表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/290

◆7 勇者マサムネ、いきなり大ピンチ!?

 俺、東堂正宗(とうどうまさむね)は、魔王を倒すべく、日本東京から、この異世界に派遣されてきた。

 そして、〈勇者マサムネ〉として、初めて魔法を使うことにした。

〈雷撃〉という、カミナリ系の攻撃魔法であった。


「出でよ、雷撃ッ!」


 俺様の掛け声に応じるがごとく、手の平が金色に輝く。

 すると、シュシュシュシュという、空気を裂くような炸裂音がしたかと思うとーー。

 いきなり、雷状にジグザグとした光線が、両方の手の平から発せられた。


 まぶしい光に、反射的に目をつぶる。

 と同時に、ゴオオオ! と轟音が響き渡った。


 その瞬間ーー。


 五、六頭もの化け物が、凄まじい勢いで吹っ飛んでいた。


「やべえ、なんて(パワー)だ!」


 焼け焦げた化け物どもを目にして、思わず、声が出てしまった。

 近くで固まっていた人間様一行に、危うく被害が出るところであった。

 幸い、神官らしき格好をした綺麗な女の子は、間一髪で避けてくれたようだ。

 正直、危なかった。


 俺は人間たちに向かって、大声で叫んだ。


「こら、おまえら。

 危ないぞ、距離を取れ!」


 俺様に怒鳴(どな)られて、人々がようやく俺の姿を目に止めたようだ。

 次いで、仲間同士でささやき合う。

 幸い、俺の言葉がわかるみたいだ。

 さすが、万能設定。

 言葉が通じなかったらどうしよう、と思っていたところだ。


 でも、彼ら現地人たちの反応は、(かんば)しいものではなかった。

 洩れ聞こえてきた言葉が伝わってくる。


「そんな……」


「距離を取れっていっても……」


 みな、青い顔をして、戸惑っているばかりだった。


 たしかに。

 よく見たら、そうだよな。

 魔物に周囲を取り囲まれてる最中だもんな。

 距離の取りようがない……。


 と思ってたら、いっせいに魔物たちが、俺の方に駆け寄ってきた。

 人間様一行の向こう側にいた連中までが、ついさっきまで狙っていた獲物を無視して、一目散に俺の方に駆け寄せてきたのだ。


 地鳴りが響きわたる。

 魔物どもの迫力が凄い。


(おお、兵力分散の愚を犯さぬとは。

 結構、統率が()れてんな、魔物(コイツ)ら!)


 魔物の能力に、感心しきりである。

 ヤツらの角が、青やら黄色やらに光りながら、明滅している。


 アレで指示を出し合ってるんだろうか。

 知性があるんだな。魔物ってのは。

 だから、人間が追い込まれているわけか。


 だが……。


 俺は全速力で走った。

 そして、魔物の間を()り抜けていく。


 魔物にしてみれば、いっせいに襲いかかってきたつもりなんだろう。

 だが、いかんせん、俺、〈勇者マサムネ〉の動きの方が速い。

 魔物どもが集まってくるのを逆手に取って、彼らの隙間を縫うようにして動き回った。

 そして、ヤツらの急所であるはずの首筋に、雷撃を発射し続けた。

 至近距離だ。

 おかげで、わずかなエネルギーだけで、仕留めることができる。


 雷撃だからといって、無理にエネルギーを強くして、焼き焦げにする必要もない。

 光線を(かたまり)にするような感覚で、俺は手の平から弾丸を撃ち込むようにして、一頭、一頭、攻撃していく。


 俺が魔物とすれ違うたびに、血飛沫があがる。

 緑の血だ。


(なんだか、汚いかんじだな。やっぱ、血は赤くないと……)


 ーーなどと、マントの汚れなんぞを気にしたことが、油断だった。


 ガッ!


 鈍い音がしたと思ったら、赤い血飛沫があがる。


(なんだ!? いきなり、人間の血みたいじゃないか?)


 ふと左手を見たら、なんと、俺の右腕がもげていた。

 肘のあたりからザックリと、肉が食いちぎられ、骨が露出していたのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