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姫川麻由子の初恋

『あぁやっぱりね』


これが私の初恋が終わった時に思ったことだ。

自分でもビックリするぐらいあっさりとした感想だったのはたぶん薄々そうだと思っていたからなのかな。


何がいけなかったんだろう?

理由は沢山あると思う。そのどれもが正解でそして不正解な気がする。たぶん恋をしたその時から終わりは始まっていたんだと思う。

私はそれに気づかないフリをしていただけ。


お互いの親同士が仲が良い事もあって智くんは私が物心ついた時にはもう側にいた。いわゆる幼馴染というやつだ。小さい頃は本当のお兄ちゃんの様に思っていたはずだったのに、気が付いたら異性として好きになっていた。


漫画やドラマみたいに何か劇的な出来事のようなきっかけがあったわけではない。

近所のお兄さんに憧れて気が付いたら好きになっていたなんて良くある初恋だろうし、成長するにつれてその想いが風化していくことだって普通なんだと思う。


でも私の初恋は簡単になくならなかった。

むしろ成長するにつれて想いを強くしていったんだよね。


自慢じゃないけど私はモテる方だ。顔はそこそこ可愛いし背が低い割に胸も大きい。友達には男子が好きそうな体型だと言われたりもした。

だから中学生になってからはよく告白もされたけど、私はそのどれにも頷かなかった。その時には智くん以外の男の人の事なんて考えられなくなっていたからだ。


そこまで好きなのに何故こんなになるまでアピールをしてこなかったのか?

理由は簡単。自分が異性として意識されていない事も、だからこそ距離が近い事も分かっていたから。そしてそんな状態でアピールして彼が離れて行くのが怖かったからだ。この想いさえバレなければずっと智くんの側にいることが出来る!そんなズルい事を考えていた。


でもそんな事を考えていた私が少しでも頑張ってみようと思えたのは2年生になってから出来た友達のお陰だ。

その友達とはもちろん絵里と杏奈、それと黒澤くんの3人である。


最初は絵里と仲良くなった。そして次に絵里を通じて杏奈とも話すようになったけど今ほど仲が良かった訳ではない。お互いに苗字で呼び合っていたしね。それでも杏奈には少しだけ自分に似ているなと思っていた。それはどれだけ告白されようと男に靡かない所で、そして絵里にも同じ事を感じていたんだよね。


だからそんな杏奈が男子と仲良くしているのと知った時は驚いた。しかも絵里も仲良くしているっていうじゃない!


どんな男子なのかと思って観察してみたら何となく智くんに似ている気がした。鈍感そうなところとか友達がいなさそうなところとか。

気になったので絵里にも色々聞いてみた結果ますます似ていると思ってしまった。


杏奈はそんな黒澤くんの事が好きなんだと気付いてから、私は黒澤くんの気を引くために一所懸命な杏奈を見て羨ましいと思った。

私もあんな風に恋に一所懸命になってみたい!

そして智くんの事を初めて人に相談してみようと思ったのだ。


そしてそう思った自分を褒めてあげたい!

だってそのお陰で皆と仲良くなれたんだから。

最初は智くんの事を相談していたのに気が付いたら皆と一緒に居るのが楽しくて相談なんてそっちのけになってしまったのは笑えるけど。


そうやって自分の初恋ときちんと向き合った結果、私は振られてしまった。たぶん私はキチンと向き合うのが遅かったんだろうな。でも不思議と後悔はしなかったんだよね。


もちろん振られた事は悲しかったけどそれ以上に智くんが真剣に私の事を考えてくれたから。

向き合ってこの想いをぶつけなければ、こんなにも私のことだけを考えてくれる事はなかったんだろうなと思う。


だから振られても涙は出なかったし、取り乱す様な事も無かった。むしろ真剣に考えてくれた智くんに感謝すらしていたくらいだ。


だから私は大丈夫!そう思っていたはずなんだけどな。振られた私の前で馬鹿なことをやっている3人を見て安心してしまったのか、私は大泣きしてしまった。


振られた悲しさと、キチンと向き合えた嬉しさとそしてかけがえのない友人がいる喜びと色んな感情がごちゃ混ぜになって涙が溢れてしまったのだ。振られたのに幸せ者だと思うなんて馬鹿げているかもしれないけどそう思ったんだからしかたがない。


こうして私の長い長い初恋は終わりを告げたのだった。それでも後悔が無いのは皆のお陰だ。

だから今度は自分が皆の力になりたい!


心にそう誓った私は今回の事を気にしてそうな2人の事を思い浮かべながらどうやって祝福しようか考えるのだった。

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