『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』
【作品情報】
製作:2025年/104分/日本
監督:近藤亮太
出演:杉田雷麟/平井亜門/森田想
ジャンル:結局どういうこと?真相は闇の中系低予算ホラー
(参考サイト:映画.com https://eiga.com/)
【ざっくりあらすじ】
どこか陰気な青年の敬太は、子どもの頃に弟の陽向が自分と遊んでいる最中に行方不明となってしまい、そのことを大人になった今もずっと引きずっていた。
彼の本業はスーパーの店員であるものの、ひとたび子供の行方不明騒動を聞けば捜索活動に飛び込んでいく、伝説のボランティアという裏の顔があった。かっけー。
そんな彼の元に、ある日突然母親から段ボールが届く。母親とはもう何年も会っていないのに。
しかも中身はほぼガラクタだし。嫌がらせかい……と思いきや。
その中には、見るからに怪しい古いビデオテープも入っていた。今時ビデオを再生する手段なんて限られているので、やっぱり嫌がらせかもしれない。
しかし母の謎の思惑にもめげずビデオテープを再生してみると、それは思春期時代の敬太自身が撮影したただのホームビデオだった。
なんでこんなものを、と不思議がっていると――なんと失踪直前の陽向の姿も映っていた。いや、怖いって。
陽向は兄のビデオ撮影にストーカーのごとく付きまとった後、根負けした兄と共にかくれんぼで遊んでいた。
二人がかくれんぼの場所に選んだのは、山の中にある廃墟だった。しかし陽向はそこで行方が分からなくなり、現在に至っている。
ちなみにその廃墟自体も、陽向の失踪後に山中を探し回っても結局見つからなかったらしい。だから怖いんよ……
敬太とルームシェア中である塾講師の司は、いわゆる視える人。
そのビデオにも嫌な感覚を覚えて「さっさと捨てた方がいいよ」とアドバイス。まあ視えない私でも、捨てた方がいいと思う。普通に怖いし、母の思惑もムカつく。
しかしそんな薄っすらと気味が悪い状況下で、敬太の周りを嗅ぎ回る謎の女性が。
女性こと新聞記者の久住は、伝説のボランティアである敬太のインタビューが目当てだった。
そんな彼女は搦め手を狙ったのか、彼の同居人の司に接触を図る。
久住は子ども探し名人である敬太のコメントが欲しいだけのはずなのに、なぜか陽向の失踪事件並びに、彼が失踪した磨白山の調査にのめり込んでいく。
どう考えても山に関わるアレやコレと距離を取るべきシチュエーションなのに、なぜか敬太は
「ほな、ちょっとおかんのトコに行って来るわ」
と言い出した。どうして!?
どう見ても様子がおかしい敬太につられ、司と久住も磨白山に関わっていく羽目に……駄目だ、もうハッピーエンドの絵図が見えない。
【登場人物】
敬太:
おそらく小学校高学年時代に、当時5歳の弟・陽向に付き合って渋々かくれんぼをしていたら、そのまま失踪されちゃった不運の人。
ちなみにその頃の彼は反抗期ビシバシっぽく、年の離れた弟に塩対応でも仕方ない部分はあるかと。
そして失踪後の回想から窺える、両親のアレな様子からも察するにむちゃくちゃ針の筵な半生を送っていたんだろうな……などと思うと涙がちょちょ切れる。
司:
霊が視えちゃう系な塾講師にして、敬太のルームシェア相手。
運動不足なシティボーイらしく、何の前相談もなく敬太に山登りを強制される憂き目に遭う。
おいおいおい、こちとらスーツに革靴やぞ!
ただそれも、トータルで見れば終盤の不運の前座なんですけどね!
久住:
上司がナンダカンダな地方紙の新聞記者。上司ガチャでSSRやんけ。
凄腕ボランティアな敬太へのインタビューが目当てのはずなのに、初手からアクセルを吹かせまくって磨白山の謎に食い込んでいく。
当初の目的を見失うスピード感が、走り屋のソレ。
【感想など】
モキュメンタリーはお好きでしょうか?
私はホラー限定で好きです。
YouTubeチャンネルのフェイクドキュメンタリー「Q」や、テレビ番組のTXQ FICTIONシリーズも大好きです。我ながら分かりやすい趣味だねぇ。
そして本作は、TXQシリーズの演出に関わっていた方が監督をしていることからもお察しの通り、むちゃくちゃその路線です。
どういうことかと申し上げますと、ほぼほぼ謎が解けないまま終わります。
なんとなーく匂わせてはくれますが。
だってフィクションとはいえ、ドキュメンタリー風なので。
我々視聴者が知れるのも、あくまで一般人である登場人物たちが理解した範囲のみです。
ド素人どもが、全てを解決できるワケがないでしょうが!己の限界を知れぃ!
そんなわけで観客も、終始ヒヤリとした曇りガラスのような不安の塊を抱え、ただオロオロしっぱなしな居心地の映画です。モヤッとした不安も、ほとんど晴れず仕舞い。
この、まるでバッドエンドで終わった『ペルソナ4』のような五里霧中感よ。
昨今の、モキュメンタリー以外のホラー作品に多めの、全ての謎をスッキリ解決!系ではありません。なのでそういった作品をお求めの場合には、ただただフラストレーションが溜まるかと。
一方で考察することに喜びと快感を覚える勢は、きっと大歓迎の映画です。
ちなみに自分は「考察出来る頭のいい人の投稿やツイートを読んで『そっかぁ、すごいなー』と感心する」タイプです。
モブ枠ないし、省エネ鑑賞スタイルと自称しております。理想のポジションは『鬼滅の刃』の村田さんまたは後藤さんです。
なおモキュメンタリー好きとしては、失礼ながら第一線の売れ筋俳優さんでない、将来性あり・青田買いっぽい方々を主軸に添えていらっしゃることで、余計に「実際にこんな事件があったのかも?」というヒヤリ感が増してご褒美です。うひーっ。
いいよね!こういうチョコチョコとお出しされた情報から、あれこれと妄想を働かせて勝手に「ひえぇぇ~」と身の毛がよだつの!悪趣味だけど大好きです!