エピローグ
「思ったより早かったじゃん!」
「ねぇ!黒澤くんがヘタれてたからもう少し時間がかかるかと思ってた」
久慈川と姫川がニヤニヤしながら俺に向かってそんな事を言ってくる。
言い返したかったがヘタれていたのは事実なので何も言い返せない。
「それにしても私が振られてすぐに告白するとは黒澤くんも中々やるねぇ」
黙り込んでいる俺に姫川が言った言葉を聞いて俺の横にいた杏奈が身体を強張らせたのが分かった。これは付き合った事を久慈川と姫川に伝えようと決めた時に杏奈が一番気にしていた事だった。場合によっては気まずくなってしまう可能性もあったのだが、杏奈が2人には隠したく無いと言うのでこうやって伝えたのだ。
しかし実際に姫川に言われると何て答えたら良いのか分からなくなってしまう。そんな俺達を見て姫川は
「冗談だよ!私ね2人が付き合ったって聞いて本当に嬉しかったんだから」
そう言って笑いかけてくれる。普段からストレートに話す姫川だからこそ心からそう言っているのが分かった。
「私たちの前では遠慮なんてしなくていいんだからね!」
「ありがとう麻由子!」
杏奈も姫川の言葉に安心したようだ。
どうやら姫川は俺達が思っていたよりもすっと強かったみたいだ。
「だから幸せのお裾分けをして欲しいんだよ」
「だよね!私もお裾分け欲しい!」
俺も安心して肩の力を抜いた瞬間、姫川と久慈川がそんな事を言い出した。しかも2人とも、めっちゃニヤニヤしている。
「ほら黒澤くんがどうやって告白したのか全部話してごらん!」
「そうだよ!隠したら承知しないから!」
「そんな恥ずかしいこと言うわけないだろ!
それに杏奈も嫌だよな?」
2人に詰め寄られた俺は杏奈に助けを求めたのだが、杏奈は静かに首を横に振ると
「大輝くん諦めて下さい」
そう言ってあろうことか久慈川と姫川の要求を受け入れたのだ。まじかよ!!
「ほら彼女からのお許しが出たよ」
「男らしく教えなさい!」
杏奈が許可した事で2人を止められるはずがなく、こうして俺はどうやって告白したのかを自分で話すという辱めを受けたのだった。
「いやぁ本当いい話を聞けたよね」
「ねぇ!キュンキュンしちゃった!」
根掘り葉掘り聞き出した久慈川と姫川は楽しそうにしているが俺は恥ずかし過ぎてグロッキーになっていた。ほんとどんな拷問だよこれ!
「これでもう恥ずかしい事なんてないんだから私たちに遠慮なくイチャイチャ出来るよね」
俺は2人に恨みがましい視線を送っていたのだが姫川の言葉でハッとした。これも彼女なりの気遣いだったんだろうな。
「沢山イチャイチャを見せてよね」
「そうそう!見せつけて欲しいくらいだよね」
「ふふっ、では2人が胸焼けするくらい見せつけてあげましょうか」
「杏奈も言うじゃん!」
「えー楽しみなんだけど!」
久慈川と姫川からちょっと変わった祝福をされているが杏奈は嬉しそうにしている。
ほんとコインランドリーでギャルと仲良くなったら彼女が出来るとか春休み前の俺に言っても信じ無いだろうな。
でも俺と杏奈は付き合う事になったのだ。
出来ればこのままずっと笑顔でいて欲しいな。
杏奈の幸せそうな顔を見ながら俺はそんな事を考えるのだった。




