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1.男子大学生の僕、女子高校生を助ける

連載版を投稿することにしました!

 僕の名前は香西陽人(こうざいはると)。この春に田舎から上京してきた大学一年生だ。

 一人暮らしという自立した生活。全く知らない都会という環境。初めてのことが多く戸惑うことも多かったが一か月もすれば慣れてきた。


「お、あの建物に敵が見えた」

「オッケー回り込むわ」


 そして今日はゴールデンウイーク最終日。いつも通り大学でできた友人の玉木健太(たまきけんた)とボイチャをしながらゲームをしていた。


「じゃあ俺は正面から行くから挟み撃ちな」

「了解」


 いつも通り作戦を立てて敵がいる建物に突撃しようとした時にその声は聞こえた。


「きゃー--!?」


「ん?」

「どうしたんだよ」


 イヤホンをつけてゲームをしているため良く聞こえなかったが、女性の悲鳴が上がった気がする。健太には僕のマイクを通して聞こえたりしていないみたいだ。


「すまんちょっと様子見てくる」

「様子見てくるって何が?てっヤバイ!?敵がき―――」


 イヤホンを外して耳を澄ませる。しかし女性の悲鳴なんて聞こえてこない。気のせいかとも思ったが一つ疑問に感じる。


「なんかいつもより隣の部屋から物音がするな」


 このマンションは防音壁とかにしているわけでないため、多少は隣の部屋の生活音がする。だが特に今日は隣の部屋から音がしている。部屋の模様替えでもしているのだろうか。

 でもなんか妙に胸騒ぎがする。


「いってみるか」


 部屋を出て隣の部屋の前に立つ。このマンションは三階建てで、僕の部屋は三階の奥から二番目の部屋。そして物音がしたのは一番奥の部屋だ。

 インターホンを鳴らしてみるが誰も出てこない。


「おかしいな人はいると思うんだけど」


 物音がしていたから人はいると思う。だけど誰も出てこない。夜遅いから不審がられているのかな。

 諦めて部屋に戻ろうとしたとき、部屋の中から何か「うー、うー!」という音が聞こえた。


「え…?」


 映画の見過ぎと言われるかもしれないが、助けを求めようと声を出すが口を押えられているようなものだった。気のせいでもなくずっと聞こえてくる。


「…………」


 僕は軽くドアノブをひねるとドアはガチャリと音がする。鍵が開いている。

 高鳴る鼓動を抑えて、恐る恐るドアを開いた。


「!?」


 部屋は少し争ったような形跡があり皿が割れているなど散乱している。。そして部屋の奥のベッドの上で、女の子が男に押さえつけられているのが僕の視界に映った。

 気づいたら体は動きだしていた。


「何してるんですか!?」


 僕は男の身体を掴んで女の子から引きはがし、力任せに投げ飛ばした。

 

「な、なんだ君は!?俺と琴美ちゃんの愛の邪魔をしやがって!?」


 男は激怒して、僕に向かって叫ぶ。男からは清潔という言葉のせも感じられないような見た目であった。年齢も四十は超えているだろう。いい大人がこんなことして。


「大丈夫?」


 ベッドの方にいる女の子に声をかける。見た感じ外傷はないが、目には涙が浮かんでいる。力任せに押さえつけられて、口も塞がれていたから苦しかったと思う。


「この人が急に部屋に入ってきて…」

「琴美ちゃん、俺だよ俺!挨拶してくれたじゃんか。君が俺の気持ちにこたえてくれたから部屋に来たのに酷いじゃないか!?」

「ひっ…」


 女の子は怯えた表情をする。

 このやり取りでなんとなく関係性などが分かった。この男はこの女の子のストーカーで、挨拶をされたことを勝手に自分のいいように勘違いして部屋まで乗り込んできたのだろう。


「もしかしてお前は琴美ちゃんの彼氏なのか!?」

「いや、隣の部屋の者ですが」

「じゃあ関係ないだろ邪魔をするな!?」


 男は僕にとびかかってきて取っ組み合いになる。格闘技経験なんてないし、高校生まで運動部に所属していたぐらいなため取り押さえるような技なんて知らない。


「逃げて!」


 怯えてしまいベッドの隅で固まってしまっている女の子に向かって叫ぶ。


「え?」

「絶対この男を部屋からは出させないから逃げて!」

「は、はい!」


 女の子は足に力が入っていないのかたどたしくはあるが、部屋の外に向かって走り出した。


「この!」

「うっ…」


 僕は顔を殴りつけられてひるんでしまった。多分鼻血がでてるなこれ。


「待って琴美ちゃん。どこいくの!?」

「ひっ」

「琴美ちゃ――うおっ!?」


 僕は男の足に飛びついて体勢を崩した。絶対に女の子の後は追わせない。


「こ、この!邪魔なんだよ!?」

「うるせぇ、お返しだ!」

「ぶへっ!?」


 僕は仕返しに男の顔を殴った。倒れたところを馬乗りになって押さえつける。


「は、離せ!」

「君たち何をしている!」


 暴れる男を必死に抑えていると、ドアから多くの男の人が入ってきて僕と男を引きはがして取り押さえた。どうやら警察官が来てくれたらしい。僕は特に抵抗せず警察官に従った。相変わらず男の方は「琴美ちゃんに会いたいだけなんだ!」と暴れている。

「女性の悲鳴が聞こえた」「争っている声がする」と他のマンションの住人が電話してくれていたらしい。

 それからパトカーの中で事情聴取を終えて僕は部屋に戻ることができ、男は逮捕された。

 男はこのあたりに住む無職の男で、たまたまマンションから出てきたさっきの女の子を見て、一目惚れをしてストーカー行為におよんだらしい。

 それから女の子が男に挨拶をしたことで勘違いをして、部屋まで来て襲おうとしたようだ。

 警察の人からは「君は本当に勇気がある人だよ」「さっきは取り押さえてすいません」「ご協力ありがとうございます」と声をかけてくれた。

 男に俺は暴行されたことによって慰謝料などといった手続きなどがいろいろあるが、今日は夜も遅く疲れたため部屋で寝ることにした。


 


 

 

今日の作者の一言「泥臭い戦いが好き」

よろしければ執筆の励みになりますので感想・ポイント評価・ブックマークをよろしくお願いいたします!

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