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第16話 報告会は続くよ何処までも

「アハハハッ!あんたほんと何やってのん?」

「やりたくてやった訳じゃないです」


俺は力を使い果たして休憩室の机に突っ伏してしまっていた。もはや爆笑する尾上さんの方を見る気力もない。

尾上さんの報告会という名の尋問はバイトが始まるまでの時間では終わらず、休憩中も続き、バイトが終わった今でも続いているのである。

そして尾上さんと話していると当然、中城先輩もまざってくるのだ。そうすると俺はまた同じ話をする羽目になる。その度に尾上さんはご機嫌になり、爆笑するのである。そうやって、昨日の出来事は詳細まで2人に知られてしまったのだ。まじ最悪だ。。。


「ギャルにギャルモノが好きな事を知られるとか、まじで恥ずかし過ぎるだろ」

「事実を捻じ曲げないで下さい!ギャルがヒロインの小説を読んでただけで、俺はギャルモノが好きなの訳じゃないです」

「あんま変わらんだろ。どっちにしろ恥ずかし事は事実だしな」


中城先輩はお決まりの残念な子を見る目でみてくる。俺は半目で睨み返した。

ギャルモノが好きとか間違いもいいとこだ!


「それにしても、コインランドリー行くだけで何で毎回そんな事になるのかね。あんた、もしかしてわざとやってんじゃない?」


尾上さんがご機嫌でそんな事を言ってくる。


「わざとなわけないでしょ!何でわざと恥ずかし目に遭わないといけないんですか!」


俺がそう反論すると、さらにニヤニヤした笑顔になる。


「だって私にイジられて、いつも嬉しそうじゃん。毎回、喜んでんだろ?」

「喜んでないですし、嬉しくもないです!毎回恥ずかしだけですから」


まじで何言ってんだこの人は!俺がイジられて喜んでいるとか何を見てそんな事が言えるのか本当にわからん!そんな事実はない!

だから中城先輩、そんな目で俺を見るのやめてださい!!ほんと面倒くさいなこの人は!


「いやぁ、それにしてもギャルも私とおんなじタイプだったかぁ」


となりで恨めしそうな顔をしている中城先輩を無視して、尾上さんは独り言の様につぶやいた。


「それは俺もビックリしました」

「今度、会ったら謝らないとなぁ」


尾上さんはニヤニヤしながらそんな事を言う。

謝る?何をギャルに謝ると言うのだろうか?

俺は困惑しながらも1つの事実を伝える


「てか会う事なんて無いと思いますよ。俺もコインランドリーでしか会ってないんですから」

「いや、近いうちに会う事になる気がするんだよなぁ」


反論する俺をよそに、タバコを消しながら確信した様にそんな事を言うのだ。

俺はギャルと尾上さんが出会う所を想像して、思わず身震いしてしまった。

絶対ろくな事にならない!混ぜるな危険だ!


「何か絶対に会わせたらダメなきがしてきたんですけど」


それを聞いて尾上さんはご機嫌そうに俺の頭をワシャワシャしながら


「大丈夫だ!そんなおかしな事にはならんから」


そう言ってまたタバコを吸いに行く。

いやどう考えてもおかしな事にしかならん気がするのだが?やっぱり絶対に会わせたらダメな2人である。


「てか問題はお前だろ?」


俺が2人の出会い阻止を決意していると、今まで恨めしそうに眺めていただけの中城先輩がようやく口を開いたのだ。


「はい?俺が問題ですか?」

「おう、お前が問題だ」


突然の思ってもいなかった話題に俺はポカンとしてしまう。


「ほら見ろ、こいつ何にも分かってないぞ」


中城先輩はそんな俺を見ながら尾上さんに話しかけている。そして尾上さんは俺を苦笑いで見てくる。


「あぁ。まぁね、仕方ないでしょそれは」

「このまま行けば大火傷するぞ、こいつ」

「まぁ、それはそれで面白いけど」

「オガ、お前なぁ」


俺を置いてけぼりにして2人で話し出した。え?俺このまま行けば大火傷するの?

何それ!めっちゃ怖いんですけど!!


