第3話「新魔法を開発してるわ」マアニャ回
あたしはマアニャ。ミラ家の次女であり、妹ミイニャの双子の姉。
あたしは0時に就寝、8時に起床。
1時間魔法のお勉強、3分間はオリジナル魔法の訓練にあて、9時3分に下へと降りていく。
両親を氷漬けにした呪いの禁忌術を破るために1日の大半をその目的にあてている。
「おはようございます」
クレアがいつも通り、気持ちのいい笑顔でむかえてくれて、朝食が始める。
サーシアお姉ちゃんもあたしの朝食時間に合わせ、少し遅めだけど一緒にご飯を食べてくれる。
今朝は何やらそわそわして様子がおかしい気がする。
「どうかしたの?」
「マアニャ、わたくしも自由に行動して本当にいいのかしら?」
「いいんじゃない。何かやりたいことがあるの?」
「温泉巡り!」
「……えっ!」
「ミイニャが温泉を掘り当てたと聞いて、方々の温泉巡りをしてみたくなったのよ」
「温泉、気持ちいいからね。いいじゃん」
「だけど、わたくし一人では魔物に出くわしてしまったら、終わりですから一番強いバニアを護衛に連れて行きたいの。団長もいろいろ悩んでいるようだし、騎士団のことも放っておくわけにはいかないでしょ……でも、やっぱり団長を付き添いにするのは、無理かしら?」
「団長か……あの人、背負い過ぎだしあたし苦手なのよね。騎士団の戦力がガクっと落ちるのがねえ」
「良いではありませんか。お留守の間は、わたくしめがマアニャ様をお守りしましょう」
「バートン、腰は大丈夫ですか?」
「ええ。マアニャ様、どうでしょう?」
「そうね。せっかくお姉ちゃんがやりたいこと言ってくれたんだし、何かそうした方があたしにとって幸運が舞い込む気がする。うん、うん、お姉ちゃん、今すぐゴー」
「厄介者扱いされている感じがして、少し寂しいのですけど。賛成してくれるのは嬉しいわ」
3日後、お姉ちゃんはあまり乗り気ではない騎士団の団長バニアを連れて温泉巡りに出かけた。
邸で食事をする人数が減り、あたし、執事バートン、召使い(メイド)のクレアの3人になり、バートンとクレアは食事の席でほとんど会話はしない。
どっちかと言うと賑やかな方が好きなあたしは物足りなさを感じてしまう。
(誰か賑やかな召使いでも居ないもんかしらね……)
闇の教団について調べながら、同時進行で魔力と悪意を持った人が近づけばわかる新魔法を開発、そしてそれがやっと完成した。
「やったぁ。もうどのくらいかかったかも思い出すのも嫌だわ。でもこれで……パパとママの呪いを解く準備は整った。あとは……」
しばらくして、あたしは新しい召使いを雇うことになる。
召使いが適正だったのかはわからない。けど、あたしの毎日はその人のおかげで幸福になったの。
物凄く頼りになるそいつの名前は、越谷優斗、優斗よ。