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第11話 ギャルと尾上さんとコインランドリー

「何でここにいるの?」

「いいじゃん!たまには混ぜてよ」

「邪魔しかしないじゃん!」

「邪魔なんてしてないでしょ。てかそんな口きいていいと思ってんのかな?」

「ほら!すぐそんなこと言うし!」


コインランドリーに付くとすでに杏奈が待っていたのだが尾上さんを見つけた途端に2人で言い合いを始めてしまった。あの後、宣言通り尾上さんは俺と一緒にコインランドリーにやって来たのだ。


「杏奈には内緒にしておこう」


ここに来る前に尾上さんにそう言われたので、杏奈に連絡しないまま連れて来た結果、いきなり言い合いが始まったのである。


「なによ!もう早く帰ってよ!」

「そこまで言われたら帰りたくなくなるなぁ」

「もう!なんなのよ!」

「いいのかなぁ?そう言えば、あの時も私に泣きついてきてたなぁ」

「やめて!その話はしないでよ!」


2人のやり取りを見ていると分かる。尾上さんは俺達で憂さ晴らしをしたかっただけなのだ。

分かっていた事なのだが、あれを見たあとでは流石の俺でも断る事は出来なかった。それにしてもまさか姫川の好きな人が中城先輩だなんて思いもしなかったし、その姫川がバイト先にまで来るなんて予想出来るはずがない。

それにしても杏奈にどこまで話そうかな?

放課後の喫茶店でどこまで杏奈達が話しているのか知らない俺は迷っていると


「大輝も何か言ってよ!」


杏奈は尾上さんにイジられ過ぎて俺に助けを求めてきた。


「何?私に何か言いたい事でもあるの?」


杏奈をイジったことでだいぶご機嫌が良くなった尾上さんがニヤニヤしながら聞いてくる。言いたい事は沢山あるが流石に今は気軽にそれを口にするのは躊躇ってしまう。しかしこのまま何も言わないのも何なので俺は口を開いた。


「そろそろ、やめてあげたらどうですか?」


このままでは尾上さんの機嫌が良くなった代わりに杏奈の機嫌が悪くなってしまうので取り敢えず尾上さんを止める事にしたのだ。しかしそんな俺を見て尾上さんはニヤニヤを強めると


「私に文句言うとかエラくなったもんだね」


なんてて言いながら俺の肩に手を回してくる。しまった!ターゲットが俺に変更されてしまったじゃないか!俺は内心焦っていたがそんな俺よりも杏奈の方が慌てており


「ちょっと!近いから!早く離れてよ!」


そう言って尾上さんのの肩を揺するのだ。俺にターゲットを変更したと思いきやまだ杏奈もイジるつもりなのである。やっぱりこの人はスゲェなと俺は揉みくちゃにされながらも思わず感心してしまった。


「それで大輝、あの女は何なの?」


不意に尾上さんが俺の肩に手を回したまま耳元でそんな事を言い出したのだ。いまだに杏奈に何処まで話そうか迷っていた俺は固まってしまった。尾上さんの発言と固まった俺を見て杏奈はスッと目を細める。


「あの女って何なの?」


尾上さんを揺するのをやめた杏奈はいつもよりトーンの低い声で俺に詰め寄ってくる。まじかよ!ここでその話題を出すのかよ!尾上さんは最初から俺も杏奈も巻き込む気だったのだ。ていうか言い方!それだと俺が誤解されてしまうじゃないか!もはやここまで来たら迷ってなどいられない。


「姫川さんの好きな人の名前ってわかるか?」


取り敢えず全てを話す前に俺は最終確認をする事にしたのだ。しかし杏奈からしてみれば急に話題を変えられたように見えたのだろう。


「それは今は関係ないでしょ!何?話をそらすつもり?」


より目を細めながら俺に詰め寄ってくる。しかし俺もここで引くわけには行かない。だって尾上さんからの圧が物凄いんだもの!


「いや関係あるんだよ。分かるなら教えてくれないか」


俺の真剣な表情を見て杏奈は怪訝な顔をしながらも詰め寄って来るのをやめた。そして渋々ながらも俺の質問に答えてくれる。


「分かるけど。確か中城智也なかじょうともやって言ってた。てかそれと何が関係あるの?」


はい!確定である。もう言い逃れできる要素が無くなってしまった俺は、思わず天を仰いでしまう。中城智也とはもちろ中城先輩のフルネームなのだ。というかここまで来て人違いもないだろう。杏奈の口から中城先輩の名前が出てきた事で尾上さんも大きなため息をついて呆れている。


「何?なんなの?」


そんな俺達を見て杏奈は困惑してしいる。完全に置いてけぼりである。正直気は進まないが仕方ないが杏奈をこのままにしておくわけにもいかない。どうせいつかは話さないといけないんだし今がそのタイミングということだと自分を納得させる。


「姫川さんの好きな人だけど、俺のバイト先の先輩だったんだよ」


俺の言葉にさっきまで困惑していた杏奈は目を見開いて固まってしまった。そりゃそうなるよな。まさか杏奈も今日話題に出た人物が俺の知り合いだなんて思わないだろう。固まった杏奈を見て俺は考える時間も必要だろうと思いしばらくそっとしておこうとしたのだが、尾上さんはそれを許さなかった。


「ちなみに今日バイト先に突撃してきたわよ」


尾上さんの言葉に杏奈はより目を見開いてしまったのだ。そんな杏奈を見ても尾上さんは止まらない。


「だから全部話しなさい。あんた達2人が知ってる事を全部ね」


いつの間にか俺の肩から手を離していた尾上さんは俺と杏奈に向けて笑顔でそんな事を言ってくる。どうやら杏奈だけでなく俺も他人ごとでいることは許され無かったようだ。俺と杏奈は顔を見合わせたて頷くと全てを尾上さんに話したのだった。そう全部話したのだ。だって俺達を見ている尾上さん目が笑っておらずめっちゃ怖かったんだもの。

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