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第18話 ギャルと前回出来なかったことを

いきなりの先制攻撃だったが、俺とギャルの夜は、まだまだ始まったばかりである。

ちょっとギャルに先手を取られてしまっただけだ!まだ大丈夫だ!まだ負けてない!

というかあれだけ顔を近づけられたら、誰でも照れるだろう。うん!だから俺は悪くない!

しかし、そんな俺の事など気にせず、ギャルは追撃の手を緩めない。そのまま鼻をスンスンさせて俺の匂いを嗅ぎ出したのだ。


「うん!今日は他の女の匂いしないね」

「そんなのするわけないでしょ!」

「この前はしたじゃん」

「あれは、たまたまたです!いつもみたいに言わないで下さい!」

「ほんとかなぁ?」

「本当ですよ!」


このギャルは何を言い出すのだ!いまだに疑いの目を向けているとは思わなかった!ジト目で俺を見てくるはやめて!その目で俺を見ないで!今日は尾上さんが休みでほんとよかった!助かった!


「まっ、匂いもしないし信じてあげよう」

「何ですかその匂いチェック」

「女の子に会うのに他の女の匂いさせてるとかマナー違反だからだよ!」


なにそのマナー!そんなマナーあるの?

俺が知らないこと多すぎない?てかこの前のも不可抗力なんだが?人付き合い難し過ぎる!

しかし真剣な顔をしてギャルが言うので、嘘ではないのだろう。前回めっちゃ怖かったし。

てか今も若干目が怖いし!


「今後はそうならない様に気をつけます」


色々な事を飲み込んで、俺は素直にそう言うしかなかった。


「うんうん!素直なのはポイント高いよ!今後は気を付けてね」


ギャルは満足したのかいつもの笑顔に戻っていた。てか今後もこの匂いチェックあるの?

まじで今後は尾上さんに注意せねば!


「それにしてもよく俺の匂いじゃ無いとかわかりますね?」


俺はふと疑問に思った事を聞いてみた。


「そりゃ女物の香水の匂いがすればすぐに分かるよ。少年、香水つけてないし」


何とも答えは簡単だった。確かに俺は香水を付けていない。ギャルそんな事もわかるの?

てか尾上さんの匂いって香水なのか?

俺にはそれすらも分かっていなかった。


「女の人って香水つけるもんなんですか?」

「つけてる子の方が多いんじゃない?私はつけてないけどね」

「そうなんですか?いい匂いするんで、てっきり香水つけてるのかと思いました」


ギャルは香水など付けなくてもいい匂いがするのか!さすがギャルだな!などと、俺は納得して1人でうんうん頷いていた。

ん?俺はいま何て言った?何か言ってはいけない事を口走ったような?俺は壊れたブリキの様に首を回してギャルを見る。そこには、めちゃくちゃいい笑顔のギャルがいた!


「そっかそっか!私の匂いを少年はいい匂いだと思ってくれてたんだ!」


やってしまった!気を抜いてつい口に出してしまった!ギャルの匂いを嗅いでいた事を知られてしまった!!


「い、いや。これはその、何と言いますか」

「私の匂い好きじゃないの?」


何とかを言い訳をしようとしていた俺をギャルは上目遣いで見てくる。

上目遣いでその言い方はズルくないですか!

ぐぬぬぬぬぬっ!俺は恥ずかしさを押し殺す。


「お姉さんの匂いはいい匂いだと思います」

「いい匂いなだけ?」


今度は首をかしげやがった!何なのこのギャル!ほんと何なの!そんなギャルを前に俺はあえなく陥落したのだ。


「俺の。。。好きな匂いです。。。」

「何が?」

「……」

「ねぇ何が?」

「お姉さんの。。。に、匂いが。。。」

「そっかぁ!少年は私の匂いが大好きなのか」


ギャルは今日1番の笑顔を見せていた。

めっちゃいい笑顔なのだ!てか確実に言わされたよねいま!何か圧感じたもの!

俺は恥ずかしさで消えてしまいそうだった。

ついうっかり口を滑らしてしまったばっかりに俺はギャルの匂いが大好きな男になってしまったのである。うっかりの代償がデカ過ぎる!

てか何でそんな笑顔なの?


「ちなみに」


ギャルはグイッと俺に顔を近づけて来た。恥ずかしさに打ち震えている俺は対応出来ない。

そんな俺の事などおかまいなしにギャルは耳元で囁いた。


「私も少年の匂いが好きだよ」


その瞬間、俺の全身に感じた事のない衝撃が走った。俺は思わず両手で耳を押さえてギャルから距離をとる。何がおこった?いまの何?

混乱して口をはくはくさせるだけの俺を見て、ギャルの唇は綺麗な弧を描いている。

全身に感じた衝撃から抜け出せない俺は何とか声を絞りたした。


「か、からかわないで下さい」

「別にからなってないんだけど」


いや!絶対からかったってただろ!何だよ俺の匂いが好きとか!からかいでなければ何なのだ!え?からかったんだよね?

