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第9話 相談とは時に残酷なものである

「え〜何にしようか迷うんだけど!」

「ケーキセットとかよくない?」

「でもこっちのスフレパンケーキも美味しそうじゃない?」

「私もそれ気になっていました」


メニューを見ながら何を頼むかを楽しそうに女子3人できゃいきゃい言っている。姫川麻由子に話したい事があると言われた俺達は喫茶店に行く事を決めたのだが、店内に入ってから俺は居心地が悪くソワソワしている。だって店内は内装もメニューも明らかに女性向けで、圧倒的に女性客が多いからだ。というか男性客は俺くらいなのである。女子だらけの空間に男子が1人で放り込まれればこうなっても仕方ない。

因みにこの店を選んだのは久慈川だ。まじで何で今日に限ってここを選んだんだこいつは!


「大輝くんは何にしますか?」


俺が心の中で久慈川に悪態をついていると隣に座っている杏奈が声をかけてきた。


「俺はコーヒーだけでいいかな」


メニューを見てもオシャレ過ぎてよく分からない俺は無難にコーヒーを頼む事にした。


「じゃあ私のスフレパンケーキを半分こしませんか?1個は多いなと思っていたので」


コーヒーだけを頼むと言った俺に杏奈はそんな提案をして来た。袖口を引っ張られなが可愛らしくお願いされてしまっては俺も断ることなど出来ない。


「じゃあ、お言葉に甘えようかな」

「ふふっ、決まりですね」


そんな俺達のやり取りを見ていた姫川さんが感心するように呟いた。


「2人はほんとに仲いいんだね」


ほとんど話した事のない女子にそんな事を言われた俺と杏奈は、急に恥ずかしくなってしまい2人して思わず照れてしまった。


「今さら照れなくてもいいのに」


珍しく久慈川が呆れた目で俺達を見てくる。

久慈川にそんな目で見られるとか一生の不覚なんだが!そんな俺達の事など気にせずに久慈川は注文をするために店内を呼ぶのだった。


無事に注文した品が運ばれてからは女子3人のテンションは上がりはしゃいでいた。ケーキはどれも美味しそうだし見た目も可愛らしく、女子のテンションがあがるのも頷ける。俺は直ぐにでもコーヒーを飲みたかったが彼女達が落ち着くまで待つことにした。それくらいは空気が読めるようになったのだ。


「それで麻由子の相談って何なの?」


ひとしきり盛り上がってたあとにカフェオレを飲みながら久慈川が切り出した。俺はすっかり忘れていたので危うく普通にお茶して帰るところであった。やるじゃん久慈川!

姫川さんはケーキを食べていた手を止めると

少し真剣な顔をして話し出す。


「好きな人がいるんだけどね。どうやったらその人ともっと仲良くなれるのか教えてもらいたいの」


まさかの恋愛相談だった。正直全く予想していなかった。杏奈や久慈川に相談するのは分かるが俺まで一緒になので、まさかそんな事を相談されるとは思っていなかったのだ。久慈川も同じ事を考えたようで姫川さんに問いかける。


「恋愛相談とか大輝いる?」


もうちょい言い方とかあるだろうが!間違っていないがもう少しオブラートに包んで欲しい!


「必要だよ!黒澤くんにも聞いて欲しかったんだから」


どうやら姫川さん的には俺が必要らしい。だから久慈川よ本当に必要か?みたいな顔をするんじゃない!俺が必要と言った姫川さんはチラッと杏奈の方を見る。すると杏奈が口を開いた。


「それは私と大輝くんが仲良くしている事と関係があるのですか?」


確かに前に杏奈と仲が良いのかと聞かれた事があるのでその疑問も分かる。だからってちょっと圧が強めの様な気もするんだが。姫川さんはそんな圧を気にする事なく話を続ける。


「そう!2人って仲いいでしょ?私の好きな人が黒澤くんにちょっと似てるからどうやって仲良くなったのか話を聞きたかったの!」

「大輝くんに似ているのですか?」

「うん!何かね友達が少ないところとか、鈍そうなところとか何か似てるなって思って」


こいつ何言い出してんの?本人を前にして良くそんな事をよく言えるな。しかも悪意が無さそうなのが余計にたちが悪い。杏奈と久慈川に至ってはめっちゃ笑いを堪えてやがる。こいつら3人共そろって失礼じゃないか!


「それで友達少なくないうえに鈍い大輝に何が聞きたいの?」


久慈川は笑いを堪えながら姫川に質問している。てかお前堪えられてないからな!そこまでいくならもう笑ってくれよ!


「私の好きな人は幼馴染で年上なんだけど、友達いないし鈍いから私の気持ちに中々気付いてくれないんだよね」


お前はその人の事を本当に好きなのか?てか友達少ないのは全然関係ないだろ!なんか俺よりもその幼馴染が可哀想になってきた。


「大輝くんは本当に鈍いので今でも色んな事に気付いていませんよ」


杏奈が俺の事をジト目で見ながら姫川さんに答えている。幼馴染だけでなく俺まで可哀想になってにきた。久慈川は耐えられなくなったのかついに笑いだした。


「それなのにそんなに仲良くなったの!すごくない?私なんて年が離れてるせいで妹くらいにしか思われてないし」

「それは大変そうですね。鈍いのは本当に困りますからね」


何か知らんが2人で盛り上がっている。俺は直ぐにでもここから立ち去りたかった。しかし隣に杏奈がいるので立ち去る事も出来ない俺はなるべく話が聞こえて来ないように心を無にしようと試みる。久慈川は隠すこともせずに爆笑している。


姫川麻由子の相談に関しては俺など全く必要なかった。俺がただただ悲しくなっただけじゃないか!次からは俺抜きで話をして欲しい。いや今からでも俺抜きにしてくれ!


盛り上がる3人を見ながら俺は遠い目をするのだった。

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