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第5話 清楚美人と迫る影

「朝のあれ何!めっちゃビックリしたんだけど!」


いつもの校舎の端っこにある空き教室で俺は杏奈に問い詰められているのだが、いつもと違うことがある。


「近い近い近い!てか言葉くずれてる!」

「大丈夫でしょ!ここ人こないし」

「でも今昼休みじゃん!」


そう、いつもと違うのは今が昼休みだということだ。俺は昼休みに杏奈と空き教室にいる。

あのあと休み時間にメッセージで呼び出されたのだが、昼休みを指定されるとは思わなかった。そして問い詰められているというわけだ。


「てか質問に答えてないじゃん!」

「何聞かれたっけ?」


俺は首をひねる。急に近づかれたせいで、質問がどこかに飛んで行ってしまった。


「朝のこと!どうしたの急に?」

「あぁあれね。何か周りに気を使うのが馬鹿らしくなったんだよね」

「気を使う?」

「そっ!別に誰に何言われてもいいじゃんってさ!名前呼んで欲しかったんでしょ?」


飛んで行った質問は朝の件についてだった様なので俺は素直に答えた。素直になれか、これも前に尾上さんに言われたなぁなんて考えていると杏奈が黙っていることに気が付いた。


「杏奈?」


俺は心配になって彼女を覗き込むと彼女は


「急にそういうのやめてよ。恥ずかしくなるじゃん」


顔を真っ赤にしながら上目遣いでそんな事を言うのだ。やめて!こっちが逆に恥ずかしくなるじゃん!俺は誤魔化すために叫んだ。


「あざとい!」


俺の叫び声に杏奈も冷静さを取り戻したようで


「誤魔化した」


そう言いながらニヤニヤしてきた。

お互いに誤魔化したのが分かって、また2人で顔を見合わせて笑ってしまう。

そんな時ふと中城先輩からのミッションを思い出した。


「ごめん」

「え?何?どゆこと?」


杏奈は俺の急な謝罪に困惑して首をかしげている。いかんいかん!急ぎ過ぎてしまった。

どうやら俺は思ったより緊張しているようだ。

大きく息を吐いて一度仕切り直す。


「色んな事を気にしすぎてちゃんと向き合えてなかったからさ。杏奈のこともちゃんと考えれてなかったし」

「はしょり過ぎ!いきなり謝られたらビックリするし!」

「それも申し訳ありません。まぁでもちゃんと謝らないとって思って。ごめんなさい」


そう言って俺は頭を下げた。


「何か女の存在を感じるんだよねぇ」


思わぬ言葉に俺は思わず頭をあげた。

え?どういうこと?女の存在って?

たしかに尾上さんに相談したけど。

もしかしてセンサーか?センサーなのか?

あれだけで反応するとしたら感度良すぎない?もはやエスパーじゃん!

半目で見てくる杏奈に恐怖すら感じていると


「まっ今回は見逃してあげよう!今、最高に気分がいいからね!謝罪を受け入れてあげる」


そう言って笑ってくれた。俺はひとまず謝罪を

受け入れてくれた事に安堵していたが、杏奈がグイッと体を寄せてきて


「それに私の事、いっぱい考えてくれたみたいだし」


嬉しそうにそう言うのだった。

俺は謝罪を受け入れて貰えた安堵感よりも彼女にドキドキしてソッポを向いて


「ち、近いから」


と精一杯声を絞り出した。

そんな俺をみて彼女はご機嫌に笑うのだった。


「いやぁそれにしても、次の段階に進めたかいがあったよ」


ご機嫌な彼女は得意気に言う。

ドキドキが収まった俺もそれに答える。


「たしかにそうかもね」

「これでいつでも話かけていいんだよね?」


杏奈はまだ少し不安があるようで、さっきとは一転した表情で俺を伺いながら聞いてくる。

それを見てほんと何を気にしてたんだろうなと過去の俺を殴りたくなった。そんな事は出来ないから俺はちゃんと返事をするのだ。


「いつでもどうぞ。俺も話かけるから」

「やった」


俺の返事を聞いて手を合わせながら喜んでいる杏奈を見て、やっぱり俺の選択は間違っていなかったと安心した。まだ考えないといけない事はあるけど、今はこれでいいかな。


「そうだ!」

「何が?」

「明日からお弁当持ってこなくていいからね」


急に俺はお昼抜きを言い渡された。

何でそんな仕打ちされるの?

あれか?女の存在を感じさせた罰なのか?

困惑する俺を見て杏奈はため息をつく。


「どうせ何でお昼抜きとか考えてんでしょ?」

「なんで分かった!」

「大輝が分かりやすいだけじゃん!それにしてもほんと察しが悪いよね」


そう言って残念な子を見る目で見てくる。

最近この目で見られ過ぎている。


「明日から私がお弁当作ってきてあげるから」

「杏奈が?」

「そう、わたしが」

「誰に?」

「大輝に」

「俺に?」

「そっ!だから明日からも、ここで一緒にお弁当食べようね」


ここまで言われてようやく何を言われたのか理解が出来た。俺、察しが悪すぎるだろ!!

そりゃ残念な子を見る目で見られるはずだ。


「ありがとう。でも無理はしないでね」

「うん!でもさ作りたいんだよね」

「そっか。ならありがたく受け取るよ」


なんて冷静を装っているが、内心ではめっちゃガッツポーズをしていた。女の子の手作り弁当とか男子高校生の憧れNo.1じゃないか!

まさにヒャッホイ状態だ。

そんなやり取りをしているうちに昼休みが終わりに近づいたので俺達は空き教室から出た。


「それでは教室にもどりましょうか」


教室を出たとたんこれである。

いつ見てもこの切り替えすごいなぁ。

どっちが素なんだろうか?やっぱギャルの方なのかな?今度聞いてみようかな、なんて考えているとトイレに行きたくなった。


「ごめん!トイレ行くから先にもどってて」

「分かりました。では先に戻ってますね」

「すまんね。じゃあ後で」


そう言って俺は1人でトイレに向かった。

トイレに向かっていると何やら背後に視線を感じたが気のせいだろうと思い気にせずトイレに入っていった。


無事にスッキリしてトイレから出たところで、やっぱり視線を感じたのだ。杏奈と一緒に居る時なら分かるが今の俺は1人なのだ。そんな俺を見るやつなんていないだろう。まぁでも念の為にと思いながら俺は振り返った。


気の所為だと思いたかった。視線を感じて後ろを向いたら誰も居なかったって笑い話にしたかった。でも無理だわ。だっているもん!誰かが角からめっちゃ見てきてるもん。あれで隠れてるつもりなんだろうか?これ見て見ぬふりした方がいいんだろうか。

いつまでもトイレの前に突っ立ってるわけにもいかず俺は視線を感じながらも、教室に向かうことにした。


俺は席に付いてもまったく落ちけなかった。

何故なら謎の人物は結局、教室までついてきたのだ。ついてきたというかクラスメイトだったのだ。普通に教室に入ってきたし。そして今も自分の席に座って俺をめっちゃ見ている。

何あれ?やっぱ隠す気ないじゃん!

てかいつからだ?いつから見てたんだ?


「大輝くんどうしたんですか?」


俺の様子がおかしい事に気づいた杏奈が俺に話しかけてきた。しかし何て言えばいいんだろ。

クラスメイトにストーキングされちゃって!とでも言えばいいのだろうか?流石に俺でも教室で、それを話せる度胸はない。

俺は大きなため息をついて


「後で話すよ」


そう伝える事しか出来なかった。

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