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第3話 清楚美人と喫茶店

「それで何を聞きたいんでしょうか?」


放課後の喫茶店で俺の前に座っている杏奈に対して俺は思わず敬語で話しかけてしまった。

何故なら微笑みながらもその目は笑っておらず

めっちゃ怖いのだ。それは教室での激怒事件の時とはまた違った怖さで思わず敬語になってしまったというわけだ。


「そうですね」


杏奈は顎に手をあてて考えている。ギャルの時にもたまにやる仕草だが清楚スタイルの時にやるとまた違って見える。なんと言うかちょっと知的な感じがするのだ。別にギャルの時がバカっぽいと言っている訳ではないんだけどな。


「何か失礼な事を考えていませんか?」

「そんな事考えるわけないだろ!」

「本当ですか?まぁいいですけど」


突然、杏奈にジト目で見られてしまった。何か考えていることを直ぐに見透かされてしまうので気を付けねば!俺はより気を引き締めるのだった。俺が決意を固めているとどうやら何を聞くのか決まった様で杏奈が話しかけてくる。


「それでは千代さんとどのようにして知り合ったのか教えて下さい」


あれ?思ったよりも普通な質問だな。ということは尾上さんからは聞いていないのかもな。


「1年の時に初めてバイトに行ったらいたんだよ。それが出会いかな。それからシフトがかぶる事も多くてもう1人の男の先輩も含めて仲良くなった感じだな」

「なるほど。普段は何とお呼びしているのですか?」

「普通に尾上さんだけど」


何か当たり障りない質問ばっかりだな。入店した時の圧もまったく感じなくなったし。

俺が不思議に思っている間も杏奈からの質問は続いていったのだ。


「千代さんとは仲が良いのですか?」

「仲が良いというか、一方的にイジられてるというか。まぁ良くはしてもらってるよ」


たまにビックリするほどドン引きさせられる事もあるが概ね関係は良好な気はす。あれ良好だよな?


「大輝くんが何を言いたいか分かります」


若干の疑問を抱いた俺を見て杏奈はクスクス笑っていた。確かに従姉妹だし昨日のあの感じを見れば杏奈にも心当たりはあるのか。


「千代さんは大輝くんのこと気に入っていると思いますよ」

「なら良いんだけどな」


第三者にそれも尾上さんをよく知っているであろう杏奈に言われてなんだか照れくさくなってしまったが悪い気分では無かった。だから俺は油断していたのだろう。何気なく言った事が俺の首を絞める事になるとは思わなかった。


「そういや今日は千代姉って呼ばないんだな」


昨日はあれだけ千代姉って言ってたのに、やっぱりその辺は使い分けててんのかな?何て呑気に考えていると


「大樹くんも千代姉って今は呼んでないでしょう?」


突然喉元に刃物を突きつけられてしまった。

俺は恐る恐る杏奈の方を見るとそれはそれは良い笑顔で俺を見ているのだ。やられた!

杏奈と尾上さんは従姉妹なのである!しかも昨晩は杏奈の家に泊まっているじゃないか!あの尾上さんが何も言わない訳がないし、杏奈が聞かない訳がない。いやもしかしたら詳細まで聞いていないのではないか?


「な、何のことを言っているんだ?」

「昔は千代姉、千代姉って後をついて回っていたそうじゃないですか」


終わった。俺は賭けに負けてしまったようだ。というか最初から始まってすらいなかった。

杏奈は全て聞き終えたあとなのだ。そして恐らく尾上さんは全てを話している。そんな絶望する俺を見て杏奈は


「ごめんなさい。少し意地悪し過ぎましたね」


そう言って申し訳なさそうに謝ってきた。どうやら最初から全て知っていて俺をからかったみたいだ。それにしては圧が強すぎるきもしないのだが。そんな事を考えていると杏奈は


「そんなに落ち込まなくても、いいじゃないですか。別に隠さなくても良かったのに」


そう言って少し不満顔になっている。やっぱりからかうよりも問い詰める方が強かったんじゃないか!


「何で言ってくれなかったんですか?」


杏奈はなおも不満顔のままで俺に聞いてくる。


「別に隠してた訳じゃないないよ。昨日は直ぐに帰ったし今日も言うタイミングがなかっただけだしな」

「でも私ぎ聞いても誤魔化したじゃないですか?」


痛いところを突かれてしまった。杏奈は俺をジト目で見てくる。俺は思わず目を逸らしてしまった。それでも俺をジト目で見続ける杏奈に耐えきれずに俺は口を開いた。


「恥ずかしかったんだよ。ほんと小学1年生とかの頃の話だし。しかも尾上さんと杏奈が従姉妹って分かったから余計に言い出しづらくなったというか」


そんな俺の言い訳を聞いた杏奈はため息をつきながら


「とれだけ恥ずかしところを私に見せていると思っているんですか。今さらですよ」


そんな事を言ってくる。そうかも知れないが、恥ずかしものは恥ずかしいのだ。今度は俺が不貞腐れてしまいそうになる。そこで俺は重大な事に気付いたのだ!これヤバいのでは?


「なぁ、どこまで尾上さんから聞いているんだ?」


俺は恐る恐る聞いてみた。杏奈は少し考える仕草をした後にあっさりと答えを教えてくれた。


「一緒にお風呂に入った話は聞いていますよ」


俺は頭を抱えてその場に突っ伏してしまった。

なんてこったい!そんなことまで話てるのかよ!まじで勘弁して下さい!!

杏奈はクスクス笑いながら机に突っ伏している俺の頭を撫でながら


「確かに千代さんから色々と聞いていますが、私は大樹くんの口からきちんと聞きたいです」


なんてその優しい手つきとは真逆の俺を辱めるような言葉を投げかけてきた。恐らくこれは誤魔化した事への罰なのだろう。

やっぱり杏奈と尾上さんは血族なんだと改めて思い知らされた。


「さぁ出会いからちゃんとお話して下さい。

時間はたっぷりとありますから」


杏奈の優しい声色に俺は顔をあげて尾上さんとの出会いを話し始めたのである。

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