『ズートピア2』
【作品情報】
原題:Zootopia 2
製作:2025年/108分/アメリカ
監督:ジャレド・ブッシュ/バイロン・ハワード
出演:ジニファー・グッドウィン/ジェイソン・ベントマン/キー・ホイ・クァン
ジャンル:愛が重すぎバディの刑事ドラマ~謎パロディを添えて~
(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)
【ざっくりあらすじ】
新人警察官のジュディと、元詐欺師のニックがバディを組んで一週間が経過。
二人は税関職員の密輸容疑を探るために、上司・先輩の指示をガン無視で勝手に潜入捜査をかました挙句、逃げた職員とのカーチェイス並びに、ズートピア市政100周年の記念式典への乱入を敢行。
逃亡した税関職員は逮捕したものの、式典にも踊り込んだおかげでマスコミのカメラにばっちり、二人(というか主にジュディ)のあぶない刑事ぶりを撮られちゃった。
結果、二人は先輩たちからおちょくられ、そしてボゴ署長からは不仲バディが受けるパートナー・セラピーの受講を強制される。
「セラピーをちゃんと修了しないと、マジでお前らバディ解消だからな!」
と極太な釘も刺された。
しかし税関職員が逃亡に使ったケータリング社のバンの中で、ジュディは爬虫類の皮を見つけていた。
ズートピア市内に、爬虫類は住んでいないはずなのに――ジュディは即座に、爬虫類の密入国を疑った。
そして密入国疑惑を捜査して手柄を立てたいと、事実上謹慎を言い渡されているのに前のめりに。
生き急いでる彼女はあるニュース番組で、ズーテニアル・ガラ(メット・ガラと同じく、セレブがめっちゃ集まるおハイソなおパーティー)の会場近くに、昼間見たケータリング社のバンがいくつも並んでいるのを見つけた。
「絶対何かあるって!ここに密入国した爬虫類がいるって!」
そう信じて疑わないジュディは、超渋々なニックを引っ張ってズーテニアル・ガラの会場へ潜入。ちょっとは懲りろ。
そこにはズートピアで最も裕福なリンクスリー一族も出席しており、そして一族の祖先の日誌も特別展示されていた。
日誌には、ズートピアの設計書も記載されているらしい。早い話が特許にまつわる書類なんだってさ。
金属製でシャレオツな表紙の日誌だなー、とジュディが呑気に考えていると、ニックが不審な影に気付く。
ジュディの推理通りというか期待通りというべきか、影の正体はヘビだった。
爬虫類をほぼ見たことがないガラの参加者は大パニック。
そしてヘビはその隙に、リンクスリー家当主のミルトンと日誌を強奪して逃走。
慌ててジュディが追いかけるも、追いついた先で言葉を交わしたヘビ――ゲイリーがどうも悪人には見えなくて……というか、ミルトンが極悪人面過ぎるんだが。
こいつ絶対、人殺してるって。
【登場人物】
ジュディ:
ウサギと呼ぶにはあまりにも暴れ馬で猪突猛進なウサギちゃん。相棒への愛は超重い。
しかし艶々の毛並みと少し黒い鼻筋、そしてピンクのお鼻があまりにも可愛い。
圧倒的暴力で黒幕を追いつめている場面で超楽しそうだったので、この子に相応しい職場は軍隊または西部警察署と思われる。
自分がボゴ署長だったら、胃潰瘍で毎週倒れてそう。
相棒への愛もデカければ、自分への理想も大きい。そのため理想と現実の落差を前に、空回りしがち。優等生タイプの若者あるあるだ。
ニック:
小さい頃に受けた種族差別がトラウマで、今も斜に構えた姿勢を崩さない流し目キツネさん。相棒への愛が激重。
ジュディのことを通常時は苗字の「ホップス」、茶化す時は「ニンジン」、真剣な時は「ジュディ」と呼び分けており、くっそあざとい。
紆余曲折な人生を送っているためか、ふざけた態度に反して心配性かつ卑屈。
