表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/104

第19話 ギャルとデートの定番を

「あっついなぁ」


思わず独り言が漏れてしまう位の快晴で、容赦なく夏の日差しが降り注いでくる。まだ朝の8時台だというのに、この暑さとかほんと参ってしまう。すでに背中はジンワリと汗ばんでいるし額にも汗が滲んでいる。なぜそんな暑い中、朝から外出しているのかというと今日が杏奈と約束していたデートの日だからである。俺は杏奈から指定された駅に向かっているのだが、今日は水族館がんだから涼しいだろうからとタオルを持って来なかったのは失敗だった。


暑さに耐えながら何とか駅に辿り着いた俺は、取り敢えず約束の時間には少し早いので何処か日陰になっている場所で待とうと思い辺りを見回したのだが、既に杏奈が来ているのが目に入った。いつもの様なラフな格好では無くバッチリとオシャレをしているのが遠目にもよく分かるし、めっちゃ目立っていた。だってなんかモデルみたいなんだもん。駅前を行き交う人がチラチラ杏奈の事を見るのだがそうなるのも分からんでもない。いつまでもここに突っ立っている訳にもいかないので取り敢えず近づいて声をかける。


「すまん。待たせてたみたいだな」

「ううん!待ってないよ。私もさっき来たトコだしね!」


俺が声をかけると俯いてスマホをイジっていた杏奈は顔を上げると嬉しそうに笑っている。今日は杏奈へのお礼も兼ねているのでずっとこの笑顔でいてもらえるようにしないとな。


「ちょっと早いけど行こうか」

「だね!でもその前に何か言うことない?」

「言うこと?」


何だ?確かに少し待たせたかもしれないが約束の時間よりは早く来ているし何を言えばいいんだろうか?俺が首をひねっていると杏奈はちょっとため息をついたあとにその場でくるっと回って


「どう?似合ってる?」


何て言いながら首を傾げて上目遣いでこっちを見てくるのだ。俺は思わずその仕草に見惚れてしまったのだが、すぐにそれを誤魔化すために叫んでしまう。


「あざといと!」

「誤魔化した!ちゃんと質問に答えてよ!」


どうやら誤魔化せなかったようだ。杏奈は俺がちゃんと答えなかった事に頬を膨らませて抗議してくるのだが、目をじっと見つめられるとこのまま誤魔化す方が良くない事に思えてくるので俺は正直に答えることにした。


「似合ってるよ」

「可愛い?」

「可愛いいので勘弁してもらえませんかね?」


俺は恥ずかしさを押し殺しながら杏奈の質問に答えたのだがまさかの追撃にあってしまった。耐えられなくなった俺がちょっと視線を外して敬語になったのは許して貰いたい。


「まぁ今はこんなもんで許してあげよう!ということでデートで定番のやつも終わった事だし電車乗ろっか!」

「定番って、それがやりたかったのかよ」

「だって、そういうの憧れない?めっちゃデートって感じがするしさ」

「まぁ確かにデートっぽいけど」

「でしょ!やってみると意外と楽しいよね」


杏奈はそう言って満足そうにしているのだが、何だかいつもよりテンション高い気がするのはたぶん気の所為ではないはずだ。まぁそれだけ杏奈も今日を楽しみにしてくれていたのだと前向きに捉えることにした。楽しそうにしながら駅の方に向かっていく杏奈の後をついて行く。こうして俺と杏奈のデートが始まったのだ。



電車に揺られること1時間ほどで目的地の水族館の最寄り駅に到着した。


「なんか話してたらあっという間だったね」

「確かに思ったより早かったよな」

「楽しい時間はあっと言う間に過ぎるっていうしね」

「そう言われたらコインランドリーでもそうだもんな」

「そうそう!そんな感じ」


2人でそんな事を話していると水族館が目の前に現れた。俺は思ってたよりも大きくてビックリしてしまった。そしていかにも水族館といった建物にテンションが上がってしまう。


「大輝はここの水族館来るのは初めて?」

「そうだね。てか水族館自体が初めてかも」

「そうなの?」

「何か行く機会があんま無かったんだよね」

「なら今日はめっちゃ楽しまないとね!」


そう言って杏奈は俺の手を引いて水族館の入り口に向かう。今日は俺が楽しませないといけないのになぁ何て思いながらも、初めての水族館にテンションが思ったよりも上がっていたので一緒に楽しめれば良いかと思うのだった。


入口でチケットを出して中に入ると思っていたよりも少し薄暗くて驚いてしまった。しかもちょっとヒンヤリしていて心地よい。何だか初めてコインランドリーに入った時に感じた非日常に似たものを感じて俺のテンションはより上がってしまう。そんな俺に気づいたのか杏奈が楽しそうに話しかけてくる。


「大輝何か楽しそうだね?」

「なんか思ってたりよ薄暗くてテンション上がったんだよね」

「何それ?でも何か分かるかも。私この感じ好きなんだよね」

「俺も好きになりそうだよ」

「何か嬉しいね、そういうの」


確かに自分の好きな物を一緒に楽しんで貰えると嬉しいものである。俺もコインランドリーを気に入って貰えると嬉しいもんなぁ、何て納得していると、杏奈が俺の横に寄ってきた。どうした?てか何か近くない?なんて思っていると


「暗いからはぐれるといけないし」


何て言いながらそっと俺の手を握ってきた。

そんな暗くはないし、夏休み中とはいえ平日なのでお客さんも少なくいのではぐれる心配などないのだけど、それが杏奈なりの照れ隠しなのだと流石の俺も分かる。


「そうだな。はぐれるといけないからな」

「そうだよ!ちゃんと捕まえててよね」


俺の言葉を聞いた杏奈は握っていた手に力を込めるので俺も握り返してそれに応える。そう今日は杏奈へのお礼のためのデートなのだ。これくらい問題ないじゃないか!俺は心の中でそう

言い訳をしながら手を握ったまま水槽の前に移動するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