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彼女はここから少し遠い山で終えるらしい。僕は何もできないのに、母親にただついていく子供のようにその背中をおった。
地図で見れば遠いとはいえ電車を使えば1日もかからずつく。あっという間に山の麓に着いてしまった。
私は君に死んでいるところを見てほしくない
そう言われた。見ず知らずの人でもできるなら避けたいのに、それが身近な、それも男に見られたくはないだろう。
多分ここが別れ道なのだろう。悩む。ない頭を必死に働かせる。自分に何ができる…と。しかし、考えるまでもなかった。僕に足りないことは頭ではなく覚悟だったのだ。そう理解した僕はその手を引いた。
私は睡眠時間がだんだん長くなる病気を患っている。今や1日に1回起きているかも分からない。
私はある時から容姿があまり変わっていない。理由は分からないがおそらくこの病気が理由だろう。しかし、容姿は変わらずとも記憶はなくなっていく。どうして私はここにいるのだろうか。どうしてこの家には誰もいないはずなのに起きれば食べるものが新鮮な状態であるのか。どうして私はこの家から出てはいけないと思うのか。誰か…大切な人がいた気がするのに思い出せない。
そろそろ眠りにつきそうだ
改めて家を見渡す。掃除は行き届いて毎日掃除されているかのようだ。次に目覚めた時何かわかるのだろうか。そもそも次があるのだろうか。分からない。そんな不安を抱きながら眠りにつく。
xxxくん…
自分でも分からない…懐かしいような、しかし慣れ親しんだ響きを口にしながら。