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第9話 ギャルとノリと勢いで

昨日は色々あった。本当に色々あったのだ。

あり過ぎて風呂から出たら俺の意識は無くなっていた。朝起きたらビックリした。俺はリビングの床に転がっていたのだ。それくらい疲れたという事である。主に精神的に。というか精神的に疲れる要素しかなかったわ。

お陰で俺の体はバッキバキである。そりゃ床で寝ればそうなる。それでも遅刻せずに登校する自分を褒めてあげたい。何て下らない事を考えているうちに教室についた。


いつもの人が少ない教室で俺はいつも通り本を読んでいた。朝の騒がしさが気にならなくなったがそれでも習慣には勝てず、これまで通り少し早めに登校しているのである。まぁこれはこれで気に入っているので今のところ変える気はない。そんな風に朝の読書タイムを満喫していると教室がだんだん騒がしくなってきた。

クラスメイトが登校してきたようだ。少しすると隣から椅子を引く音がしたので俺は本を読むのをやめて机の上に置いた。それと同時に声をかけられる。


「おはようございます。大輝くん」

「おはよう。杏奈」


杏奈が登校してきたのだ。昨日の夜の事があるので俺はじっと彼女の事を見る。すると彼女は少し顔を赤らめて


「そんなに見られると恥ずかしいです」


と言って上目遣いで見てきた。

危なかった。ここが教室でなければ確実に俺は叫んでいた。あざとい!と叫んでいたはずだ。

まぁ見た感じ大丈夫そうだ。よかった。

咳払いをした杏奈が改まって話しかけてくる。


「今日のお昼休みなんですが、」

「大丈夫分かってるから」


俺は彼女の言葉を遮りながらも、問題無い事を伝える。別に聞かれたら困る話ではないが、

他のクラスメイトに聞かせる話でもないと思ったのだ。


「ありがとうございます。それではお言葉に甘えますね」


杏奈は微笑みながらお礼を伝えてきた。

別にお礼を言われるほどの事でもないんだが。

まぁ要するに、今日は久慈川とお昼を食べると言う事なのだ。

こんな感じでの言葉を選びながらの会話にも慣れて来た。元々は杏奈の方がこういうのは得意なのだ。さすが頭が良いだけはある!

俺は苦手である。頭も良くないし何より語彙力がないからだ。すると突然そんな会話とは真逆の声が聞こえた。


「杏奈〜!おっはよー!」


元気いっぱいの真っ直ぐでデカい声である。


「おはようございます。絵里は朝から元気ですね」


新ギャル久慈川絵里が登校してきたようだ。

それにしても声がでかい。元気というより、

もはやうるさいに分類されるくらいだ。

俺は無関係とばかりに本をカバンに片付けようとしていると


「黒澤くんもおはよう!」


俺にも挨拶してきた。まぁ昨日の今日だしなと思って俺も挨拶を返す。


「おはよう」

「え〜っ!なんか愛想悪くない?」


何こいつ?朝からウザさがヤバいんだが。

せっかく挨拶を返したら愛想が悪いと言い出した。俺は別に不機嫌なわけでも愛想を悪くしたわけでもない。普通に挨拶したのだ。にも関わらずこの言いよう!そんな俺を無視して話を続ける。


「昨日はいっぱい話したじゃん!そん時はもっと普通だったのになんで?」


なんで?じゃねぇよ!そもそもそんなに会話をしていないだろうが!だからこのタイプは嫌なんだよ!こんなところまで妹にそっくりじゃねぇか!イラッとしたが俺は努めて冷静に返す。


「これが俺の通常なんで」

「ふーん。まぁいいや、じゃあ後でね〜」


そう言って手を振りながら自分の席に戻っていった。俺は思わず杏奈を見た。彼女は苦笑いをしていた。


「あれが絵里の通常なので」

「通常ってあれでか?」


嘘だろ?なんであれで人気者になれるんだよ!俺はすでに2回もイラッとしたんだぞ!


「まぁ人によって態度を変える様な事もないので。良く言えば裏表がないと言いますか、物怖じしないと言いますか」

「悪く言えば無神経ってことか?」

「そこまでではないですよ。ただ。。。」


そこまで言って杏奈は考え込んでしまった。

途中で言うのやめるのはヤメて!めっちゃ気になるから!気になり過ぎて俺は続きを促す。


「どうした?」

「いえ、上手く言葉に出来ないんですが、何だかいつもと少し違うなと思いまして」


そう言って杏奈はまた考え込んでしまった。

そのタイミングで担任が教室に入ってきたので

これ以上の言及は不可能となった。

いつもと違うねぇ?そもそもいつもを知らないので俺には分からない。ストーキングしてた事くらいしか知らないのだ。まぁこれ以上関わることもないし別に知らなくても良いか!と考える事を放棄した。


あれから金髪ギャル久慈川は特に絡んでくることはなかった。なんだ意外と空気が読めるんじゃないかと、俺は久慈川の評価を上方修正することに決めた。

朝はイラッとしてごめんよ!俺は心の中で謝罪した。そして杏奈には感謝した。何故なら今は昼休みで杏奈の手作り弁当が目の前にあるからだ。今日は空き教室に1人である。

作ってくれた杏奈は久慈川とお昼を食べるので俺は1人というわけだ。別にここじゃなくても良かったのだが昨日の事もあるのでここに来たのである。


俺が手を合わせて、お弁当を頂こうとしたとき


「邪魔するよーー!」


突然ドアを開ける大きな音と大きな声が聞こえて思わず握っていた箸を落としてしまった。

え?なに?何がおこったの?

教室の入口を見ると久慈川がドヤ顔で立っていた。こいつ何してんの?俺は訳がわからなかった。そんな俺を気にする事なく教室に入ってくると


「みずくさいじゃん!一緒に食べよーよ!」


笑顔でそんな事を言い出した。

俺が反応出来ないでいると息を切らした杏奈がやって来た。


「絵里!勝手に走っていかないで下さい」


それを見てようやく状況が飲み込めた。杏奈とお昼を食べようとしたら俺が1人だと知り、杏奈に許可も取らず走って来たんだな。まじで小学生かよ!俺は大きなため息をついて


「おい!サイドテール!何で一緒に食べないといけないんだ?」


そうサイドテール久慈川に言ってやった。

するとキョトンとした顔をして


「だって昨日約束したじゃん!一緒に食べようって!てかサイドテールってなに?」

「はい?それは杏奈とだろ?」

「何言ってのん!黒澤くんも一緒に決まってんじゃん!それよりサイドテールのこと!」


なるほど昨日のあれを杏奈と2人ではなく俺も含めた3人でと解釈したようだ。

まじかぁ、あの状況で何でそう思えるんだよ。


「ねぇ!サイドテールって私の事なの?」


俺は失念していたようだ。自分で言った事をすっかり忘れていた。

久慈川絵里という女はノリと勢いで生きている行動力の塊だということを。


「ねぇってば!サイドテールってなによ!」


俺はサイドテール、サイドテールとうるさい

久慈川を見て大きなため息をつくのであった。

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