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第15話 やっぱり休み明けは波乱がつきものだ

連休明けの登校はどうしてこんなにも憂鬱なのだろうか。つい1ヶ月前の春休み明けにも同じ事を感じたところなのに。次にこの憂鬱を感じるのは4カ月後なんだろうな。何となくそんな事を感じながら歩いてると思いのほか早く学校に着いてしまった。行きたくないと思っている時ほど早く着いてしまうのはなんでなんだろうな?不思議である。


いつも通り人の少ない教室で本を読んでいると

周りがザワザワしてきたのでどうやらクラスメイトが登校してきたようだ。残念ながら俺にはいまだに挨拶する様な知り合いもいないので本を読み続けていた。しかし何だかいつもよりザワついている気がする。たぶん連休明けだからどこに行ったとかの話で盛り上がっているのだろうな。そんな事を考えていると


「大輝くんおはようございます」


いつの間にか杏奈が登校していた。ザワつきで杏奈が登校した事に気づかなかったようだ。


「おはよう、杏奈」


いつも通り挨拶をする。杏奈は席に着くと少し周りを気にしているようだった。


「どうした?」

「いえ、何だかいつもとクラスの雰囲気が違う気がして」

「それは俺も思った。まぁ連休明けだからじゃないか?」

「そうなんですかね?」


杏奈は気になるようだったが、しばらくするとザワつきも収まってきたようで俺は全く気にしなくなっていた。そんな時ひときわ大きな声が聞こえてきた。


「杏奈!おっはよ〜」


久慈川が登校きてきたのだ。やつは教室に入るなり杏奈の方に駆け寄っていた。遊園地に行ってから会っていなかったが、どうやら連休明けでも元気いっぱいのようだ。


「絵里、おはようございます」


杏奈が挨拶すると同時くらいに久慈川は抱きついていた。ほんとこいつ抱きつくの好きだな。

朝から2人でキャイキャイしているのを俺は他人ごとで見ていた。しかしすぐに他人ごとではいられなくなったのだ。

久慈川は俺の方を見ると近づいてきて


「大輝もおはよー!」


クソデカボイスで挨拶してきたのだ。それはもう耳が痛くなるかと思うくらいで、俺も杏奈もビックリして固まってしまった。近くにいたクラスメイト達も同様に固まっていたがすぐにザワつき出して


「えっ?大輝って?」

「ほら黒澤くんの名前」


そんな事をヒソヒソ話している。

より近くの席にいる生徒は俺の名前を把握しているようでじっとこちらを見てくるのだ。

朝からなんなんだよ!だから俺は久慈川に言ってやった


「久慈川!朝っぱらからでかい声を出すんじゃない!耳が痛いだろうが!」


だってめっちゃでかい声だったからだ。

しかし俺の注意など全く気にしてないようで、ニコニコしながら久慈川は


「え〜っ!元気な方がいいじゃん!てか大輝は元気なさすぎ」


なんて言ってくるのだ。俺は思わずため息をついてしまった。すると杏奈が会話に入ってきた。


「大輝くん朝からため息なんてつくものではありませんよ。幸せが逃げてしまいますから。

絵里も元気なのは良いですがあまり大きな声を出してはいけません。驚いてしまいますから」

「は〜い!じゃあまた後でね〜!」


杏奈に注意された久慈川は手を振りながら自分の席に戻って行った。それを見て俺たちも席につく。そんな俺達のやり取りを見てクラスメイトたちは余計にザワつき出したのだ。たぶんクラスの奴らは連休明け、急に久慈川が俺の事を下の名前で呼び出した事に驚いているのだろう。しかし俺も杏奈も驚いていない。何故なら知っていたからだ。久慈川が俺の事を名前呼びする事を。それは連休中まで遡る。遊園地からの帰り道に久慈川が


「一緒に遊んだし私たち仲良くなったよね?

だから名前で呼んでよ!」


そんな事を言い出したのだ。そんな事を俺が了承するはずもなく嫌だと突っぱねた。もちろん久慈川も食い下がってきた。「いいじゃん」なんて言ってくるが良いのはお前だけだ!だって久慈川が名前呼びを強要してきてから杏奈がジト目で俺を見てくるのだ。横からの圧がものすごいのだ。そんな中で名前呼びを了承など出来るはずがない。しばらく押し問答を続けていたが久慈川が新たな要求をしてきたのだ。


「じゃあ私が大輝って呼ぶね!それなら良いでしょ?」


じゃあってなんだよ!よくねぇよ!ますます杏奈からの圧が強くなる。俺の名前呼びも拒否すると久慈川は文句を言っていたが、思いついた!みたいな顔をしたかと思うと杏奈に耳打ちしだした。でたよ密談!もうこのあとの流れは予想通りだった。こうして久慈川が俺の事を名前で呼ぶ事が決定したのである。そこに俺の意思などまったくなかった。

余談だが密談によって杏奈は了承したものの不満はあったようで、2人になったとたんにその不満をぶつけられた。じゃあ何故認めたんだよと言いたかったが言えるはずもなく、家まで送り届ける間も俺は不満を受け止める羽目になったのだ。


だから久慈川が名前呼びしても俺も杏奈も周りを気にせずにいたというわけだ。驚いたのは単純に久慈川の声がデカかっただけである。

そんな事を知らないクラスメイトは何があったのか気になるだろうがそんな事は俺の知ったことではない。てか杏奈も俺の名前を呼んでいるのに今更じゃないか?


しかし知らなかったのは俺の方だったのだ。

何故クラスメイトが久慈川の名前呼びにあんなに反応していたのかを。それは杏奈も久慈川でさえも同様であった。俺達は後にそれを知る事になる。


昼休みが始まるとクラスメイトの女子が数名、俺に話かけてきた。


「ねぇねぇ!黒澤くんちょっといい?」


珍しい事もあるもんだと思いながら俺はそれに応じる。


「いいけど。どうした?」


俺の了承を得ると代表者の様に1人が前にでて

意を決した様に口を開いた。


「黒澤くんて絵里と付き合ってるの?」

「はい?」


いま彼女は何といった?俺は彼女の言っている意味が分からなくて聞き直した。


「今何て言った?」


すると彼女は目を輝かせながら少し興奮したように再度口を開いた。


「黒澤くんと絵里って付き合ってるの?」

「誰と誰が何だって?」

「だから!黒澤くんと絵里だよ!2人は付き合ってるんでしょ?」

「はぁっ?」


俺は素頓狂な声をあげてしまった。

俺と久慈川が付き合っているだと?何でそんな事になってんの?俺はまじで分からなかった。

そしてこれこそが朝から教室がザワついていた本当の理由なのである。


チラッと杏奈を見ると彼女も目を見開いて固まっていた。杏奈も知らなかったようだ。


どうしてこうなった?突然の出来事に俺はただ呆然とする事しか出来なかったのである。

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