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第3話 コインランドリーの報告と不憫な中城先輩

「どうだった?初めてのコインランドリー?」


次の日、バイトにいくと尾上さんがニヤニヤしながら声をかけてきた。

まじで初めてのおつかいの感じで俺を見ているのがわかる。

何か失敗した事を期待しているのだ。

この人は困っている俺を見るのが本当に好きな人なのだ。


いつもなら俺が反論してそれをニヤニヤしながら尾上さんが受け流す所までが一連の流れで、それを少し羨ましそうに中城先輩が見てくるのだ。

この人は俺を弄りながら、中城先輩の心も弄ぶのだ。清楚美人の皮を被ったとんでもないドSである。

普段はやる気のないくせに、こういう時はやる気をだすのだ。

まじサディスティック!!


しかし、俺はとても気分がよい。

いつもの流れになどならないのである。


「初めてのコインランドリーめっちゃよかったです!」


満面の笑顔でそう答えると、尾上さんは目をパチクリさせ、少し困惑しながら


「めっちゃよかった?コインランドリーが?」


と聞いてきた。


「はい!何か非日常感と言うか、あの空間と言うか。俺、コインランドリーはまりました!」


その無邪気な返答に、尾上さんがより困惑を強めるのがわかった。いつもの流れではない。


「いや、言いたいことは分かるけどさ。

そんなハマるもんでもないでしょ?」


尾上さんは引き攣った笑顔である。

しかし俺は止まらない!


「まじではまりました!尾上さんのおかげで新しい扉を開きました!本当感謝してもしきれません!」


俺の曇りなき眼をみて、清楚美人の皮を被ったサディスティックの尾上さんでもさすがに


「そ、そっか。あんま嬉しくない感謝だけど」


と絞り出すのが精一杯のようだった。

どうやら今日は俺の勝ちのようである。


まぁでもコインランドリーの事は置いといても尾上さんに感謝しているのは本当なのでいつか恩返しができればなと思ったりもするのは内緒である。

中城先輩も同様である。


そんな俺達のやり取りを見ていた中城先輩が

ビックリするぐらい必死な顔で、ビックリするぐらい早歩きで近づいてきて、ビックリするぐらいの力で俺の肩を掴んで、ビックリするぐらい早口でしゃべりだした。


「何?新しい扉って何?初めて?初めてってどういうこと?俺の知らないとこでマジで何があったの?」


顔が近いので、めっちゃ唾がとんでくる。

シンプルに汚い。


まじでビックリするぐらい部分的にしか聞いていなかったようである。

何て残念な先輩なのだろうか。

本当にこういう所が頼りになるのに尊敬は出来ない部分なのである。

肩を掴まれて揺すられる俺は笑顔が消えて真顔になってしまった。


そして逆にビックリするぐらい笑顔になった人がいるのだ。もちろん尾上さんである。

ドン引きするぐらいの笑顔でそれはもう嬉しそうにこう言うのだ


「なに?気になんの?まぁでも私のせいで

新しい扉開いちゃったみたいだしさぁ。

やっぱり初めての責任はとらないとなぁ」


この人は悪魔か何かかと思った。

全て分かっていて、こんな言い方をするのだ。

しかも嘘がないところもたちが悪い。


それを聞いた中城先輩はその場に膝から崩れ落ち、ブツブツと呟きだした。


「初めて?責任?え?初めてで責任?」


それをみて尾上さんは爆笑している。

俺をいじれなかった分が全て中城先輩に向いてしまったのだ。

まじで中城先輩が不憫で仕方ない。


バイトに来たばかりだというのに、俺は一刻も早く帰りたくて仕方なかった。

もはや昨日のご飯に誘った件を聞くことなど不可能であった。

と言うかたぶん断られたんだろうなぁ。

俺は遠い目をしていたと思う。


その後、無事に誤解も解けて持ち直した中城先輩は何とかバイトを続行することが出来た。

まじで廃人になるんじゃないかと思う位の落ち込み具合だったのである。


さすがに申し訳なくなったのか尾上さんが珍しくバイト終わりに晩ごはんに誘っていた。

いつもなら二つ返事来で了承する中城先輩だったが今日ばかりは


「なに?良くない報告?責任の話?」


と最後まで疑心暗鬼になっていてまじで不憫だった。

その際に俺も誘われたが丁重にお断りした。

めんどくさいことこの上ないのと、今日もコインランドリーに行きたかったからだ。


尾上さんも俺が断ることは分かっているのだ。

それでも少しの気遣いと、多くの弄り欲により俺にも声を掛けてくれるのだ。

それをもう少しだけ中城先輩への優しさに変換してあげて欲しいものだ。

でないといつか俺が中城先輩に刺されかねない。

3人の関係が好きだとか言ったが、考え直した方がいい気がしてきた。いや考え直そう。



そうして今日も何とかバイトが終わったので、さっさと帰る準備をして、コインランドリーへ想いを馳せているのだ。

昨日、洗濯したので今日は布団カバーとか枕カバーを洗うつもりだ。

ふかふかの布団カバーを想像するだけでワクワクしてしまう。


「お疲れ様でした!」


元気よく挨拶すると、尾上さんから


「何?今日も行くの?」


と言われたので元気よく返事する。


「はい!尾上さん達も楽しんできてください」


尾上さんは「はい、はい。」と少し気怠げに手を振ってきたが楽しんでくる事を否定しないのはそういう事だろう。

中城先輩は最後まで俺に疑惑の目を向けていた。

まじで、かんべんしてください。

初投稿になります。

完結目指して頑張ります。


ブックマーク、いいね、コメントしてもらえると嬉しいです。


宜しくお願いします!

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