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映画を観た。感想を書いてみた。  作者: 依馬 亜連
2026年視聴

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118/122

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』

【作品情報】

製作:2022年/82分/日本

監督:竹林亮

出演:円井わん/マキタスポーツ/長村航希

ジャンル:大人の青春SFコメディ

(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)



【ざっくりあらすじ】

Zコミュニケーションという小さな広告代理店で働く吉川(よしかわ)は、憧れの事務所からヘッドハンティングを受けており、そこからの無理難題な依頼をこなそうと職場にお泊り上等で働いていた。

出世の鬼と化した彼女は、恋人との関係もギスギス中。


しかし10月25日の月曜日の朝、オフィスの窓ガラスに白鳩が激突した時に後輩の遠藤(えんどう)村田(むらた)から、ある話を切り出される。

「実は僕たち、この一週間を繰り返しているんですよ」


「なんだこいつら。仕事のしすぎで頭イカれたのか?」と話に取り合わない吉川。

しかし二人はその後、吉川や事務所に訪れるトラブルを予知して逐一彼女に告げて来る。

そして彼らからのアドバイスにより、吉川もループを自覚することに。


いち早くループの事実に気付いた遠藤と村田は、この怪奇現象の原因が永久(ながひさ)部長のブレスレットにあると考えていた。呪われてるんだってさ。

だが下っ端の二人や、若手枠の吉川が言ったところで部長が信じてくれるとも思えない。


そこで二人は、先輩の吉川→中堅の森山(もりやま)→古株の(たいら)の順でループに気付いてもらい、最終的に部長を落とすという上申作戦を立てていた。


シゴデキな吉川が加わったおかげか、森山・平をサックリ攻略するループ自覚組。

こうして一致団結した面々は、永久部長を会議室へ引っ立ててループの事実を突きつける。


そう、PowerPoint(パワポ)を使って!



【登場人物】

吉川:

Zコミュニケーションで働く、常に目が半開きで据わっており、肝も据わって態度も悪い限界プランナー。

ループ自覚前は服が全然変わらない点からも、彼女の私生活の終末ぶりが窺える。

元々は自分本位で上昇志向が強すぎる性格だったが、ループ地獄で右往左往する内に周りへの気遣いを覚えた。えらい。


永久:

社長っぽいデッカい机に座っているが、社長でなく部長。手首に付けている緑の数珠は、どうやら呪われたグリーンダイヤモンド製らしい。どこで買ったん?

取引先に謝罪をする時は、たとえ電話口であっても正座をするタイプ。

マンガが好きらしく、出勤してくる時はいつも小脇にマンガ誌を挟んでいる。そしてテンションがバカ高いので、疲れ切った社員の神経をキレ~イに逆撫でる。


遠藤:

吉川の後輩で、早々にループに気付いた奴その1。

なおループに気付いた当初は、仕事をサボって海外旅行に出たりとやりたい放題をしたこともあったらしい(が、ループに抜け出した後が怖くて止めた)。


村田:

吉川の後輩で、早々に気付いた奴その2。爽やか眼鏡くん。

オカルト雑誌『ヌー』の愛読者で、ループの原因が部長のグリーンダイヤモンドにあると突き止めた人。


森山:

吉川の先輩で、ちょっと小太りでアイドル好き。

ループに気付く前は、毎回引き起こされているビルの停電に巻き込まれ、好きなアイドルグループのライブチケットを取り損ねていた。


平:

おそらく最古参のイケオジ。

ちょっと口が悪いが、仕事が出来るので担当している業務量は一番多い。

なお手が空くと、脳死で出来そうなスマホゲームを始める。この人も、そろそろ駄目そう。


聖子(せいこ)

事務所でただ一人の事務員さん。

基本的に無口で、他の面々とはあまり絡まない模様。


崎野(さきの)

吉川が憧れる、木本(きもと)事務所で働くおじさん。なんか雰囲気が、平成の頃の石田純一さんっぽい。

電話での名乗り口上が大っっ変ねちっこく、相手の都合をガン無視して超無茶振りをかましてくる。呪われろ。


木本(きもと)

吉川の憧れの女性で、木本事務所のボス。

ある意味、諸悪の根源。



【感想など】

裏切られたー!

