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第14話 ギャルと久しぶりのコインランドリー

「これお土産?誰か遊園地に行ったのか?」


バイト終わりに中城先輩が休憩室にあったお菓子の箱を見ながら俺に聞いてくる。


「それ俺からです。一昨日行ったんですよ」

「はい?」


お菓子を取り出して食べようとした手をとめて

中城先輩は間抜け面で固まった。何をそんなに驚く事があるんだろうか。それにしても間抜け面過ぎるだろ。


「何驚いてるんですか?俺だってお土産くらい買ってきますよ」

「いやそうじゃなくて、お前が遊園地に行ったのか?」

「はい行きましたよ」


失礼な人だな。俺だって遊園地くらい行く。

まぁ幼稚園以来だし半ば強制的だったけど。


「誰と行ったんだ?」

「クラスメイト2人と一緒に行きました」

「クラスメイトと?」

「はいそうです。それ美味しいですよ」


色々と迷ったが杏奈と久慈川がオススメしてくれた物を買ったのだ。俺も昨日食べたが、なかなか良いお味でした。それにしてもバイト先にお土産を買ってくるとか俺もなかなか気遣いが出来るようになったんじゃないかな?なんて自分を褒めていると中城先輩がいきなり肩を掴んできた。


「お前クラスメイトと出掛けたのか?しかも3人でだと!」

「さっきからそう言ってるじゃないですか!」


なんでこの人おんなじ事を聞いてくるんだ。

ついにボケたか?


「オガ!お前知ってたのか?」


中城先輩は俺の肩を掴んだまま尾上さんの方を見る。てか掴むのやめて欲しいんだが。


「昨日聞いた。お土産も食べたし」

「俺は聞いてないんだけど!」

「あんた昨日休みだったじゃない!」


この人はほんと残念だな。休みの人に話せるわけないじゃないか。


「ちなみに例のギャルともう1人はその友達のギャルらしいわよ」

「は?ギャル2人と行ったのかお前?」


すごい勢いで俺の方を見てきた。あまりの勢いにちょっとビビってしまったほどだ。

俺がビックリして黙っていると肩を掴んだまま俺を揺すりはじめた。


「ギャル2人と行ったのかって聞いてんだ!」

「そうです!ギャル2人と行きましたよ」


正確には清楚美人とギャルの2人であるがそんな事言い出せる雰囲気ではなかった。俺の返事を聞いた中城先輩は掴んでいた手に力を入れて俺の肩を握り潰してきた。


「痛い!痛いですって!」

「お前なにそんなラブコメみたいなことやってんだよ!」

「何言ってるんですか!ラブコメみたいなことなんてやってませんよ!」


まじで何言ってんだこの人は!今までで1番この人の事を残念だと思ってしまった。これ以上幻滅させないで欲しい。あと肩痛いから!


「そいつラブコメみたいな事してるわよ。

ナンパから助けたり、お化け屋敷入ったり」


尾上さんの言葉を聞いた中城先輩の動きがピタリと止まった。ピクリとも動かなくなった。

それを見た尾上さんは悪魔みたいな笑みを浮かべていた。うわぁ。俺はドン引きした。

因みに昨日のバイト終わりに、尾上さんには遊園地での出来事を全て吐かされている。

その時もこの人はずっとニヤニヤしていた。


「あと最後に3人で観覧車乗ったらいしわよ」


中城先輩はその場に膝から崩れ落ちた。

それを見た尾上さんは爆笑していた。


「先こされた。俺もまだそんなこと出来てないのに。先こされた」


何かブツブツ言い出したのを見てもう俺はどうして良いか分からなくなってしまった。憩いの場である休憩室が地獄と化していたのだ。

一刻も早くこの場から立ち去りたくて


「じゃあ俺は用事あるんで帰ります」


そう言って休憩室を後にした。

尾上さんが「あとは任せといて」何て言っていたが本当に任せて大丈夫だったのだろうか。

俺は考えてはいけないと自分に必死に言い聞かせるのだった。


地獄の休憩室から脱出した俺はコインランドリーに足早で向かっている。中城先輩のせいで少し遅くなってしまったからだ。早くいかねば!