いまだに両手で耳を押さえたまま混乱している俺を見て、ギャルはため息をつきなが少し呆れ顔で


「さっきは素直だったのになぁ」


なんて言うのだ。

何?嬉しがった方がよかったの?いや!騙されないぞ!これは罠に違いない!


「まっあんまりやり過ぎてもまた拗ねちゃうしねぇ」

「拗ねないですよ!」


俺はギャルを睨みつけた。しかし、いまだ耳を押さえたままの俺など怖くないのだろう。

ギャルはニヤニヤしている。ずっとニヤニヤしている。悔しいが俺は今日も手のひらでコロコロされていようだ。


ようやく落ち着いた俺は耳から手を離すことが出来た。その間ギャルは俺をイジる事は無かったが終始ニヤニヤしていた。だが俺は気付いてしまった。ニヤニヤしながらもその目は俺の耳をロックオンしてたのだ。

その目を見ていると何故か耳から手を離す事が出来ずに時間がかかったというわけだ。


「それにしても、少年とも普通に話せる様になったよね」

「話しているというか、俺が一方的にイジられてるだけの気がしますけど」

「そう?」

「そうですよ」

「私は、またこうやって話せるの嬉しいけどね」


そう言ってギャルはケラケラ笑っている。

そんなギャルを見て俺はふいに素直な気持ちを伝えようと思った。


「俺も楽しいですよ。こうやって話すの」

「そっか。それは良かったな」


しみじみと呟いたギャルから俺は目を離せなかった。どこか安心したようなギャルの笑顔は今まで見たことないような笑顔で、いつもの大人っぽさは無くなっていて、何だか幼く見える。そしてどこか懐かしさを感じさせる笑顔だったからだ。

そんなギャルを見ていると心の奥が何だかムズムズしてくる。どうして良いか分からない。


『ピーーーーッ!』


乾燥の終わりを告げる電子音が鳴り響いた。


「終わったみたいだね」


さっきまでのギャルはそこにいなかった。

代わりに、いつもの大人っぽいギャルがそこにいた。

何だかもう少し見ていたかったような、いつものギャルに安心するような何とも言えない気持ちになる。


「ですね。畳みましょうか」


俺はこの感情を隠すように洗濯物を畳み始めるのだった。


「少年は丁寧に畳むよね?」


黙々と洗濯物を畳んでいるとふいにギャルが俺の手元を覗き込む。


「そうですか?普通じゃないですか?」

「いやいや!普通はその年でそこまで丁寧に畳めないよ」

「まぁ慣れてますからね。普段から家事やってますし」

「いいね!家事が出来るのもポイント高い!」


ギャルは得意顔で頷いている。

でた!謎のポイントである。今日はちょいちょいこのポイントが出てくるのだ。


「そのポイント貯まると何かあるんですか?」

「知りたい?」

「知りたいような知りたくないような」

「どっちだよ!」


頬を膨らませるギャルを見ながら、今日もあざといなぁなんて思ってしまう。たが褒められるのは気分が良い。気分が良いついでに俺もギャルを褒めることにした。


「お姉さんも丁寧に畳みますよね」

「なに?そんなに私の洗濯物が気になるの?」


褒めたらこれである。ギャルの洗濯物を覗く変態にされてしまった。おかしくない?

せっかく褒めたのに何故こんな仕打ちをされないといけないのか!


「洗濯物が気になるんじゃなくて、洗濯物を畳んでいるお姉さんを見てたんです!」

「そっかそっか!少年は私を見てたんだね」

「言い方!間違ってないけど言い方!!」


おかしい!何故かギャルを凝視していた事にされてしまった!俺が抗議している間もギャルは楽しそうにケラケラ笑っているのだった。

そんなやり取りをしている間に2人とも洗濯物を畳み終えた。


「じゃ行こっか」

「ですね」


ギャルに続いてコインランドリーを出る。

2人でならんで路地を歩いている間、どちらも言葉を発する事はなかった。そして路地を出るとギャルがようやく口を開いた。


「私、こっちだから」


あの時の同じ様に俺の帰り道とは逆方向を指差しながら。ここまではあの時と同じ。

よし!俺は意を決してギャルに告げる。


「よかったら送っていきますよ」


恥ずかしい!めっちゃ恥ずかしい!

あまりの恥ずかしさに俺はそれ以上何も言えなくなる。

チラッとギャルを見ると、ギャルは目を見開いて固まっていた。とたんに不安になる。

あれ?これ失敗した?話が違うじゃないですか!!中城先輩の言う事なんて信じるんじゃなかった!!思わず俺は中城先輩に責任転嫁してしまう。沈黙が痛い。何これ!めっちゃ長く感じる!俺は耐えきれず視線を下げかけた時、

ギャルが笑うのが見えた。思わず俺は下げかけた視線を上げる。


「じゃあ送ってもらおうかな」


ギャルは満面の笑みで俺が送って行くことを了承してくれたのだ。俺は安堵感から思わず息をはいた。


「はい!任せてください!」


俺は元気よく返事をしていつもの帰り道とは逆方向に歩きだしたのだった。

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