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第10話 誰が為にイジるのか

昨日の俺はどうかしていた。

久々にコインランドリーに行ったという高揚感とギャルと楽しくおしゃべりしたという事実からいつもなら話さないような事まで口にしてしまっていたのだ。


そして俺はすっかり忘れていたのだ。

自らの恥ずかしい部分を尾上さんに話す事が、何を意味するのか。

その尾上さんが清楚美人の皮をかぶったヤバい人であるという事実を。


思い出した時には手遅れであった。

結果は火を見るより明らかだったはずなのに。

そう!今日の尾上さんは事あるごとに俺をイジっくるのである!

しかもただのイジりではない。

羞恥心を煽るようなイジり方でだ。


例えば尾上さんに近づく事があれば、去り際に耳元で「私の匂い嗅がなくていいの?」と言ってきたりするのだ。

他にも俺に何かを頼むたびに上目遣いをしくるのだが、その際にちょっと体を寄せてきたりするのだ。それだけでドギマギしてしまう。

しかも俺は何故かギャルの事を思い出してしまい、余計にドギマギしてしまうというオマケつきである。その為、いつも以上に挙動不審になってしまう。

尾上さんはそうやって、普段やらないような肉体的接触によるイジりをしかけてくるのだ。

この日まじで尾上さんは、執拗に俺を辱めた。

それは休憩中だろうが仕事中だろうがお構いなしに行われるのである。


そして尾上さんのたちが悪い所は、その様な行為を必ず中城先輩がいる時に行うのである。

俺と2人の時、もしくは中城先輩が居ない時には絶対にしないのである。

結果、尾上さんが俺をイジるたびに、中城先輩の顔が凄いことになるのだ。

絶望と憎しみに満ちた本当にすごい顔になる!

俺もヤバいが、中城先輩もヤバい。

俺と中城先輩は心休まる時が全くないのだ。

2人して精神的疲労がみるみる溜まっていく。まじで色々とつらい。


しかし、どうにも腑に落ちないのである。

今までも尾上さんに、散々イジられる事はあった。たが、ここまで執拗にしかも肉体的接触による辱めを受けるのは初めてなのだ。

ただ俺の話を聞いただけで、ここまでする人ではないはずだ。

現に昨日は優しさを見せてくれたではないか!

なのに今日の尾上さんは、執拗に俺を辱めて追い詰める、ただのヤバい人なのである。

尾上さんがこんな事をするのには、何か理由があるはずだ。しかし心当たりがなさ過ぎて対処のしようがない。

しかも俺だけでなく中城先輩も標的にされているのだ。

何とかやめさせたいが、まじで理由がわからなないので、とめることも出来ない。


さすがの中城先輩も途中から尾上さんの執拗な俺イジりに疑問を持ったようで、俺に向ける嫉妬の籠もった視線も弱まっていた。

しかし弱まっただけで、なくならなかった所が実に中城先輩らしくて残念でならなかった。


そんな中城先輩にも心当たりがないようで、

2人して万策尽きてしまった。

やっぱり使えない先輩である。

結局この日はバイト終了まで尾上さんの執拗なイジりは続いたのである。


これから毎日続くのだろうか?

そんな事になったら流石に持たない。

中城先輩からの視線にも耐えられない。

というか刺されてしまう!

まじでどうしたもんかと頭を抱えてしまった。


しかし、尾上さんのイジり過ぎ問題はあっさり解決したのである。

それはバイト終了後の休憩室でのことだった。


「まじで今日の尾上さんやばかったです」

「確かにやばかったなぁ。何回かお前を刺しそうになったもん」


中城先輩が無表情でタバコを吸いながら

そんな事を言いだした。


「怖いっすよ!まじ勘弁してください!

俺、何にも悪くないのに!」

「冗談だよ、冗談!刺すわけないだろ」


そう言う中城先輩の目は全く笑っていなかった。

これ絶対冗談じゃないやつだ。

俺は思わず中城先輩から距離を取った。

まじ怖いんですけど。

そんなやり取りしていると尾上さんも休憩室に入ってきた。


「おつかれ〜」


めっちゃ軽い感じで何事も無くやってきた。

俺は尾上さんを半目で見ながら不満をぶつける。


「今日どうしたんですか?まじイジり過ぎですよ!危うく中城先輩に刺される所でした!」


そんな俺と無表情でタバコを吸う中城先輩を見て尾上さんは爆笑しながら


「ごめんって!今日はちょっと特別にな!

もうやらないから安心しろって。

お前も嬉しかったろ?てか嬉しそうだったじゃん。もう一回匂い嗅ぐか?」


そう言って俺の耳元に顔を寄せてきたのだ。

めっちゃいい匂いがして俺は固まった。

それを見ていた中城先輩が凄い勢いで顔だけを

俺の方に向ける。しかも無表情でだ。

やめて!めっちゃ怖いんですけど!

慌てて体ごと尾上さんから離れる。


「かんべんして下さい!しかもさっそくイジってくるし!」

「ごめんごめん!今日はもうやらんから」

「今日と言うか明日もやめてほしいです!

てか何で今日はあんなにイジってきたんです?」


俺は思い切って理由を聞いてみた。

尾上さんは少し考えながら


「うーん。まぁお前の為だよ。

念の為にな!だからそんな怒んなよ」


そう言いながら俺の頭を乱暴になでてきた。

俺の為にイジるとか意味分かんないだが?

おかげで刺されそうになったのに?

俺が首をかしげていると、中城先輩は納得したようでいつも通りに戻っていた。


「あっ〜、そういうことねぇ。納得だわ。

まぁでもアレはやり過ぎじゃね?」


なんてことを尾上さんに話していた。

なに?中城先輩は納得できたの?

俺は1人置いてけぼりをくらっていた。


「まっそんな気にすんなよ。ハゲるぞ。

そのうち教えてやるからさ!」


尾上さんは、そう言って俺の頭をポンポンと

2回叩いてからタバコを吸いはじめた。

こうして尾上さんによる執拗な俺イジりは

謎を残しながらも1日で終わりをむかえたのである。

中城先輩に刺される可能性が減ったのはよかったが、何ともモヤモヤする終わりである。

何か納得しづらいなぁなんて考えていると


「てか今日も行くんだろ?コインランドリー」


尾上さんにそう言われて俺時計を見た。


「忘れてた!コインランドリー行かないと!」


いつもここを出る時間ギリギリになっていた。

俺は慌てて帰り支度をして休憩室を出る。


「お疲れ様でした!」

「おう!おつかれー!」

「気をつけて行ってこいよ」


こうして俺は今日もコインランドリーに向かうのであった。

さっきまでの事などすっかり忘れて。

そして尾上さんが何であんな事をしたのか考えるのをやめていたのだった。

初投稿になります。

完結目指して頑張ります。


ブックマーク、いいね、コメントしてもらえると嬉しいです。


宜しくお願いします!

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