こうしてコインランドリーに到着した俺は早速店内に入るのだった。


「おっ!やっと来た!今日は遅かったね?」


店内のベンチに座っていた杏奈が嬉しそうに手を振りながら俺を迎えてくれる。それを見て俺も手を上げて応える。店内に入り洗濯・乾燥機の方に歩きながら話しかけた。


「すまんね。バイトが少し長引いたんだよ。

これでも急いで来た」

「ふーん、そんなに私に会いたかったんだ」


杏奈はニヤニヤしながら俺の後を付いてくる。

急いで来たのは確かに杏奈が待っているからだがそういう言い方をされると恥ずかしい。

俺は洗濯・乾燥機のドアを開けて洗濯物の入れながら杏奈に答える。


「待たせるのは悪いからな」

「素直じゃないなぁ」


杏奈はからかうように言いながら自分の洗濯物を俺と同じところに入れてくる。2人で一緒に洗濯をすることも今では当たり前になった。

春休み前からは考えられない光景である。

てか今でも納得はしてないけどね。

洗濯・乾燥機が動き出したのを確認してから、2人でベンチに座る。杏奈が隣に座る事も当たり前になってきた。観覧車の時はあんなに緊張したのに、ここだと落ち着く方が大きい。何だか不思議な気分だ、なんて考えていると杏奈が話しかけてきた。


「うーん!やっぱりここは落ち着くね」


両腕を上にあげて体を伸ばしながらそんな事を言うのだ。俺は思わず笑ってしまった。


「何よ?」

「俺も似たような事を考えてたからさ」

「私ら気が合うよね」


そう言って杏奈は嬉しそうに笑う。それを見て俺も自然と笑顔になる。


「最近あんまり2人になれなかったからなぁ」

「騒がしいのがいたからな」


あれから久慈川は俺達と昼休みを過ごすようになったのだ。何度か杏奈と2人で昼ご飯を食べれば?と提案したが受け入れてもらえない。

結果いつの間にか昼休みは3人で過ごすのが当たり前になってしまった。それに加えて連休に入ってからは杏奈が忙しかったので、今日まで一緒にコインランドリーに来れていないのだ。今日は久しぶりに杏奈とコインランドリーにいるというわけだ。


「あれはあれで楽しいんだけどね」

「俺は疲れる方が大きいけどな」

「あんまり言うとまた絵里が怒るよ」


杏奈は笑っている。俺は何度か久慈川を怒らせているのだ。原因は俺がうるさいやら疲れるやら文句を言っているからだ。その度に久慈川はプリプリ怒るのだが、すぐに機嫌を直してまた騒ぎ出すのだ。俺が久慈川が怒ったところを思い出していると、杏奈はグイッと体を寄せて


「私といるのに他の女のこと考えないでよ」


そう言って頬を膨らませている。なんでわかるんだよ!やっぱりセンサー付いてるだろ!

てか話振ってきたのそっちじゃん!

しかし疑いの目に耐えられないなくなった俺は素直に謝ってしまう。


「ごめんよ。もうしませんので勘弁を」

「ほんとかなぁ?」

「ほんとです!」

「よし!信じよう!」


そう言ってケラケラ笑いながら俺から離れた。どうやらそこまで本気ではなかったようだ。

それでも目が少し怖かったのは内緒である。


「まぁでも他の女の事を考えて欲しくないのはほんとかな」


杏奈はあっけらかんとした感じで言うが、たぶん本音なんだろうなと思う。これまで何度か見てきたからな、杏奈のスイッチが入ったところを!俺も少しは女心が分かって来たんじゃないか!そう心で得意になっていると


「なんか分かった風な感じ出してるけど全然だからね!今ので女心が分かったとか思っちゃダメだから!」


杏奈にジト目で睨まれてしまった。なぜ分かった!なぜ考えていることが分かってしまうの?やっぱりエスパーなんじゃないか?


「大輝が分かりやすいだけだから」


ぐぬぬ。俺ってそんなに分かりやすいのかな。

特に杏奈には筒抜けな気がするんだが。

俺が唸っていると杏奈は楽しそうにしている。


「私は大輝の考えてることなんてお見通しなんだよ」


そう言うと杏奈は俺にグイッと体を寄せて


「だから私の事をいっぱい考えて、私のことも分かるようになってね」


いつもの様に上目遣いで言うのだ。でもその目の奥では俺に何かをお願いしている様な気がした。俺はそれを誤魔化すようにソッポを向いて


「あざとい!!」


そういつもの様に叫んでいた。

杏奈はそんな俺を見ながら


「また誤魔化した!」


なんて言いながらも、からかっては来ずに、

とても優しい声色で


「ゆっくりでいいからね。私、待つの得意だって言ったでしょ」


そう言って頭を撫でてくるのだ。

何がとは言わないあたりやっぱり見透かされているなぁ何て思いながら、さっきの目の奥に感じたモノが頭から離れず色んな事が浮かんでは消えていきグルグルと考えがまとまらない。

その間も杏奈は俺の頭を撫で続けていた。


こうして連休最後の夜は過ぎて行くのだった。

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