表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

『ゆき』の日ポケット

「寒いね」


 彼女がつぶやく。白い息がふわりと冬の空に溶けていく。


 僕は黙って彼女の手を自分のポケットに誘い入れた。指先に触れた雪の冷たさが、彼女の手に残る。


「これで少しはあたたかい?」


 と尋ねると、彼女は小さく頷き、目を伏せて答える。


「まだ寒い…」


 彼女の言葉を聞いた瞬間、ポケットの中で指先に触れた雪がゆっくりと溶けていく。冷たい雪が溶けるように、僕たちの距離も少しずつ近づいているように感じた。


 彼女の頬が薄紅に染まるのを見て、僕の胸にも暖かな灯がともる。僕の心臓が早鐘のように鳴り始め、手のひらの温もりが伝わってくる。


 彼女の手をさらにしっかりと握りしめた。


「僕も、やっぱりまだ寒い」


 彼女の視線が一瞬だけ僕に向けられ、その瞳にはかすかな涙の輝きがあった。彼女は再び目を伏せ、微かに微笑みながら言った。


「寒いね」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 幸せなひとときを感じられる [気になる点] これからどんな人生を歩むのか [一言] 簡潔に読むことができて最高です!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