あとたしか三十過ぎのオールドルーキーなので、ガチルーキーのジュディはもうちょっと年齢差も考慮して労わってあげて欲しい。三十越えるとな、徹夜もキツいんやで。
ゲイリー:
ズートピアに不法入国した、愛嬌があり余っている毒ヘビ。仲良し家庭で育った子ならではの、天真爛漫さが眩しい。
吹き替えだと下野紘さんの情けないお声付きのため、表情と相まってこちらの庇護欲をとんでもなくくすぐって来る。ニックに引き続き、あざとい男子が増えてしまった。
なおペン型の血清を持ち歩いているけれど、その血清を打つ時に流れる自動音声が物騒。
こんな商品、誰が許可したんだよ。
パウバート:
富豪リンクスリー家のボンクラ末っ子。
身内である兄と姉と父からもボンクラ認定を受けている、ある意味で由緒正しいボンクラ。ゲイリーとの家庭環境の落差で泣けてくる。
性格も毛並みもポヤポヤとした頼りないヤマネコ青年で、勝気なジュディに憧れているらしい。
で、色々あって、最終的にはジャック・ニコルソンと化す。わけがわからないよ。
ミルトン:
パウバートのパッパで、分かりやすく悪い金持ち。人相も悪い。
日誌に隠されたある秘密がバレないよう、ゲイリー(と成り行きでジュディ&ニック)の命を狙う。
なお超お金持ちなのに、パウバートもこの人もヒゲがだらしなく曲がっている。それは寝癖?それとも癖毛の遺伝?
ニブルズ:
ポッドキャストの配信者で、得意分野は陰謀論とピッキングなビーバー。
日本だとなんとなく、神保町辺りに住んでそうな飄々お姉さん。
年下の男の子のこと「少年」って呼んでそう。ビーバーだけど。
爬虫類たちの噂にも詳しく、中盤からジュディたちの協力者になってくれる。
パンフレットによると、ジュディは彼女のチャンネルのファンらしい。警察官が陰謀論信者て、お前……
ラス:
ジュディたちを、爬虫類たちが隠れ住む場所まで案内してくれるセイウチ。
登場シーンはわずかなんだけど、浮き輪ビキニという大事な部位が丸見えなハレンチ衣装を身にまとっているので要注目。
もちろん毛は生えてるので、お子様も安心してご覧いただけるハレンチ衣装です。
ウィンドダンサー市長:
元俳優のイケメンなウマ市長。いつも胸元がはだけており、そこにポップコーンが付いてるなぁと思ったら巻き毛の胸毛でした。
体毛あるのに胸毛?と思ったけどこれ、きっと気にしたら負けのやつだわ。
1のアレコレから察するに棚ぼた当選市長だからか、あまり頭も察しもよくなさそう。
ちなみに、金に物を言わせるミルトンから
「ジュディに辞めさせられる、三人目の市長になりてぇのか!?」
と脅されていた。その脅し文句は、現実味を帯びすぎてて怖いんよ。
ボゴ署長:
1では高圧的な印象が強かったけど、2では暴走するジュディに
「お前がやらかせば署内メンバーだけでなく、お前に続くウサギの警察官たちも白い目で見られてしまうんだぞ?」
と、むちゃくちゃ真っ当なお説教をしていた。
が、色々あって今回は出番少なめ。
ベルウェザー:
前作で黒幕を務めた、三日天下市長なヒツジ。
現在は刑務所に収監中だけど、どう見てもハンニバル・レクター博士です。
一体何があった。
【感想など】
制作陣というか監督にお尋ねしたいことがございます。
それは――メインターゲットが子どもであろうアニメ映画で、まあまあな尺を取って『シャイニング』の巨大迷路シーンをパロっちゃおうと、誰が言い出したのかということですよ。
BGMも、同作のOPテーマに寄せてたし。ガチじゃん。
「ディズニー映画ってヴィランの転落死が多いから、ウチも転落させて足を怪我させて引きずらせましょうぜ。本家みたいに!」
とか言って盛り上がったんか?
