直に言って尾上さんのご褒美とか怖くて仕方がないんだが?「私の荷物を持てるのがご褒美」とか言いかねない人なんだもの。というか昔の事を思い出してもご褒美なんて言い出す時は大抵ろくな事がなかったんだよなぁ。


「そんな警戒しなくても大丈夫よ。ちゃんとあんたが喜ぶご褒美だから」


尾上さんはそう言って楽しそうに俺の肩に腕を回してくる。夏で薄着だからかいつもより柔らかさをダイレクトに感じてしまい俺は不覚にもドギマギしてしまう。なんかいい匂いもするんですけど!


「ちょっと!近いんでやめてください!」

「なに照れてんの?ほんとこういうのに弱いわよねぇ」


こんなの誰だって照れるに決まってるだろ!

ほんとそうやって俺を弄ぶのをやめてくれませんかね!俺は何とか尾上さんから離れようとするが逆に腕に力を込められてしまいより密着するという結果になってしまった。こんなところ誰かに見られたらどうするんだよ!


「ちょっと!何してんの?」


そう思った瞬間、聞き覚えのある声がしたのである。声のした方を見るとそこには杏奈が腕を組んで凄い形相でこちらを睨んでいたのだ。

まじかよ!よりにもよって今一番見られたくない人物に見られてしまった。


「ほらご褒美の到着だ」


尾上さんはニヤニヤしながら俺の耳元でそんなことを囁く。どうやら杏奈も呼んでいたらしい。いやこの場合、杏奈と尾上さんがいる所に俺を呼んだんだろうな。


「いつまでくっついてんの!早く離れてよ」

「分かったから、そんな引っ張るなって」


杏奈により尾上さんが引き剥がされた事でようやく俺も一息つけた。


「それで!何で大輝がいるの?」

「私が呼んだのよ。荷物持ちにちょうどいいでしょ?」

「わたし聞いてないんだけど?」

「言ってないもの。サプライズってやつよ」


杏奈にも言ってなかったのかよ!尾上さんはイタズラが成功した子供みたいに楽しそうに笑っている。本当この人はこういう事を平気でする人なのだ。


「何?大輝がいるのは嫌なの?」

「別に嫌とは言ってないじゃん!」

「なら問題ないでしょ!せっかく何だし一緒に選んで貰いなよ」


尾上さんはそれはそれは嬉しそうにニヤニヤしながら杏奈をからかっている。杏奈は尾上さんに何かを言おうとしてやめてしまい、俺の方をチラッと見てくる。なんだろう?俺がいると都合でも悪いのだろうか?


「もし杏奈が嫌なら帰るけど?」

「ほら!杏奈が嫌がるからこんな空気の読めない事を言い出だしたじゃない!素直になりなさいよ!」


杏奈は俺の発言に乗っかった尾上さんを見て大きなため息をついてから


「ほんとに嫌じゃないから。大輝が良いなら買い物に付き合ってもらってもいい?」


そう言って一緒に買い物をする事了承してくれたのだ。本当に良かったよ!これで拒否されていたら立ち直れる自信がなかった。でもちょっと恥ずかしそうにしているのは何でなんだろうか?尾上さんはさっきより楽しそうだし。

気になった俺は素直に聞いて見る事にした。


「それで何を買いに来たんです?」


服でも買いに来たのかな?それとも荷物持ち何ていうくらいだからもっと大きな物とか重たい物なんだろうか?恥ずかしくて大きな物って事はデカい食材とかか?


「水着に決まってんでしょ!」


尾上さんの言葉に俺は固まってしまった。今この人は何て言った?


「なんか水着って聞こえた気がするんですが、気の所為ですよね?」

「だから水着を買いに来たんだって」


やっぱり気の所為では無かった。水着って言ったぞこの人!俺は思わず杏奈の方を見たのだが彼女はちょっと恥ずかしそうにしながらも頷いたのだ。


「皆で海かプールに行こうって話したでしょ?それで今日は千代姉と水着を見に来たの」


杏奈の言葉を聞いて確かに終業式の日にそんな事を話していたのを思い出した。


「せっかくなんだし大輝に選んで貰えば良いというお姉さんなりの気遣いなのよ」

「だったら私にも相談してよね!」

「だからサプライズって言ったでしょ」


そんなサプライズ要らないんだが?ていうか俺は今から女子の水着を買うのに付き合うということなのか?軽くパニックな俺に杏奈は


「ちょっと恥ずかしいけど、大輝に選んで貰えたら嬉しいかな」


そう言って上目遣いで聞いてくるのだ。それに対して無言で頷いた俺を見た杏奈は嬉しそうにしながら


「じゃあさっそく行こうか!」


何て言いながらショッピングモールの奥に進んで行く。尾上さんはその後を追いかけながら俺とすれ違いざまに


「だからご褒美って言ったでしょ」


悪い顔をしながら俺にそんな事を言ってくる。確かにある意味ご褒美かもしれないが、今の俺ははそれどころじゃないんだが?

やっぱりこの人のご褒美を言葉通りに受け取るんじゃなかった。こうして俺は2人の水着選びに付き合う事になったのである。

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