トレーニング
本作品は、句点、かぎ括弧、エクスクラメーションマークを敢えて付けずに編集しております。
○詩を読むように読んでいただきたい
○読者の皆様に、自由に情景を想像して読んでいただきたい
このような勝手な願望からです
一般的な小説と比較すると、大変読みにくくなっておりますことを、予めご理解いただいた上でお読みいただければ幸いです。
高校生になって間もない息子が、ジムに行くと言い、友人とともに家を出た
高校生ともなれば、そんなこともあるだろう、と一般的には思われるかもしれないが、私の息子に限ってはそうではない
何しろ、息子は最近まで友達は一人もおらず、家か図書館で、単身読書をする日々を送っていたからだ
子どもが欲しいという意志を妻と共有してから、余りに長い四年の年月を経て、授かった息子
その時に感じた喜びと不安
今思い出しても心が震える
かけれらる手はすべて差し出し、割ける時間はすべて息子との時間にあてた
完全な親バカの腕の中で育った息子は、早熟で、小学校に入学する頃には冷静すぎる視線と考え方を持っていた
学校のクラスの中でも、かなり浮いた存在だったと思われるが、本人は全くそのことを気にする素振りも見せなかった
他のクラスメイトと問題を起こしたという話も聞かない
それがかえって、私と妻の不安を煽った
しかし、あの友人に出会ってから、息子は変わった
今日もジムに誘いに家まで来てくれた、息子の唯一無二の親友
こう言っては何だが、なぜ息子の親友でいてくれるのか疑問に思ってしまうほど、魅力的な子だ
小動物を思わせながらも、スッと伸びた鼻筋と整った愛らしい唇を持つ顔立ち
何より全てのものを惹きつける、花が舞い踊るような笑顔があった
もっと年を重ねたら、それは誰もがほうっておけないような美男子になるに違いない
そんなことを言うと彼は、やはり眉間を貫いてくるような笑顔を見せてきた
息子が起きている時に見られる活動は、読書と食事に限られていた
そのため、父親でいながら恥ずかしい限りだが、息子が身体を動かすことを好むということに、最近まで気づけなかった
今では家の自室に機材を揃え、トレーニングを始めてしまっている
好きなことは、とことん突き詰める息子のことだ
トレーニングにとどまらず、何か格闘技でも始めれば、近い将来、息子の相手を買って出る者も、喧嘩を売る者もいなくなるだろう
そして、私の手や私との時間を求めなくなるのも、
そう先の話ではないようだ
私も、トレーニングを始めなければならない
息子を送り出すための
嬉しくも物寂しい
いくら鍛えても物足りない
そんな
トレーニングを