一体何考えてんのよ。
子どもに80年代ホラー映画のパロディを見せて、何がしたかったのよ。絶対分からんし。
おかげで中年の自分はむちゃくちゃ笑っちゃったよ、ありがとうございます。
なおパンフレットによると、ストーリー・アートと呼ばれるチームに所属するスタッフさんを集めて、皆で色んなギャグ・小ネタを考えてはケラケラ笑いながら脚本に盛り込んでいったそうです。
なんだそれ、絶対楽しいヤツやん。みんなでラクガキとかもしまくって、
「『レミーのおいしいレストラン』とか『塔の上のラプンツェル』の自社パロも入れたんで、『羊たちの沈黙』パロもいけますって!」
みたいなこと絶対言ってるやん。ノリが放課後の高校生と大差ないやん。
でもそんな、ある意味無責任なノリから生まれたアイデアであろう、元気いっぱいのバカバカしさが最高でした。
ベルウェザーのハンニバル博士風の立ち姿もそうですが、カメラワークとかもオリジナルに忠実なのよ。この妙な義理堅さが、バカバカしさに拍車をかけていました。
もちろん、ただのバカ映画ではありませんし、ディズニーもそこまで捨て身ではありません。されても困る。
お互いに愛が重すぎてギクシャクと噛み合わないバディの、いざこざを抜けた先に待っているハイパー仲良しタイムという、関係性オタクにぶっ刺さるご褒美も用意されています。
ついでに前作でニックに狂わされたファンへの気遣いも、ちゃんとございます。
いざという時の「ジュディ」呼びもそうだけど、彼女から貰ったニンジン型レコーダーをずっと大事に持ち歩いててさ……なんそれ。キュン死にする。
もうお前ら、なんでそれで付き合ってないんだよ!!
ですがジュディとニックの、友情とか恋愛とかを越えて宇宙の彼方へ飛び出した、もはや「バディ」以外に表現方法が見つからない関係性に、今回も脳をぶち抜かれました。あーっ!
男女バディはくっついてくれると嬉しい派なのですが、そんな性癖に基づくこだわりなど、二人の前ではマジ些末。
両者ともに、相手のために命賭けてるんだもん。相手が最優先なんだもん。
こんなガッチガチの絆をお出しされて、更に求めるものとかないんよ。
そして3を作る気満々な空気をかもしているので、ぜひ3でも「お前らなんで、それで付き合っとらんの!?」と叫ばせてください。ずっと仲良しバディでいてくれ。
で、肝心の本編も面白くて。
1では人間社会でも根深い人種差別問題を、草食/肉食動物間の相互不理解に置き換えて説教臭さをエンタメに昇華した傑作でしたが。
今回はズートピアという「全ての哺乳類にとっての理想郷」の秘密に切り込んでいるので、SFアドベンチャーっぽさも増し増しです。爬虫類という「いなかった」ことにされた種族の謎が絡んで来る辺りも、未知への好奇心をくすぐる。
これも現実での、先住民族問題なんかの置き換えなのかもですが。
またズートピアの外にも動物たちの国があるようで、物語の世界も広がってよきですね。
作中に出て来る古い文献とかでチョロっと「人類という種が滅んで○万年」みたいなフレーズを出して、ポストアポカリプスを匂わせてくれてもよくってよ。
ってか大歓迎です。
新キャラも軒並み濃厚うまだれな味付けで、前作からの続投キャラに見劣りしない点もすげぇなと。
特にヘビという、現実にもあまり好かれない種族であるにもかかわらず、メインを張ってるゲイリーが可愛いのなんの。
外見は鋭い牙にゴツゴツしたウロコと、まごうことなきヘビなのに表情がずーっとアホっぽくて、あら可愛い。
アホ可愛いだと1から続投しているクロウハウザー(ぽっちゃりヒョウ君)もいるのですが、彼ともキャラが被らず、まあ可愛い。
おまけに弟キャラでして。
いつも周りから小娘扱いされてるジュディが、ゲイリー相手にはちょっとお姉さんぶってるのもいいよね。
もしかしたらこいつ、映画界で一番可愛いヘビかもしれない。
一番可愛いは言い過ぎかもだけど、映画界で一番ピュアな目をしたヘビであることはたしか。アシタカ並みの曇りなき眼です。
ターゲットの年齢層を無視して、色んなオモロ要素を入れた製作陣にありがとうと伝えたい一方、ゲイリーの吹き替えに下野紘さんを選んだ日本のスタッフさんにも御礼申し上げたい次第です。
甲高くて哀れっぽいのに人懐っこさもある声が、あまりにもぴったり。
3でもポヤポヤしながら、ジュディたちと一緒に頑張っておくれ。




