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映画を観た。感想を書いてみた。  作者: 依馬 亜連


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『近畿地方のある場所について』

【作品情報】

製作:2025年/103分/日本

監督:白石晃士

出演:菅野美穂/赤楚衛二/夙川アトム

ジャンル:ファウンドフッテージよりみどりホラー

(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)



【ざっくりあらすじ】

雑誌『超・不思議マガジン』の編集者である小沢(おざわ)は、先輩編集者の佐山(さやま)が失踪したため、彼が担当していた特集記事を引き継ぐことに。


佐山が記事のデータ諸共消えちゃったため、小沢はライターの千紘(ちひろ)の協力を仰いだ。二人は佐山が残していった調査資料から、彼の代わりに記事を書き始める。


佐山の残した資料は、二十年ほど前のワイドショー番組の映像だったり、どこかの中学校の林間学校で撮影した映像だったりと、つながりが見えない。

しかし資料を洗っていくうちに、共通の音声や図案、または地域が見えて来る。


そして全ての始まりは「まさる様」という近畿地方の某山に伝わる昔話と、そこに出て来る“石”であるという結論に至った。

また調査を続けていく中で、小沢の周囲でも奇妙な出来事が起き始める。

そしてとうとう正気を失い、気が付けば埼玉の廃墟横でトランス状態になっていた。どうやって移動したんだろう。電車か?あのイカれたスピーカー状態で?


このままでは彼もヤバいと察した千紘は、小沢がどうにか突き止めていた佐山の転居先へ押しかけて解決策を相談することに。

しかし佐山は奥さんともどもかなりアウトな状態だった。あかーん!


そんな中でも佐山は、小沢に「あまのいわやと」という宗教団体の映像資料を託した。

この教団にも例の石が関係しており、千紘は小沢と共に近畿地方行きを決意する。


「もうこうなったら、石をぶっ壊してやろうぜ!」


積みに積んだストレスにより、破壊衝動に駆られる千紘。

しかしホラー映画において、元凶をぶっ倒して綺麗に終われるパターンは案外少ない。

負け戦臭がプンプンしてるけど、果たしてうまくいくのだろうか。



【登場人物】

千紘:

フリーっぽいライターさん。オカルト分野が得意なご様子。

小沢とは仕事仲間というより、年の離れた姉弟っぽい。料理は苦手なのか、家でも買って来たお惣菜を食べている。

「たくみ」という息子がいたようだが、とある不幸な事故で亡くしてしまった過去がある。


小沢:

失踪した佐山の代わりに、1週間で25ページの特集記事を書く羽目になった不運の人。

元がこざっぱりとお綺麗なので、1日風呂に入ってなくても一般人程度の小綺麗さがある。こいつ、主成分がファブリーズなのか。

前々から暴走しがちなのか、千紘ネキにがっつり釘を刺されていたのに勝手に取材を突き進めた挙句、ドツボに嵌る。

これがホラー界隈の名物、自業自得です。


佐山:

「今回、すげぇ記事になるってよ!」とデカい口を叩いた直後に失踪した人。

しかも書きかけの記事データごと失踪したので、バックラーとして最上級の迷惑さを誇っている。

ただ終盤でとんでもねぇ姿をさらしての再登場をかますので、そんなことはもう、どうでもよかです!



【感想など】

原作(ハードカバー版)既読勢なんですが、実は原作の方は「面白いけど、なんかよう分かりませんでしたー!」で終わっていた残念な人間です。バカでごめんなさい。


ただよく分からなかった主な理由が

「アルファベット一文字仮名の人間が多すぎ!しかも仮名が被り過ぎ!誰が誰やねん!」

だったので、その辺は映像化のおかげで見事に解消されています。

顔も名前もあるもんね!ありがとう、実写!ありがとう、俳優さん!


またそれぞれのエピソードが断片的で、読者サイドでつながりを見つけて整理していく必要がある、能動性が超求められる原作と比べても、映画版は“石”という中心地を据えて案内してくれるのでとっても分かりやすい。


原作→映画でなく、映画→原作の順で楽しむ方が、ひょっとすると原作もより一層飲み込みやすくなるのかも。私もこれを機に再読してみます。

全く別のお話が展開する文庫版 (そうはならんやろ)も、少し前に出たことですし。こっちも次に読まねば。


ちなみにホラー好き好き大好き人間的に、怖さのほどに関しては『リング』や『仄暗い水の底から』未満な印象でした。

だってこの映画、日付を表示する度に響くキモいSEもないし、寄ってたかって園児を泣かせる地獄の保育士もいないし。


こちらはあくまでもホラー好き視点での印象ですが、参考になれば幸いです。


数か所ビックリシーンはあるものの、その辺は「さあ、怖がらせるぞー!」という意欲満点なBGMやSEがめっちゃ出張って来るので、割と冷静になります。「あ、怖いの来るのね。オッケー」みたいな。

それにおおむね淡々と進んで行くので、ギャーギャー叫んでビビり散らかす作風でもありません。

近畿地方入りした菅野美穂さんが、シャウトしながら大暴れするシーン以外は、だいたい理性的。

そういった意味でも、ホラー映画初心者の方も楽しめる作風なのかも。


あと山に潜む怪異的なヤツのビジュアルも、『もののけ姫』に出て来るコダマのドーピング後っぽくて。ちょっと面白い。


これは本作に限らず、だいたいのホラー映画が抱える宿命でもありますが。

怪異のビジュアルだけで怖がらせるのって、相当難しいですよね。

誰だって頭の中でふんわりと考えている、「おれが考えた一番こわいモンスター」がやっぱり一番怖いもの。

ふわふわとした妄想にいざペンを入れると、どういうわけかオモロへ片足を突っ込みがち。


ただ、最後のとある人物の、顔面レイアウト崩れシーンだけは普通に鳥肌立ちました。

え、誰があれ考えたん……?

じわじわーっと、自然なくらいゆっくり崩れるのがまた怖い!世界一嫌なアハ体験!


トータルの怖さは「ホラーに不慣れな人も安心」ではあるものの、あのシーンの最大瞬間風速は貞子に余裕で勝てます。やったね、ドーピングコダマ!

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