「大火傷ってなんです?俺そんな重傷負うんですか??てか何があったらそんな事になるんです??」


俺は思わず飛び起きて2人に詰め寄ってしまう。そんな俺を見て尾上さんは爆笑するのだ。

え?俺が火傷するのがそんなに面白いの?


「やっぱ何にも分かってねぇ」


中城先輩が残念な子を見る目で見てくる。

その目、見飽きたんですけど!!

てかあからさまにため息つくのやめて!


「お前、次ギャルと会う時はちゃんと送ってやれよ」

「はい?送る?」

「そう。夜に女1人で歩かすんじゃねぇよ」


何か思ってた話と全然違い過ぎて俺は戸惑いが隠せない。火傷の話が何故ギャルを送る話になっているのだろうか?全く繋がらないんだが?


「本当は昨日も送った方がよかったぞ」


ふむ、どうやら今はギャルを送迎する話になっているようだ。取り敢えず話を聞いた方が良さそうなのでのっかることにした。


「でもいきなり家まで送るとか気持ち悪くないですか?」

「性癖暴露する方が気持ち悪いから大丈夫よ」


のっかたら後ろから尾上さんに刺されてしまった。何なのこれ。まじで泣きそう。


「別に性癖を暴露したわけじゃないです!

ただ好きなシチュエーションを言わされただけです!」

「性癖暴露と変わらないと思うけど」

「あと自発的に伝えたわけじゃないですからね!あくまで言わされたんです!」

「そっちの方が恥ずかしだろ」


まじなんなのこの人!めった刺しにしてくるじゃん!もうちょい優しくして欲しい!

俺はもう泣く寸前であった。


「まぁ冗談はおいといて、中城の言う通り、送って行った方が良かったと思うよ」

「まじっすか?」

「まじで」

「お互い名前も知らないのに?」

「名前も知らないのに」

「性癖暴露する気持ち悪い奴でも?」

「気持ち悪い奴でも」


なんだかまた泣きそうになってくるが、尾上さんがここまで言うのであれば送って行った方が良かったのだろう。納得するしかない。

なんか尾上さんの後ろで得意顔な中城先輩がムカつくが。


「でも会ったばっかりなのに、送って行くとかなんか図々しいというか、俺にそんな事されても困るんじゃないんですかね?」


送った方が良いのは納得したが、ギャルが俺に送って欲しいかどうかは別問題のはずだ。

そうやってウダウダ言う俺を見て中城先輩が


「お前いま最高に面倒くさいぞ。てかまだ気付かないのかよ」


心底面倒くさそうに言うのだ。

そんな面倒くさそうにしなくても良いじゃないか!気付いたら面倒くさく無くなるのであれば俺だって早く気付きたい!


「あんた難しく考えすぎてんのよ。もうちょい素直になれっての」


尾上さんはタバコの煙を吐き出しながら呆れたように俺に言うのだ。


「さんざん恥ずかしいとこ見せつけてんのに、今さら何ビビってんだか。誰にどう思わたって平気でしょあんたは」


そう言ってケラケラ笑っているのだった。

確かにあれだけ恥ずかしい所を見せているのだ。今さらどう思われてもあんまり関係ないのかもしれない。

言いたい事を言いたい放題言って、ご機嫌な尾上さんを尻目に、俺は帰り際のギャルを思い出していた。彼女はどんな顔をしていたのだろうか?あの時彼女は俺に何かを期待していたのだろうか?ようやく俺は昨日の事を色々考える事が出来たのだ。もうちょっと素直になった方が良いのかな?

そう思うと昨日は分からなかった正解が1つ分かったような気がする。よし!俺はある事を決意するのだった。

だが、その前にどうしても言っておかないといけない事がある!これだけは譲れない!


「俺はビビってもないですし、恥ずかしいところを見せつけたいわけでもないです!ほんとそういうのやめて下さい!」


そう言ってソッポを向く俺を見て、尾上さんも中城先輩も嬉しそうに笑うのである。

やっぱりこの2人には敵わない。俺は悪態をつきながらも甘えるのであった。

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