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東京異世界派遣 ーー現場はいろんな異世界!依頼を受けて、職業、スキル設定して派遣でGO!  作者: 大濠泉
第一章 東堂正宗派遣:勇者編

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◆22 蝙蝠どもとの空中戦

 俺様、東堂正宗(とうどうまさむね)に、抜かりはない。

 チート能力者〈勇者マサムネ〉として召喚されても、慢心してはいなかった。

 それまでの森の冒険で、雷撃や火炎といった能力を使ってきて、その使い勝手を確かめてきた。

 そして、今、ようやく〈飛翔(フライ)〉を使った。

 が、この〈反射〉という能力は、使ったことがなかった。


 防御系魔力に連動する能力らしいから、自分の身を守ってくれる、ということは想像がついていた。

 が、今までさして強い敵が襲ってきたわけではなかったから、加速や雷撃などで十分対処出来てしまっていて、使い所がなかったのだ。


 今こそ、使うべき能力ーー俺は、そう直感した。


 そして、その判断は、間違ってはいなかった。

 目に見えない圧迫が周囲から押し寄せ、俺は一瞬身体を縮こませた。


(なんだ、この圧力は!?)


 だがしかし、不可思議な圧力を感じたのは、ほんのわずかな合間だった。

 やがて、俺が空中で丸く(かが)んだような態勢から、一気に四肢を大きく広げてバンザイをしたときには、戦況が大きく変わっていた。


 キイイイイ……!!


 気づけば、蝙蝠男どもが甲高い悲鳴をあげて、次々と落下していく。

 苦しそうに、無念そうに、ヤツらが落ちていくさまを見て、俺は腹の底から喜びを感じた。


「ははは……。ざまあみろ!

 勇者を舐めんな!

 俺様は、宇宙レベルの男だぞ!」


 自画自賛の言葉が、次から次へと口から出でくる。

 爽快感がこみ上げてきた。

 蝙蝠男たちが負けた理由についてわかった気がするから、よけいに俺の気分は(たかぶ)っていた。


(ヤツら、自滅したんだ。

 やっぱり〈反射〉ってのは、敵の攻撃を跳ね返すものだったんだ!)


 ヤツら蝙蝠の格好をしてるから、おそらく超音波かなにかで攻撃を仕掛けてきたのではあるまいか。

 その超音波が〈反射(カウンター)〉によって跳ね返されて、攻撃を仕掛けた彼ら自身に襲いかかったーーそういうことだったのだろう。


 事実、蝙蝠型の魔族にとって、人間の姿をした俺様が、空を飛んで攻撃を跳ね返すことは、よほど予想外の出来事だったらしい。

 あるいは、自分たちの超音波攻撃に絶対の自信があったのか。

 超音波が通じない俺様に恐怖したとみえて、蝙蝠男どもは四方八方に逃げ散っていった。


「はっはははは!」


 空中でドヤ顔になって、呵々大笑(かかたいしょう)する。

 すると、俺の(たかぶ)りは、一気に終息していった。

 逃げ去っていく敵軍の後ろ姿を眺めて、ようやく人心地ついた。

 俺は空中にあって、大きく深呼吸し、目をつぶる。


(危なかった。

反射(カウンター)〉能力を付与されていて、助かった……)


 ヤツら、蝙蝠男どもの身体は、黒光りしていた。

 身体を覆う剛毛も皮膚も、異様にツルツルしていた。


(これは勘なんだがーーアイツらの身体って、熱耐性や電気耐性が強かったんじゃなかろうか……)


 あらかじめ、俺の得意技である雷撃や火炎攻撃に対抗できる(すべ)があるからこそ、ある程度の距離を保ちながらも接近して来て、輪になって攻撃を仕掛けてきたのだろう。


 だとしたら、蝙蝠型魔族どもは、今まで森の中で、俺様がどのようにして魔物相手に戦ってきたかを、熟知していた可能性が高い。


 猪型の魔物ですら、集団攻撃を仕掛けてくるような知性があった。

 魔物同士、連絡をとりあっていても、不思議ではない。

 俺が今まで多用してきた雷撃や火炎では、役立たなかった可能性がある。


(むう……。〈反射〉能力がなかったら、さすがの俺様でも、死んでたかも。

 一見すると、呆気なく勝ったようだけど、冷静に考えてみると、どうにも危なかったんじゃないのか……?)


 そうだよ。

 もとよりこの場所ーー魔王城の(ふもと)にまで、誘い込まれた状況なんだ。

 チート能力で、敵の一軍を退けたといっても、まだ戦闘は続行中だ。


 俺は冷や汗を拭い、俺を召喚した人間たちーー〈仲間〉の状態を確認するため、視線を下に向けた。


 すると地上では、やはりヤバイ状況が展開していた。

 聖女パーティーのもとに、魔族の竜騎兵団が突撃していたのだ。


 俺が空に飛び上がった結果、陸上の敵の攻撃が、すべて人間パーティーの防御障壁バリアーへと集中してしまっていた。


 見れば巨大トカゲが三匹ずつ体当たりを仕掛けてきて、それをなんとか防御している状態だった。

 さらにトカゲに乗る竜魔族は槍を掲げ、穂先から稲妻を発している。


 聖女様たちは、必死の形相で戦っていた。

 トカゲの稲妻を、なんとか弾いている。


 ーーが、脆弱な魔力での防御では、長く()ちはしない。

 いずれ魔法防壁が破られて、人間連中が魔族に喰い殺されるのは、時間の問題にみえた。


(まずいな……)


 俺は空中にあって、口をへの字に曲げる。

 これじゃ、「俺様の活躍を見ろ!」と見得を切っている場合ではなかった。

 みな、青褪()めて、身を守るのに精一杯じゃないか。

〈勇者〉であるマサムネが、敵の攻撃を避け、とっとと上空に逃げてしまった結果ともいえる。


(これは、まずい。

 俺は逃げたんじゃなくて、空の敵に対処しようとして、上に飛んだつもりだったんだがーーこのままじゃ、ひ弱なアイツらを(おとり)にして、俺だけが空に飛んで逃げたみたいになってんじゃん?)

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