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第2話 コインランドリーは快適空間

バイトが終わり、帰り支度をしていると

中城先輩と尾上さんに声を掛けられた。


「何?今日帰る準備はやくね?」

「確かに?いつも無駄に残ってのんに」


確かにいつもは理由もなく休憩室でダラダラしているのだが今日はそういう訳にもいかない。


「コインランドリー行かないといけないんで」

「あぁそんな事いってたな」

「洗濯機問題ね」


中城先輩は真面目に、尾上さんはニヤニヤしながら理由に納得してくれた。


「洗濯物溜まってますしねぇ。それにコインランドリー初めていくんで、何かあった時のために早めに行きたいんですよ」


俺は初めてのコインランドリーということで意外と緊張しているのである。

そしてワクワクもしているのだ。

そんな俺を見て尾上さんが笑いながら


「初めてのおつかいかよ」


と俺の頭を撫でくりまわしてくる。

そのやり取りを見て中城先輩が少し恨めしそうに、そして羨ましそうに俺達を見ている。

今のやりとりを見て嫉妬心が見え隠れするというか、丸見えと言うか。

中城先輩、割と気持ちダダ漏れてるなぁと思いながら尾上さんの手から逃れる。

そんなダダ漏れな中城先輩も本当は分かっているのだ。

尾上さんが俺の事をそういう対象として見ていないことを。

ペット、良くて弟みたいな扱いなのである。

それでも気になる女性が異性にベタベタするのを見せられるのは思うところがあるのだろう。

まぁ知ったこっちゃないけどね。

俺は割とこの3人の関係を気に入っているのだ。


「というわけで俺はコインランドリーに行ってきます!」


そう宣言して早々にバイト先を後にした。

俺が出ていった休憩室から


「オガよかったら飯でもどう?」


と中城先輩が尾上さんを誘っているのが聞こえてきてめっちゃ気になったが、今はコインランドリーが優先だ。

明日また話聞こう!!そして慰めよう!!

失礼かもしれないが、俺はそう心に誓うのであった。



一旦家に帰えり、俺は風呂に入ってからコインランドリーに向かうことにした。

風呂に入ったら洗濯物出るしね。

なら風呂の後が良いだろうという合理的な判断である。俺ってば賢い!

そう思っていたのだが、すぐにその判断を後悔することになった。


洗濯物って思いのほか重かったのだ。

初めて知ったわ。

近所のコインランドリーを検索した時に徒歩で10分位の所にあったので、10分とか近い!と思っていたが、洗濯物を持ったまま10分歩くと意外と汗をかくのだ。

俺ってば賢くなかった。。。

少し落ち込んでしまったのは内緒だ。


コインランドリーは少し入り組んだ路地を入って行った所にあった。

近所とはいえ来たことがない場所だったので、緊張とともに何とも言えない高揚感が湧き上がってくる。


そしてコインランドリーの外観を見たとき、

俺は暫く店の前から動くことが出来なかった。

路地裏の少し暗い場所でコインランドリーだけが明るく輝いている。

それがとてもレトロな感じで、アニメや映画に出てきそうな雰囲気で、一言で言えばめっちゃ好みだったのだ。

コインランドリー雰囲気いいじゃん!

これが俺の感想だった。


意を決して中に入ると俺以外に利用者はいなかったが、いくつか乾燥機が動いていた。

思ったより広くない店内にはゴウンゴウンという機械音が響いていて、外より少し暖かく、洗剤か柔軟剤かは分からないが何だかいい匂いがする。そこは日常から切り離された感じがして、より俺の心を鷲掴みにした。


洗濯と乾燥が出来るタイプのドアを開けて中に洗濯物を入れる。お金の投入口をみると100円玉のみ投入可能なようだ。利用料金は800円。

財布の中には100円玉が2枚だけしかなかった。

店内を見渡すと端のほうに両替機があったので安心した。

両替機は1000円札しか使用できないタイプだ。今日は運良く財布に1000円札が入っていたが、次回来るときには気をつけなければ。

すでに次回の事を考えている自分が笑える。

無事に両替できたので100円玉を8枚投入する。

洗濯・乾燥で800円。

正直高いか安いかは分からないが今のところ不満はない。

投入し終えると洗濯・乾燥機は大きな音を立てて動き出した。


ベンチに腰掛けて、暫く回転する洗濯物を見ていたが、少し酔いそうになったので持ってきていた小説を読むことにした。


夜だからだろうか?路地裏だからだろうか?

店内はゴウンゴウンと響く音しか聞こえない。少し暖かく乾燥した空気とほのかに香る良い匂いが何とも言えない空間を作り出す。

洗濯と言う日常の作業なのに、非日常を感じるという矛盾が心地よく、その中で思いのほか集中していたようだ。

それに気がついたのは乾燥が終わった事を告げる電子音が鳴ったときだった。


もう終わったのか?

それが最初に感じたことだった。

あっと言う間だった。


読んでいた小説をカバンにしまい、ドアを開けて洗濯物を取り出す。

ほのかにあったかくとても気持ち良い。

タオル何かはいつもより、ふかふかになっている気がした。

畳みながら洗濯物をバッグに入れていく。

全ての作業が終わりコインランドリーを後にする。

外に出ると少し寒さを感じた。

思ったより店内が暖かかったのだ。

その寒暖差によって、非日常から日常に戻された感じがした。


コインランドリーめっちゃいいな。

いや夜のコインランドリーがいいのか?

俺はこの空間の虜になっていた。


暫くコインランドリーも生活悪くない。

いやコインランドリー生活を暫く続けよう。

そう心に決めた春休み初日の夜だった。

初投稿になります。


完結目指して頑張ります。




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宜しくお願いします!

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