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エピローグ

バイト終わりの俺は杏奈からのメッセージに指定されていた「いつもの場所」に向けて歩いていた。この道も歩き慣れたものである。


杏奈と学校でも仲良くする事を了承してから

1週間経った現在、俺は早くもその決断を後悔していた。確かに急にグイグイ来るのはやめてくれと言った。俺から話しかけないとも。

彼女は俺の言葉を聞き入れて過度な接触を持とうとはしてこなかったのである。

代わりにメッセージを頻繁に送ってくるようになったのだ。学校にいようが、家にいようがお構い無しに送ってくる。それもただのメッセージであれば何の問題もない。残念ながら杏奈からのメッセージはだいたい俺をイジるものなのである。しかし彼女の恐ろし所はそこではないのだ。単にイジられるだけであれば問題ない。杏奈はメッセージでは表情や声色が分からない事を利用して、例えイジっていなかったとしてもイジられてるいるのでは?と思ってしまう様な内容を送ってくるのだ。今日もそうである。杏奈はただ事実を送って来ただけであるが、俺は勝手に色々想像してしまい、恥ずかしさに耐えきれなくなったのだ。

あれから1週間この調子なのである。これなら話しかけて来た方がまだましなのでは?とさえ思ってしまう。これが彼女の恐ろしさなのだ。


清楚美人の皮を被った人はヤバい!これは俺の中で揺るぎない事実となった。なんせ2人中2人がそうなのだから。などと下らない事を考えているといつもの場所に到着した。そうコインランドリーである。俺と杏奈は変わらずコインランドリーを利用しているのだ。ただ変わった事もある。俺が店内に入店すると


「やっと来ましたね。遅かったので心配しましたよ」


いつものギャルの格好をした杏奈が、いつもと違い丁寧な言葉で出迎えてくれた。


「それやめて。頭がバグってくるから。ギャルなのに清楚とか訳がわからんくなる」

「大輝くんに少しでも早く慣れて貰おうかと思ったのですが?」

「なら清楚な時に話しかけてよ」

「大輝くんが学校ではあまり話しかけるなと言ったんじゃありませんか」

「そうなんだけどさぁ」


そんな事を話しながら2人で一緒に洗濯物を洗濯・乾燥機に入れていく。これが変わったことである。そう俺達は一緒に洗濯・乾燥機を使用するようになったのだ。

言い出したのもちろん杏奈である。決して俺から言い出した事ではない!

始業式の次の日、コインランドリーで杏奈が


「てか一緒にここに来るなら、一緒に洗濯した方が効率的じゃない?」


などと言い出したのだ。さすがにそれはどうなんだと俺は抵抗したのだが


「一緒に洗濯すればお金も半分で済むじゃん!それとも大輝は私と一緒は嫌なの?」


という言葉にあえなく陥落したのである。

色々言いたい事はあるが全て飲み込んだのだ。杏奈が嫌がってないならいいかと思っている。

洗濯・乾燥機が動き出したのを見て2人でベンチに座る。


「それにしても大輝は全然慣れないね」


いつもの口調に戻っていた。てかどっちがいつもの口調なんだろうか?いまだに謎である。


「いやぁ慣れないでしょ」

「そう?どっちも私じゃん」

「どっちも杏奈だから余計になんだよなぁ」

「何それ?意味わかんないんだけど」


そう言いながらケラケラ笑っている。

こうやって楽しそうに笑うのも見慣れた光景になってきた。良い事なのか悪い事なのかは分からんが。


「まっそろそろ慣れてもらわないと困るんだけどねぇ」


そんな事を言いながら杏奈は意味深な目で俺を見てくる。その目ほんとにやめて下さい。


「そろそろ次の段階に進めようかな」

「次の段階ってなに?めっちゃ怖いんですけど!」

「たいじょぶ、だいじょぶ!安心してよ」

「まったく安心出来ないだよなぁ」


安心した結果が今なのである。

まだ出会って1ヶ月も経っていないはずだ。

それにしては距離感がバグり過ぎている。

しかしそのバグった距離感に慣れ始めているのも事実である。慣れとは恐ろしい。


「楽しみにしててね!」


そう言って楽しそうに笑う杏奈を見ていると、彼女に振り回されるのも悪くない、なんて思ってしまうのだ。

ギャルとコインランドリーで過ごすことが日常になったように、清楚美人と学校で過ごすことも日常になるのだろうか?

俺はこれからの学校生活を想像して思わず笑ってしまうのだった。

ひとまずこれで第一章完結となります。

読んでくれて、ありがとうございます。

第二章は近々で公開予定です。

黒澤さんと白瀬さんがどんな学校生活を送るのか楽しみにして下さい。

引き続き読んでもらえるとうれしいです。

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