『プリティ・ウーマン』
【作品情報】
原題:Pretty Woman
製作:1990年/119分/アメリカ
監督:ゲイリー・マーシャル
出演:リチャード・ギア/ジュリア・ロバーツ/ラルフ・ベラミー
ジャンル:これぞ!なロマコメ
(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)
【ざっくりあらすじ】
ニューヨークでブイブイ言わせている実業家のエドワードは、企業を買収して金を稼ぐことだけは上手いものの、私生活では恋人に電話で別れを告げられたりと仕事以外に何もない男だった。おまけに車の運転もド下手。
そんな彼が滞在中のハリウッドで道に迷い、新人コールガールのヴィヴィアンと出会う。
ヴィヴィアンの商売女らしからぬ無邪気さや欲のなさを気に入った彼は、一晩彼女をお買い上げすることに。
翌朝、現在買収を考えている会社社長であるモース氏との会食が決まった。
顧問弁護士のフィルから「絶対場が冷えっ冷えになるから、きゃわわな女の子も連れてどうにか和ませろ」と厳命されたエドワードは、ヴィヴィアンにパートナーをしてもらうことに。
ヴィヴィアンも6日間雇われたら3,000ドル貰えると知って超乗り気。
エドワードからお金を渡されて早速ドレスを買いに行くも「拙者、街娼でござる!」な服装が災いしてビバリーヒルズの高級店から追い出されてしまった。
二人が滞在中のホテルの支配人トンプソンがそれを見かね、彼女がホテル内のブティックを利用できるよう手配。
ついでにテーブルマナーも教えてくれたりと、超親切。
ちなみにモース氏との会食は当初の予定以上に冷えっ冷えっ!だったうえ、トンプソンも予想できなかったエスカルゴが出てきてヴィヴィアンはカタツムリを高級店でかっ飛ばす羽目になった。誰だ、エスカルゴ頼んだの!
しかしこの会食のやり取りから、ヴィヴィアンはエドワードがモース氏を気に入っており、内心では買収にも乗り気でないことを見抜いた。
この件がきっかけで、二人の距離が近づくことに。
途中、ヴィヴィアンの職業を知ったフィルが「次は俺にもヤらせてくれよー」とウザ絡みをしたり、そこからエドワード VS ヴィヴィアンの喧嘩に発展したりといったハプニングもあったものの、気付けばお互いに利害関係を超えて想い合う仲に。
しかしバツイチかつ、ちょっと前に恋人にも捨てられたばかりのエドワードが、ここで突然のこじらせを披露。
あろうことかヴィヴィアンに、「僕と契約して、愛人になってよ」と提案したのだ。
お前、それで快諾してもらえると思ってたのなら、おめでたいにも程があるってよ……
無理ゲー過ぎる提案をかますエドワードと、彼とのハッピーエンドを臨むヴィヴィアン。
平行線な二人は、無事に幸せになれるのだろうか。
【登場人物】
エドワード:
父親が慰謝料もなしに母親を捨てたことで、人生をだいぶこじらせている実業家イケオジ。
音楽教師だった母の影響でピアノもめちゃ上手だが、私生活では運転下手・カードキーが使えない・ネクタイを結ぶのも苦手というどポンコツ。
この男、生きる力が低すぎる……
色々こじらせているためか中身が結構クソガキで、ヴィヴィアンに電話を使ったしょーもない悪戯をかましたりする。恋人に捨てられたん、そういうとこも原因なのでは?
ヴィヴィアン:
最終学歴は中卒だけど、会話の端々から頭の回転の良さが窺える人たらしガール。
物欲もないし真面目で向学心もあるので、どう考えても街娼に向いてない。
おまけに献身属性もあり、色々面倒臭いエドワードのこじらせ模様にもニコニコ付き合いつつ、「うん。もういいから休めよ」とがっつり休ませてくれる。精神的に、完全にエドワードより成熟している。
フィル:
エドワードの顧問弁護士。
ワンマンなエドワードにかなり振り回されていて不遇な役どころではあるんだけど、それを凌駕するクソ男ぶりを短い時間で披露してくれる。コスパのいい悪役だ。
トンプソン:
エドワード行きつけの高級ホテルの支配人。ちょっと強面。
高露出な服装でホテル内をウロウロするヴィヴィアに当初は顔をしかめていたが、高級ブティックの店員にいじめられて泣いてる彼女を放っておけずに世話を焼いたのが運の尽き。
最終的には、どんどん綺麗になっていくヴィヴィアンを見守る親ポジと化していた。
そしてこじらせエドワードの背中も押してくれる、ナイス仲人ぶりも披露。作中一番のイケメンである。
【感想など】
学生時代に初めて観た時は、金持ちのイケオジに愛されて綺麗になっていくヴィヴィアンに「ええなぁ、シンデレラストーリーやで!」と憧れたものですが。
今になって観ると、イケオジことエドワードの精神状態がただひたすらに心配。
カウンセラーからは完治のお墨付きを得てるらしいけど、母親の死から全然立ち直れてないよ、この人!
だってロクにご飯も摂らず、酒も楽しまず、恋人とも秘書経由でのやり取りが殆どで。
そして死んだ父親(元社長で、息子に会社を買収されて失脚。闇しかねぇ!)への恨みを晴らす代わりとばかりに、あちこちの会社を買収しては転売しての繰り返しで。
本人もハイグレード転売ヤーっぷりを自覚してるのか、「テメーの仕事はつまり、車を盗んでパーツを売る感じやね」とヴィヴィアンに言われても「でも、ワイは合法ですんで!」としか反論してないし。
他人様のものを売っぱらってる自覚はあるんだね……
生き急いでる感じがひしひしな、金しか持ってない人付き合い下手過ぎ男が、天性の人たらし女性に出会って心を開いていく療養ストーリーやん。
こんな得難い女性、そうそういないので。
マジでエドワードはヴィヴィアンを大事にすべき。学はないかもだけど地頭もいいし、向学心も会って勘もいいし、そして何より共感性もバリ高いという。
終盤、モース氏の会社の買収で色々あって大損ぶっこく選択を取ったエドワードから、「自分でそれを選んだ」と聞かされたヴィヴィアンの第一声が「よかった」だったの、特にグッと来ました。
損得以前に、好きな人の気持ちを優先出来る気骨……あまりにも人間力が高い!おめーは菩薩か!
そんなわけで中年になって観たところ、ヴィヴィアン視点でもエドワード視点でもなく、二人の恋路を見守るホテルの従業員視点になっている自分がいました。
ヴィヴィアンが綺麗にドレスアップしてオペラ観劇に繰り出すシーンで、従業員の皆さんがどう見ても親目線の笑顔で見送ってるんですよ。
そのシーンで「分かるー!」と、彼らと肩を組みたくなりましたもの。
金しかないポンコツ不器用男と、そんなポンコツにも寄り添える菩薩女ですもの。
従業員一同、応援するがな!カプ厨に目覚めるがな!