こちらの

「なるほど。『リバー、流れないでよ』的なアホアホSFコメディやね。部長役、マキタスポーツさんやし。ふふん」

という侮りを、綺麗に裏切られたー!見事でござる!


たしかに立派なアホアホSFでもあります。

あります、が。本質はそこでなく。

本質はもっと小規模で生活臭が漂う、毎日を惰性で生きながらも皆のために頑張っていた男がちょっとだけ報われるという、大変あったけぇ話でした。

あったけぇよぉぉ……社会に疲れ切った人間に、染みわたる……もう、終盤なんてずっと泣いてました。感涙でした。


マキタスポーツさんが演じており、物語序盤ではウザキャラ一辺倒だった部長(吉川もそれを凌駕する性悪ウザキャラでしたが)が正にダークホースです。


部長は一見すると無駄に元気なウザキャラだけど、どんな人にも二面性はあります。

物語が進む中で、吉川は自分が憧れていた事務所の嫌な真実を垣間見てしまい。

そして同時に、部長が自分たち部下に注いでくれている惜しみない優しさにも気付く。

彼には周りを優先するあまり、諦めてしまった夢があることも。


この、部長の諦めてしまった夢も、終わらないデスマーチに深くかかわっていることが発覚します。

ループを終わらせるため、そして惰性で生きている部長に夢への一歩を踏み出してもらうため、吉川を含めた愉快な部下たちは部長の後押しを始めるわけですよ。


アホアホSFお仕事ものかと思いきや……突然の、青春!あるいは現代の寓話!

そう、大志を抱くのに年齢制限なんてないんすよ!

この青臭さ&泥臭さ、嫌いじゃないです!むしろ好きィ!


なお皆で部長をアシストをする中で、ループという設定?仕様?が上手く生きています。

元々ループを利用して、仕事効率をアホほど上げていたシゴデキ集団ではあったのですが、アシスト作業も周回によってどんどんクオリティが上がっていきます。

この辺はぜひ、本編で観ていただけますと幸いです。


この辺の合理的というか「転んでもタダで起きるわけねぇだろがい!」な感じも大好きです。

人間、ちょっとはちゃっかりしている方がいいよね。


また吉川と部長以外の、Zコミュニケーションの他の面々も揃って魅力的です。

物語はほぼほぼオフィス内で展開するため、彼らの私生活は全然分からないものの。

ちょっとした仕草や服装、あるいはデスク(の惨状)でしっかり個性が立っていて大変勉強になります。


個人的には平さんが一番好きです。薄手のTシャツ姿でウロついていることが多いのですが、なかなかいい筋肉をお持ちです。あと口が悪いけど有能な点も大変好ましい。

パワポで部長を分からせるシーンで、貴重なスーツ姿を披露してくれる点もあざとくていいね。絶対モテるでしょ、こいつ。


この分からせパワポや、外注したPVのクソ品質ぶりに一同でドン引きするシーン等々、泣き所だけでなく爆笑ポイントもたくさんあります。だってアホアホSFだから。

誇張なく「笑って泣ける」なよき映画でした。


――と、素敵な仲間たちと頑張る、光のお仕事青春映画でもある本作ですが。

序盤は吉川・部長以外のメンツも漏れなく感じが悪いです。というか全員、空気がギッスギスです。

ポップでオシャレな事務所内も、どことなく小汚い雑居ビル(たぶん築50年。上の階はサラ金事務所で、隣には不法入国者の営む中華料理屋がある)の一室に見えちゃう。


ちなみに途中で暗黒面がこんにちはする、吉川憧れの木本事務所は、オフィス自体も胡散臭いバーみたいに薄暗いです。

徹底してやがる。


実は朗らかでいい奴らですら、たちまちカスに変えてしまう激務もとい労働……生きる糧を得る手段とはいえ、あまりにも実害が多い。

違法薬物レベルで心身を蝕みすぎ。


やはり労働は悪、という当たり前の事実を再認識した次第です。

欲しいよベーシックインカム!

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